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2014年1月10日
小泉政権以降、USTR(米国通商代表部)やCSIS(米戦略国際問題研究所)に追い立てられ、急かされて新自由主義路線を展開する政権は、例外なく政策展開を不自然に急ぐ。
そのように米国筋に脅され、急き立てられている事情を押し隠し、時の宰相は内心焦って、急いでいることを“待ったなし”と突然に言うことがある。
例えば、野田前首相は、昨年、消費税増税法案に異常な前のめり姿勢を見せていたとき、
与野党や国民が社会保障費との一体化等を充分に時間をかけて審議すべきだとの、ごく当然の言い分に対し、全く意に介さなかったばかりか、“増税はまったなしです”などと実に驚くようなことを言っている。
国民は消費税増税法案が唐突に出てきたとき、“ちょっと待ってくれ、あんたら、選挙公約でそんなことは全く言ってなかったじゃないか?”と、心外な思いをしていた。
2009年の総選挙で、民意が民主党に政権を託そうとした際の政権公約には、消費増税の文言は一行もなかった。
野田首相が政権を確保した後で気が変わったのなら、政権交代時にはあのように言いましたが、諸般の事情で消費税増税を打ち出さざるを得なくなりましたと、国民に頭を下げてお詫びをし、理解を得られるようにきちんと説明責任を果たす手順を踏む必要がある。(国民が納得するかどうかは別として。)
ところが、彼はその段階を無視し、いきなり“消費税増税まったなし”のモードに入っていた。
しかも内閣不支持率の加速的な上がり方にも意を払わずに増税法案成立に突き進んでいる。
これには、さすがに専門家ならずとも“それって、おかしいじゃないか”という話になって、野田首相は財務省のパペット(操り人形)だという言い方がまたたくまに巷にあふれている。
そうこうしているうちに、植草一秀氏が、あの有名な野田総理の街頭演説「シロアリ演説」動画をネットに拡散させ、これがメディアや国会まで浸透して、野田首相の信用は丸つぶれになっている。
これが主たる原因になって、一昨年暮れの国政選挙では民主党が惨敗し、反動で自民党が圧勝している。
野田首相に関していえば、あまり政治に興味のない層にも、野田首相が財務省にいいように操られていることが丸見えになっていた。
もう少し政治の奥を見つめている層には、彼が財務省とアメリカに完全に手綱をとられていることが透けて見えていた。
米国と官僚の走狗と化した宰相である。
野田総理は国会での「消費税増税」法案の成立を、何よりも優先させるべく至上命題とするという異常な行動様式を見せたが、そのことを「待ったなし!」と力説していた。
しかし、当時、「まったなし」と言われても、国民はどこにそんな切迫した事情があるのか皆目分からなかった。
きちんとした説明がなかったからである。
社会保障と一体改革の文脈なら、消費税はどこにどのように使われるべきか、国民に分かる形で十分な審議を行えばいいのである。
その肝心な部分を絵に描いたモチのようにして、増税だけに“まったなし”と突き進んだことは、政治の常道どころか狂気の沙汰と言えた。
強力な政治主導で官僚機構を刷新し、アメリカの圧力に屈しない政治をやれるまで、国民は何年でも気長に待つ気持ちは十分にある。
まあ、そういうわけで、野田首相の「待ったなし!」くらい意味不明の掛け声はなかったのである。
ここから見えることは、“まったなし”の主体は国民ではなく財務省であることが分かる。野田首相は「待ったなし」という財務省のTPR作戦(※)を、いかにも国民側の要望であるかのようにすり替えているのだが、「まったなし!」なのは、被災地住民本位の復興と、今も危険な福島原発事故への対処である。
(※ TPRというのは、植草一秀氏が身体を張って我々に教えてくれた財務省の増税宣撫工作作戦のことである。
TAXのPRという意味であるが、植草氏によれば、これは財務省による単なる増税啓蒙行動ではなく、熾烈な言論統制になっているそうである。
言うなれば、徴税権限を振りかざしながら、権力ピラミッドの頂点に君臨する財務省特有の禍々(まがまが)しい寄生原理のこと。
それは徴税原理主義に基づく国民虐待作戦と言えるだろう。)
経済にしても国際政治にしても、国民側の切迫した政治懸案については、ほったらかしにしておきながら、財務省(官僚)権益やアメリカ権益のためなら“まったなし!”だと急がせるのが、小泉政権以来の傀儡政治の特徴なのである。
今次安倍政権はアベノミクスという三つのパッケージ型政策展開で、国民を煙に巻いているのだが、第一の矢と第二の矢、金融緩和政策と財政出動政策は、第三の矢「成長戦略」の呼び水的な政策である可能性が高い。
問題は第三の矢の「成長戦略」であるが、これは国民に正体を隠した小泉構造改革の進化形である。
つまりは、特区と呼ぶ都市部の限定区域に外資を呼び込み、規制緩和と企業税制優遇を柱にして、徹底的なアメリカ型の新自由主義化、市場原理主義化に変貌させようとする政策である。
しかもこの政策は、特区という限定エリアに止まらず、全国展開までパッケージ化され、おそらくは一度展開されたら後戻りができない不可逆構造を持っている。
特区構想が国内だけの展開ならば、政権が変わった時に是正される可能性はあるのだが、外国資本が絡むとそれがほとんど不可能になる。アメリカが宗主国特権を振りかざすからである。
そこが恐ろしいのである。
つまり、安倍政権がやっているように、アメリカの都合で日本の法律なり政策が展開された場合、それはFTAやTPPで言われるラチェット条項の縛りを持ってしまうということである。
その意味では、国民は国家戦略特区法と産業競争力法に充分に目を光らせて見張る必要がある。
竹中平蔵氏が中心となって推進する成長戦略(国家戦略特区法と産業競争力強化法の二本柱)があるが、これはアメリカ・グローバル企業による、日本における新自由主義展開なのである。
この事実をしっかりと受け止める必要がある。
我々はTPPに対してそういう展開を危惧しているが、奸智に長けた“向こう側”は、TPPが間延びになっていても、確実に実質的なTPPである成長戦略を安倍晋三氏に実行させているのである。
アベノミクスという3要素のパッケージは成長戦略の猛毒を隠すため、国民の目を欺く外装なのである。
安倍政権がまだスタートしたばかりの昨年(2013年)1月23日の産業競争力会議初会合で、TPPを念頭においた安倍総理がこんなことを述べている。
「困難な課題に果断に取り組み、議論を尽くした上で最終的には私が判断したい。戦略の取りまとめを待つことなく、矢継ぎ早に行動を起こしていきたい」
この発言がTPPや成長戦略を頭においていることは間違いないだろう。
“戦略の取りまとめを待つことなく、矢継ぎ早に行動を起こす”と言っているが、政治家として異常な発言である。
誰がどう考えても、これは充分な審議を待たずにどんどん政策を決めて実行していくという、いわゆる確信犯的な“まったなし”発言である。
言い換えるなら独裁志向を明確にした発言に他ならない。
事実、安倍政権が参院選以降に示している一党独裁型は、第185回の臨時国会で十分すぎるほど見せられたばかりである。
政策においては、国民が十分に検討して欲しいと思っているときに、日本の宰相が“まったなし”とか“スピード感を持って”などと、異常な拙速性を表すときは、背後のアメリカが鞭で急き立てていると考えて、まず間違いない。
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