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中国の防空識別圏撤回を米国が求めなかった理由
http://blog.goo.ne.jp/ichimurasan2006/e/b8b540cb1aedeca3a764a70271797096
★「天木直人氏の視点ー(2014/01/08)」★ :本音言いまっせー
今ごろになってこんなことを書いている。
そういう思いで私はきょう1月8日の日経新聞の「防空権、米の苦しい事情」と題する「真相 深層」いう記事を読んだ。
その記事は、米国があの時中国の防空識別圏撤回を求めなかった、いや求めたくても求められなかった理由を、見事に解説して見せている。
すなわち、そもそも防空識別圏の設定は国際法上で明確に認められたものではなく冷戦下に米国が一方的に決めたものだと。
アジア太平洋では1950年にGHQ(連合国軍総司令部)が日本、韓国、台湾、フィリピンにまたがる空域をかってに線引きし、旧ソ連や中国の領海侵犯を監視するために使っていたと。
その線引きは4か国にそのまま引き継がれ、日本は1959年に航空総隊司令官と米軍第五空軍司令官との間で「松前・バーンズ協定」が交わされ、日本側に移管されたと。
日本がそれを日本の防空識別圏として規定したのはそれから10年後の1969年に防衛省の訓令で行ったのだと。
こういった日本政府内部でも防衛省の担当者ぐらいしか知らない歴史的事実を紹介したうえで、その日経の記事はこう書いている。
「・・・そもそも中国や旧ソ連の領空侵犯を念頭に米国が設定した経緯があるだけに、
撤回要求は米国批判につながりかねないという計算が米国にはあった・・・」
だから米国は日本の撤回要求には応じず、運用で中国側をけん制することに終始したというわけだ。
当時の日米間の対応の食い違いの報道を注意して読んでいればこのことはわかる。
私もそのことを何度も指摘してきた。
しかしこれほどはっきりと米国の弱みを指摘した記事は当時は皆無だった。
もしあの時、米国には中国が防空識別圏を設定したことに対して文句を言う資格はないと、ここまではっきりメディアが書いていれば、日本側の中国に対する撤回要求がいかにピンとはずれであるか国民は知ったはずだ。
今ごろになってこんな記事を書く日経新聞を私は信用しない。
それでもまだ書くだけましだ。
ほかの新聞は今になっても決して書かない。
日経新聞以上に悪質で不誠実である。
◇
中国防空圏、対応揺れる米国の事情(真相深層)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2400K_X00C14A1EA1000/?dg=1
2014/1/8 3:30日本経済新聞
東シナ海上空に中国が設定した防空識別圏(ADIZ)を巡って米国の対応が揺れている。戦略爆撃機を圏内で訓練飛行させて中国をけん制したかと思えば、米民間航空会社には中国側が要求する飛行計画の事前提出を認める。ちぐはぐに見える対応には領土・領空保全のルールづくりを主導してきた米国ならではの苦しい事情がある。
■50年代引き継ぐ
防空識別圏は領空の外側に設定する空域を指す。領空に入った航空機がその国の領土上空に到達するまでの時間はわずか数分。外国の航空機の領空侵犯を確認してから対応していたのでは自国の領土が攻撃にさらされかねない。領空に入る前に航空機を識別して、あらかじめ防衛体制を取るのが防空識別圏の本来の目的だ。
もっとも防空識別圏は国際法上で明確に定義された概念ではない。そもそもは米国による「空の線引き」で、これを設定するのは世界でも米国の同盟国である日本や英国、韓国のほか、ノルウェーやインドなどの20カ国程度に限られる。
アジア太平洋では第2次世界大戦後の1950年、GHQ(連合国軍総司令部)が防空識別圏を設定した。東シナ海では日本や韓国、台湾、フィリピンにまたがる空域に線引きを設け、旧ソ連や中国の領空侵犯を監視するのに使っていた。
GHQの線引きは4カ国・地域にそのまま引き継がれる。日本では59年に航空総隊司令官と米軍第5空軍司令官との間で「松前・バーンズ協定」が交わされ、防空識別圏が日本側に移管された。協定は領空侵犯への対応を日米両国がどう分担するかを定めた内容といわれる。外国機を識別するには高性能レーダーや偵察機、緊急発進(スクランブル)できる戦闘機が必要であり、運用では米軍との緊密な連携が欠かせなかった。
専門家によると、防空識別圏は60年の日米安全保障条約改定までに完全に日本に引き継がれ、領空侵犯に対応する体制が整ったという。防衛庁(当時)が内部で防空識別圏を規定したのは69年。日本にとって東シナ海に設けた防空識別圏は日米安保協力を象徴する存在といえる。
昨年11月23日、中国が日本の防空識別圏に張り出す形で自前の防空圏を設定すると発表した。軍事力の誇示、沖縄県・尖閣諸島への領有権の主張が狙いだった。
日米同盟への挑戦とも映る中国の行動。日本政府は防空識別圏の撤回を中国に要求する。ところが米政府の反応は「東シナ海の現状を変えようとする一方的な行動だ」(ケリー国務長官)。撤回という表現はなく、微妙な曖昧さがあった。
■靖国参拝が影
米国からみれば、防空識別圏は各国の国内措置であり、他の国が撤回させるのは困難。そもそも中国や旧ソ連の領空侵犯を念頭に米国が設定した経緯があるだけに、撤回の要求は米国批判につながりかねないという計算があった。
その代わりに、米国が注目したのは中国が防空識別圏をいかに運用するか。中国は防空圏を飛行する航空機に対して事前通告を求め、これに従わなければ「武力で防御的な緊急措置を講じる」と宣言した。国際法の原則である「公海上空における飛行の自由」が脅かされかねない事態に米国は反応した。
事前通告なしに戦略爆撃機を訓練飛行させたのは、中国の一方的な指令は国際的に無効だと示すため。ただ防空圏の設定自体は「新しくも珍しくもない」(ヘーゲル国防長官)とし、撤回は求めなかった。安全への配慮から、米民間航空会社が中国に飛行計画を提出することも容認した。
防空識別圏の撤回を中国に要求する日本、曖昧な態度を崩そうとしない米国――。そんな日米関係にすきま風を呼び込んだのが昨年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝だった。米政府は「失望している」という強い表現で日本に懸念を伝えた。東シナ海上空の防空識別圏問題の解決が遠のく恐れさえある。(ワシントン=中山真)
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