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こっちにも(タイね)、忠臣蔵みたいに、何度も、ドラマ化、映画化が繰り返されるテーマがあって、タイで一番有名なお化けの話「メーナーク」がその一例。帝国陸軍の将校とタイ人女性の悲恋を描いた、この「クーカム」も、「タイ人の好きなお話」のひとつで、もう7、8回はリメークされていると思う。
原作の日本語訳が随分前から出ていいて、題名は「メナムの残照」。この邦題もロマンチックで悪くないけど、原題「クーカム」の意味は、全然、違うのね。クーは、タイ語で、カップル、カムは、仏教用語で、日本語の「業」にあたる。例えば、タイで肉体労働者のことは、カマ(ム)コン(コンは「人」、ね)というのだけど、これは、「前世の業を背負って、肉体労働に従事させられるカワイソウナ(?)人たち」(笑)という意味なのね。クーカムの場合は「前世からの悪縁を背負わされ不幸になるカップル」といった含意があると思う。
この小説のドラマ化題一作で、日本人の青年将校役「小堀」を演じたのは、バンコクにある老舗的な日本料理店の先代オーナだった。それ以降は、一貫して、当代のタイ人の人気俳優が「小堀」役を演じている。私の場合は、20年前くらいに、バード・トンチャイが「小堀」を演じた「クーカム」を、今のカミさんと一緒に見た。私は、映画に関しては(も?)、特に、タイ映画に関しては、点が甘いので、とりあえず「良い映画だった」と言っておこう。冒頭、小堀が、川で水浴びするヒロインと出会うシーンが素晴らしい。ヒロインを演ずる女優も硬質な魅力があって、なかなか良かった。(映画なんか、印象に残るシーンがひとつでもあれば、それでよいのよ、オレの場合)しかし、トンチャイ演ずる日本人将校の日本語の下手さには、辟易したことを憶えている。
主題歌を紹介した「クーカム」は、昨年公開されたもので、「小堀」の役は、欧米人(オーストラリア人のよう。しかし、オーストラリア人は欧米人と言っていいのかな)を父に持ち、日本人の義父に育てられた・・・というややこしい事情がある新進のタイ人俳優が演じている。完璧ではないが、日本人を義父に持つだけあって、バードより日本語ははうまいね。たどたどしさが、誠実な感じを与えていると思うよ。予告しか、まだ見てないけど。
第2次大戦中のタイが時代背景になっているので、せーリータイの抗日運動なども出てきて、日本軍批判はもちろんあるし、物語の中心であるヒロインのタイ女性と小堀との葛藤の原因は、主にそこにあるのだが、小堀が、障害を超えて純粋にヒロインの愛を求め続ける男性として理想化されているのが面映い感じもしますな、日本人おの男としては。クーカムが今でも映画化され、一定の人気を博すのは、「小堀」という日本人将校が、今でも、タイ人女性の理想像みたいなものであるからなのよ・・・いや、困ったことに(笑)
この小説が、まだ戦争の記憶も色あせていない、1955年に書かれたということにも、驚かされるね。ま、これは、他の東南アジア諸国とは少し違う歴史的経緯がタイにはあることが、影響しているのかもしれんけど。タイは、日本軍の侵攻による一方的被害者とは言い難い面があるからね。日本が実質的に軍事占領していたあの時代は、欧米列強に奪われた領土を、一時的ながら、たなぼた的に奪還することができた、彼らにとって、ある意味、栄光の時代でもあったのね。
ちなみにこの主題歌っているのは、タイ在住の日本人の会社員だそうよ。
で爺
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