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少数派は多数派に対して不満を抱いていることが多い。アメリカはそうした不満を侵略に利用してきた。ベトナム戦争では山岳民族を利用、中国を揺さぶるためにダライ・ラマ14世を中心とするチベット人のグループや中国の西部に住むウイグル人、ロシアではチェチェン人といった具合だ。
ベトナム戦争では、ミャンマー、タイ、ラオスにまたがる山岳地帯はヘロインの原料になるケシが栽培され「黄金の三角地帯」と呼ばれていたが、麻薬密輸で山岳民族はCIAに協力していた。
1949年に成立した中華人民共和国はチベットを軍事的に制圧、59年にはラサ市民が蜂起して数万人が犠牲になったとされているが、この時にダライ・ラマ14世はインドへ脱出し、60年代に入るとダライ・ラマはCIAと結びつく。このとき、ダラ・ラマ側はCIAから年間170万ドルを受け取り、その支持者がアメリカのロッキー山中で軍事訓練を受けていた。この関係は米中が国交を回復するまで続いたという。
ウイグルを中国(清)が支配下に置いたのは18世紀のことだが、その後も清に対する反乱が続き、1955年から新疆ウイグル自治区と呼ばれるようになった。イスラムの影響が強く、アル・カイダのコネクションも入り込んでいる。そうした人脈を通じ、自治区からカンボジアやインドネシアを経由、トルコの情報機関MITの手引きで戦闘員としてシリアへ入り、戦っている人もいると報告されている。勿論、北京など中国の諸都市にもネットワークを張り巡らせているはず。
1991年にソ連が消滅してからアメリカ/NATOはユーゴスラビアを公然と先制攻撃して国を粉々にした。その際、アル・カイダがボスニアへ入って戦闘に参加しているが、その時にウクライナ人も、チェチェン、タジキスタン、ウズベキスタンの人びとと一緒にアメリカから訓練を受けたとされている。
チェチェンには強力な反ロシア勢力が存在しているが、その拠点はグルジアのパンキシ渓谷。ここへはチェチェンからの難民が流れ込んでいて、その中から選んだ人びとをCIAは訓練し、戦闘員に育てている。このパンキシ渓谷からシリアへチェチェン人が送り込まれ、戦っている。勿論、シリアだけがチェチェン人の活動する部隊ではない。あくまでもロシアが攻撃の目標。
現在、ロシア攻撃の最前線はチェチェンではなくウクライナ。本ブログでも繰り替えし指摘しているように、一昨年の後半からソチ・オリンピックにタイミングを合わせ、ネオコン/シオニストは体制転覆プロジェクトを始動させた。「第2オレンジ革命」とも呼ばれているが、実態はネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)を中心とする暴力集団によるクーデターだ。
そのクーデターを現場で煽っていたのがネオコン/シオニスト、つまりイスラエル第一のビクトリア・ヌランド国務次官補やジョン・マケイン上院議員。マケインは2013年5月にシリアへ密入国、FSAの幹部やIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)を率いるアブ・バクル・アル・バグダディと会談している。
このISは2004年、アメリカがイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した翌年にイラクで編成されたAQI(イラクのアル・カイダ)から歴史は始まる。そのAQIを中心にしてISI(イラクのイスラム国)が編成されたのが2006年1月。シリアで政府軍が優勢になると、活動範囲をそのシリアへ拡大し、ISと呼ばれるようになった。2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊がその主要メンバーが訓練を受けたと伝えられている。マケインがISのトップに会ったのはその翌年ということになる。
2013年9月には、駐米イスラエル大使のマイケル・オーレンがシリアのバシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。オーレンはベンヤミン・ネタニヤフ首相に近い人物であり、イスラエル政府の考え方だということだろう。
リビア、シリア、ウクライナなどアメリカが仕掛けた体制転覆プロジェクトを「民衆蜂起」、あるいは「造反」と認識、中身を検討することなく支持を表明する人たちがいた。かつて「造反有理」という標語が流行ったが、ネオコン/シオニストはそうした「左翼好み」の標語を巧妙に利用している。「造反」ならアル・カイダでもネオ・ナチでも支持するという条件反射なのか、背後にアメリカがいることを理解、強者の側につく口実にできると考えて飛びついているのかは不明だが。