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ルーブル急落の陰に「ロシアのダース・ベイダー」[日経新聞]
編集委員 古川英治
2015/1/28 7:00
「ロシアのダース・ベイダー」との異名を取る人物がいる。国営石油会社ロスネフチのイーゴリ・セチン社長(54)だ。「皇帝」とも呼ばれるプーチン大統領の側近中の側近といわれ、ウクライナ問題を巡っては欧米から制裁を受けている。原油価格が急落し、「帝国」が危機にひんするなか、市場はセチン氏の動きを注視する。
■経営するロスネフチが60億ドル社債発行
26日、ルーブル相場が再び急落した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるロシア国債の格下げに焦点が当たったが、ルーブル売りの起点は、4000億ルーブル(約60億ドル)の社債を発行したとするロスネフチの同日の発表だった。2月に約70億ドルの債務の返済期限を控え、同社が調達資金を外貨に交換するとの見方が浮上した。これは昨年12月のルーブル暴落劇の背景と重なる。
「当社は社債の発行で調達した資金を1ルーブルたりとも外貨購入に使いません」。12月15日、ルーブル相場が急落するさなかにロスネフチはこんな声明を出した。
同月11日、同社はルーブル建て社債の発行で6250億ルーブル(当時のレートで約100億ドル)調達していた。この時も10日後に約70億ドルの債務の返済期限が迫るタイミングで、ロスネフチは外貨買いに走っているとの観測の火消しに追われた。
社債発行を巡る不審な点が市場の臆測を呼んだ。まず、ロスネフチが発行した債券の利回りは同様の条件のロシア政府国債をも下回る。ロシア中央銀行は社債発行に合わせるかのように12月11日、最大7000億ルーブルの流動性供給を15日に実施すると発表。翌12日にはロスネフチの社債を金融機関への流動性供給の際の担保として認めると表明した。
■プーチン氏支える強硬派の中核人物
市場の見方はこうだ。政権がロスネフチ債を政府系の大手金融機関に買わせ、その債券を担保として中銀に引き受けさせることで、中銀からロスネフチへの間接的な金融支援を画策した――。中銀の独立性に疑念が生じたことがルーブル売りに拍車を掛けた。
制裁により欧米市場からの資金調達が困難になっているロスネフチは2015年に200億ドル規模の債務の返済を迫られる。セチン氏は「十分な外貨を稼いでいる」と強調するが、市場の不安は払拭できない。
不況への対策よりも、プーチン大統領がセチン氏ら側近が経営する企業の救済を優先するとの懸念が膨らむ。
セチン氏は「シロビキ」と呼ばれるプーチン大統領を支える強硬派の中核人物と目される。大統領がサンクトペテルブルク市の副市長だった時の部下で、大統領府副長官、エネルギー担当の副首相などを歴任し、大統領の影のように地位を築いてきた。ロスネフチでは04年から政府職と兼務で会長を務めた後、12年に社長に就任した。
03年に始まった石油大手ユーコスの解体事件でその存在が一気に注目された。政権の圧力により、大統領の政敵だったホドルコフスキー社長は投獄され、ロスネフチが同社の中核企業を買収した。これを機に「主要産業の国家管理」の名目で強硬派勢力の企業買収が相次いだ。ロスネフチは13年、英BPの子会社も買収し、生産量で世界最大級の石油企業にのし上がった。
ロシア当局は昨年9月、プーチン政権と良好な関係にあった大手企業グループ「システマ」の会長をマネーロンダリングの容疑で逮捕し、同グループ傘下の石油会社バシネフチの国有化を決めた。欧米の制裁を受け、事業拡大が見込めなくなったため、セチン氏が民間資産を狙って動き出したとの見方が広がる。
汚職が横行し、強硬派が暗躍するなかで、ロシア経済は原油価格が急落する前から成長が止まっていた。ウクライナ問題を巡り欧米との対立が先鋭化したことで、強硬派の勢いが増し、政権内で市場を重視するリベラルな勢力は発言権を失いつつある。ロシア経済が「暗黒面(ダークサイド)」に飲み込まれる――。下げ止まらぬルーブル相場にはこんな市場の不安も反映されている。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO82440400X20C15A1I00000/?dg=1
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