http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/817.html
Tweet |
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42692
打ちのめされたロシア経済:よろめく足取り
2015年01月20日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2015年1月17日号)
ロシア経済が回復するには長い時間がかかるだろう。ロシアは得られそうにない構造改革を切に必要としている。
プーチン氏が交際宣言?「愛し愛される人いる」
強気の姿勢を崩さないロシアのウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News〕
ロシアのメディアが経済ニュースを報じないことから判断すると、同国に危機が訪れた。
ソ連時代と全く同じように、国営テレビは事実を報道せず、事実を隠す。政府が描く世界は、(米国が煽っている)ウクライナでの戦闘、(米国が無視している)ウクライナの経済崩壊、そして(米国が羨んでいる)スポーツやバレー、その他の分野でのロシアの功績に満ちている。
国営メディアは経済ニュースを報じないが・・・
だが、テレビが経済に言及しない一方で、ロシアの一般市民はせっせとルーブルをドルに交換し、価格が上がっていないものを何でも買い漁り、不測の事態に備えた計画を立てている。
ロシアが休暇中だった新年最初の2週間で、ルーブルはドルに対して17.5%下落した。インフレが高進し、物価上昇率は2ケタに達している。ロシアの主要輸出品である原油の価格は1バレル=50ドルを割り込み、エコノミストらは予想を下方修正している。
今では、国内総生産(GDP)が今年、3〜5%縮小すると見られている。ロシアの信用格付けは容赦なくジャンク級に向かっている。
政府の「禅」のような落ち着きは、戦略の欠如を表している。テレビでは、ウラジーミル・プーチン大統領が地方の州知事らから前向きな報告を受けている様子が映し出されている。
しかし、アントン・シルアノフ財務相によると、1バレル50ドルを割り込んだ原油安により、1バレル100ドルの想定に基づいて計算された政府予算に3兆ルーブル(450億ドル)、歳入計画の20%相当の穴が開くという。
シルアノフ財務相はすでに予算を10%削減する計画を立てていたが、今ではそれより大幅に支出を削減する必要があるかもしれない。たとえ年金給付と給与が5%引き上げられたとしても、2ケタのインフレ率は、プーチン氏が2000年に実権を握って以来初めてロシアの実質所得が減少することを意味している。
クレムリンは、GDPが7.5%縮小した2008〜09年にやってのけたように、今回の危機を何とか切り抜けたいと考えている。当時、政府は公的支出を増やし、債務を負った企業を救済することで需要を刺激することができた。
政府には、もうこの選択肢はない。ロシアの外貨準備は4年前より少なく、よくて1年半しか持たないかもしれない。
通貨危機が「巨大」な銀行危機に発展する恐れ
ルーブル暴落、ロシア脱出計る外国人たち
昨年12月、モスクワで、ルーブル急落に抗議し与党・統一ロシアのシンボルのシロクマの着ぐるみ姿でルーブル硬貨の大型模型をのこぎりで切るロシア共産党の支持者〔AFPBB News〕
さらに悪いことに、政府は信用を失ってしまった。昨年12月の17%への利上げはルーブル防衛を目的としていたが、効果がなかった。
ロシア国民は通貨に対する信頼感を失い、預金を引き出し始めていると、アルファ銀行のチーフエコノミスト、ナタリア・オルロバ氏は言う。
クレムリンが輸出業者に外貨収入を売るよう命じる一方で大企業に外貨を買わないよう警告していなければ、ルーブル安はもっと激しかったはずだ。
だが、中央銀行がロシアの市中銀行に流動性を供給しても、マネーは外貨市場に流れ込み、ルーブルに一段と大きな圧力をかけることになる。このため、流動性の注入はすべて、内需を刺激することなく、単に資本流出を増やす結果に終わりかねない。
ルーブルを下支えする唯一の方法は、銀行に対する流動性の供給を制限することだが、そうすれば銀行を圧迫することになる。
報道によると、ロシア最大の国営銀行、ズベルバンクの最高経営責任者(CEO)を務めるゲルマン・グレフ氏は、通貨危機が「巨大」な銀行危機に発展する恐れがあると警告している。
資本流出と原油安に見舞われ、外国市場にアクセスできず、国内の人口問題を抱えるロシアがこの危機から素早く脱出する可能性は低い。通貨安が1998年のデフォルト(債務不履行)後と同様に輸入代替を促し、ひいては成長の原動力になるというロシアの期待は非現実的だ。
1998年のデフォルト後のような再生を期待できない理由
当時のロシアは、ソ連経済が後に残した時代遅れの余剰設備で生産することができる基本的な製品を代替していた。ロシアが現在輸入しているモノは、すぐには国内で代替できない。輸入代替には投資が必要で、そのリスクを取る意思がある人はほとんどいない。
ロシア財務相、「メドベージェフ氏が首相就任なら辞任」
アレクセイ・クドリン前財務相〔AFPBB News〕
前財務相のアレクセイ・クドリン氏とエコノミストのエブセイ・グルビッチ氏は、ロシア経済は金融・財政政策の措置では修復できないと主張する。
弱い制度機構でさえ二次的な問題だ。ロシアの病の中心にあるのは市場原理の弱体化と競争の抑制であり、これはつまり、もうこれと言った市場経済が存在しないことを意味している。
国家の拡大が意味するのは、ロシアにはもう「ゴスプラン(ソ連国家計画委員会)」はないものの、売上高が自社の経済効率ではなく政治的なコネに左右される国営企業や準国営企業によって経済が支配されている、ということだ。
歪んだインセンティブや汚職、財産権の欠如が、最も効率の高い企業を市場から追い出し、他に寄生する、経営がお粗末な国営企業の地位を強固にした。原油安はこうした欠点を露呈させたが、そうした欠点を生んだわけではない。
クドリン、グルビッチ両氏が主張するように、1998年から2008年にかけてのロシアの並外れた成長は基本的に輸入された成長だった。突き詰めると楽に手に入るお金のおかげであり、原油価格の上昇と低利の資金がもたらしたものだったのだ。これが消費を煽り、輸入品と国内生産の拡大によって消費が満たされた。
政府は経済を再編したり近代化したりする代わりに、超過利潤を再配分することに勤しんだ。民間企業とクレムリンは長期投資よりも手っ取り早い利益を選んだ。2009年でさえ、政府の目標は金融危機の政治的影響を最小限に抑えることであり、経済の競争力を高めることではなかった。
今、ロシアが現状から抜け出す唯一の方法は、市場の役割を復旧するために経済を再編することだ。25年前は、ソ連崩壊とクレムリンの体制変更によってこの移行が可能になった。クドリン氏はプーチン氏への黙示的なメッセージで、この移行は大統領を代えずに、異なる政府の下で実行することができると訴えている。
プーチン氏は納得していない。テレビが何に言及しなかろうとも、プーチン氏が自分の選択肢を熟慮している傍らで経済は衰退し続けているのだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。