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『ニューズウィーク日本版』2015−1・13
P.38
「原油価格の反転上昇はそこまで来ている
石油:昨年後半には大きく下落した原油価格だが今年末には年初より高くなっている可能性大
ジム・オニール(ゴールドマン・サックス・アセットマネジメント元会長)
1979年の後半、私は博士論文のための調査に着手した。テーマは、OPEC(石油輸出国機構)の余剰原油とその廃棄についてだった。
時はまさに、2度の石油ショックで原油価格が劇的な高騰を経験した70年代の最後の年。有識者の多くは、原油価格が高騰を続け、当時の史上最高値だった1バレル=40ドル未満から100ドル超に達すると自借満々に予測していた。
しかし私が82年に調査を終えた頃、原油価格は「20年にわたる急落」の時代に突入していた。実際に100ドルを超えたのは08年1月になってからだ。
この調査で学んだ最も重要な教訓は、原油価格の予測などやるものではないということ ― 私がよく口にした冗談だ。
昨年後半、原油価格は再び1バレル=100ドルの大台を突破した。今度は下落の方向にである。目下の注目点は、今年もこの下落傾向が続くかどうかだろう。原油価格の予測などやるものではないと書いたばかりだが、その答えはもう分かっているように思う。
私は33年にわたり、原油価格と外国為替相場の両方を研究する機会に恵まれてきた。これまで何度も試みたのは、原油の需要と供給が一敦する「均衡価格」を見つけることだ。
アナリストの分析を基に、通貨や債券利回りや株価にあるような均衡価格の予測モデルを作ろうとしたこともある。石油業界の専門家たちとも議論した。彼らの多くは、均衡価格は存在するという考えだった。ただ投機筋の売買などのために価格変動が大き過ぎ、予測の役には立たないというのだ。
だが私は、振れ幅の大きい均衡価格を予測するためのよい指標を見つけた。それは5年物の原油先物価格。平たく言えば、5年後の石油の受け渡しにいま支払われる金額だ。
欧州における現物価格(北海ブレント原油のスポット価格)に比べ、先物価格のほうが石油市場での投機の影響を受けにくく、実需を反映していると私は思う。そのため5年物の先物価格がスポット価格と逆の動きを始めたら、注意するようにしている。
注目はシェールと中国
スポット価格と先物価格の両方が08年の金融危機による下落から回復を遂げた後、11年になって先物価格が徐々に下落し始めた。一方でスポット価格は、その後もしばらく高騰を続けた。
この現象は、今の原油市場は2つの大きな要素が動かしているという私の見方に合致していた。その2つとは、アメリカのシェールガスとシェールオイルの開発、そして中国経済が量から質に重点を置くようになったこと(つまり中国のエネルギー需要がこれから減少に向かうということ)である。
そこで私は、原油価格はピークに達しつつあり、近くスポット価格も下落に転じて1バレル=80ドルに戻ると予測した。昨年後半原油価格は現にこの水準を割り込んだ。
私はもう価格予測を仕事にしていないが、1つ分かったことがある。原油価格は上がるか下がるかしかない。そして今後の動きは分かっている気がする。
最近読んだ記事は、原油価格が現在の水準にとどまれば、アメリカの今年のシェールガス・オイルの生産量は現在の予想より10%減る可能性があるとしていた。だが、シェールガス・オイルがアメリカにとって経済回復に欠かせない要素になっていることを考えると、生産量の減少は避けたいだろう。
その願いがかなう可能性も十分にある。今後数カ月は原油価格が上昇に転じることはないだろうが、一層の下落を妨げる要素は見えてきた。
現物価格は今や先物価格の80ドルを大きく下回っている。原油価格は今年も短期的には下落を続けるかもしれない。しかし年末には年初の価格を上回っている可能性が高い。」
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