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【ワシントン=矢沢俊樹】オバマ米大統領は20日行う2015年の一般教書演説で、富裕層が保有する株式などの資産課税を大幅に強化する方針を打ち出す。銀行がやみくもに債務を膨らませないよう、各行の債務残高に応じた手数料を徴収する異例の案も示す。「1%対99%」に象徴される歴史的な水準の米経済格差を是正する一方で、ウォール街へのけん制強化でリベラル色を鮮明にする。
ホワイトハウスが同演説に先立って17日夜、富裕層増税などの提案の概要をメディアに明らかにした。外交・安保やテロ対策、通商政策などの経済分野とならぶ教書の大きな柱の1つとなる。ただ、連邦議会上下両院の多数を占める野党・共和党の反発は確実で、実現の見通しは険しそうだ。
オバマ氏が表明する資産課税の中心はキャピタルゲイン(株式譲渡益)課税の強化だ。世帯年収50万ドル(約6千万円)以上の場合、キャピタルゲイン課税の最高税率を現行の20%(連邦税のみ)からレーガン政権時並みの28%に引き上げる。中間層のキャピタルゲインは夫婦で20万ドルまでは課税しない。
米では企業オーナーなどの富裕層が保有株を遺産相続する場合、信託などに入れておくと取得時の簿価が相続時に洗い替えされて値上がり益が発生せず、課税を回避できる仕組みになっている。
オバマ氏は富裕層に恩恵が偏るこうした税の抜け穴を封じ、相続でなく投資や消費にお金が回る道筋をつける。増税対象は「ほぼ上位1%の富裕層だけだ」と強調する。 ウォール街寄りの共和が米金融規制改革(ドッドフランク)の一部緩和・撤廃をもくろむのに対抗し、オバマ氏は銀行に対する「懲罰的」ともいえる措置も教書の目玉にすえる。
500億ドル以上の資産を抱える約100の金融機関から、債務残高に0.07%をかけた定率の「手数料」を徴収する。銀行自身が多額の借入金を積み上げて危うい投資に動かないようにする狙いだが、金融界は猛反発しそうだ。
一方で中低所得層の子育て支援は強化する。5歳以下の子供を抱える家庭については税額から控除できる金額を子供1人当たり最大3千ドルと現在の3倍にする。およそ500万の家庭の税負担が軽くなるという。
米経済と雇用の回復テンポは速まりつつあるが、株などの金融資産を多く持つ富裕層と中低所得層の経済格差は広がる一方だ。とくにヒスパニックや黒人などで格差に対する不満が強まっているのが現状。オバマ氏は「反格差・反ウォール街」というリベラル色の濃い教書を掲げ、民主党の支持基盤であるマイノリティー層に回帰する姿勢を示す。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM18H0C_Y5A110C1FF8000/?dg=1
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