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通貨交換を待つ人の列ができたモスクワの取引所。ルーブル暴落はプーチン大統領の体制にも大打撃となりそうだ(AP)
ルーブル暴落は米国のロシア潰し? プーチン体制揺さぶる“ミニ冷戦”
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141217/frn1412171830008-n1.htm
2014.12.17 夕刊フジ
原油価格の急落を受けてロシアの通貨ルーブルの暴落が止まらず、世界の金融市場がパニック状態となっている。原油に依存するロシア経済潰しを狙う米国の思惑もちらつき、盤石とみられたプーチン政権の先行きにも黄信号が点灯、米露が「ミニ冷戦」状態に入ったとの指摘もある。日本経済にとって原油安はメリットが大きいものの、円安の揺り戻しや株価下落、世界景気の悪化懸念など思わぬ不安要因ものしかかっている。
ロシアの通貨ルーブルの相場は16日、対ドルで1ドル=59〜79ルーブル台と、荒い値動きが続いた。史上最安値を更新し、一時は前日に比べ約25%の値下げを記録した。1年前は1ドル=30ルーブル程度だったが、通貨価値がほぼ半分になってしまった。
ロシア中央銀行は16日未明に緊急の大幅利上げに踏み切ったが、ルーブル安に歯止めをかけることはできなかった。インタファクス通信によると、ロシア中銀のシベツォフ第1副総裁は「状況は2008年の(金融危機の)最も困難な時期に匹敵することになるだろう」と危機感をあらわにした。輸入品を中心に物価が上昇、米アップルは自社サイトでルーブル建ての製品販売を一時停止した。
ルーブル暴落の背景にあるのが原油安だ。原油先物相場の指標となる米国産標準油種(WTI)1月渡しは16日、一時、約5年7カ月ぶりの安値水準である1バレル=53・60ドルまで下落。その後は小幅反発したが、市場関係者は「相場が下げ止まったわけではない」とみる。サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)が減産に踏み切らなければ「1バレル=50ドルを割り込む可能性が高い」という。
ロシアは国の収入の半分を石油や天然ガスで占めるとされる資源頼みの構造で、原油価格の暴落は経済を直撃する。ウクライナ問題で欧米の経済制裁を受けるなか、市場では、米国とサウジアラビアによるロシア経済潰しが原油安の背景ではないかとの観測もある。
これについて、ロシア問題に詳しい北海道大学名誉教授の木村汎(ひろし)氏は、「すべてとはいわないが、かなり当たっている部分もある。シェールガスやシェールオイルを手掛ける米国と産油国のサウジ自身にとっても原油安は痛いはずで、ロシアを困らせようという政治的、外交的な思惑があると考えるのが自然だ。エネルギーがプーチン大統領に打撃を与える最も有効な手であり、米露の“ミニ冷戦”ともいえる」と語る。
一方、国際政治学者の藤井厳喜氏は「サウジによる米国のシェール潰しとイラン潰しが原油安の最大の要因だ。それに付随して、イランを支援するロシアもたたいているという構図ではないか」とみる。
ロシアの通貨危機は今回が3回目だ。1998年には事実上の財政破綻、リーマン・ショックのあった2008年も大幅な通貨安となった。
今回は、外貨準備高が11月末時点で3736億ドル(約44兆円)あり、「ロシアは我慢比べには強い。欧州も表向きはロシアを助けることはできないが、ロシアビジネスで被害を受けることもあって難しい立場にいる」(藤井氏)のが実情だという。
金融市場ではロシアの破綻確率を示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の値が500ベーシスポイント台と11月までの水準から倍増、ロシア企業のデフォルト(債務不履行)懸念も強まるなどボディーブローが効いている。
前出の木村氏は、「いまの原油価格の水準が長期化すると、プーチン大統領の体制にも不安が出てくる。次の大統領選挙が2018年にあり、プーチン氏が立候補して当選するのがほぼ確実とみられていたが、黄信号が点灯する」と指摘する。
日本についてみると、ロシア発の世界的な株安によって衆院選後の株高期待のあてが外れた。一方、安全資産として円が買われ、格下げされた日本国債が買われるなど、日本経済への信頼感も鮮明となった。
原油安は家計の負担が軽減されるため、日本経済にメリットがあるが、世界的な金融危機や景気悪化に発展すると無関係ではいられない。
市場では、週内に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合で、どのような発言が出るかにも注目が集まっている。
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