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チャック・ヘーゲル米国防長官の辞任についての記事をご紹介します(古村治彦の酔生夢死日記)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/613.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 11 月 25 日 20:19:29: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://suinikki.blog.jp/archives/17487735.html

2014年11月25日

 古村治彦です。

 今回は、チャック・ヘーゲル国防長官の辞任についての論稿をご紹介します。日本時間の2014年11月24日夜にヘーゲル辞任のニュースが出ました。ニューヨーク・タイムズ紙などを読むと、「オバマ大統領から圧力をかけられた末の辞任」であるとあります。これはつまり「更迭」ということになります。

 以下の論稿は、ヘーゲルの辞任についてホワイトハウスとヘーゲルの関係悪化があったことを原因として挙げています。

 私は、今回のヘーゲルの辞任劇に関しては、ヒラリー派の巻き返しの結果であると考えています。拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年)でも書きましたように、ヒラリー系は人道的介入主義を掲げ、アメリカが世界各地で起きている紛争や危機にどんどん介入することを目指しています。

 現在のオバマ政権の外交・国家安全保障担当ティームには、ヒラリー系からスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官とサマンサ・パワー米国連大使(閣僚級)の2人の女性が入っています。ヘーゲルの次の国防長官の有力候補として女性初の国防長官となるかもしれないミッシェル・フロノイの名前が挙がっていますが(レオン・パネッタ辞任の時にも名前が挙がりました)、彼女はヒラリー系です。

 オバマ大統領は現在の脅威や危機(エボラ出血熱やイスラム国など)の対応が不十分であったということで、ヘーゲル国務長官を「更迭した」ということになっています。しかし、実際は、大統領自身が圧力に負けて「更迭させられた」ということであって、ヒラリー派の巻き返しと外交・安全保障分野で主導権を握ったと見るべきです。

 こうして見ると、ミッシェル・フロノイが国防長官に就任し、ヒラリー派が力を増すことで、2015年の世界は少しきな臭いことになるのではないかと私は考えています。

==========

晩秋に災難に遭って政から去る人物について(The Fall Guy)

ヘーゲルを政権から除くことはオバマ政権の国家安全保障担当ティームが患っている病気の治療にはならない。これこそが病気の症状そのものなのだ

デイヴィッド・ロスコフ(David Rothkopf)筆

2014年11月24日

フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌

http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/11/24/the_fall_guy_chuck_hagel_resignation_obama_administration_national_security_team

 チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)が国防長官に任命されると同時に彼を取り除くためのナイフが既にようにされていたのだ。しかしながら、最初のうち、彼を切り裂くためのナイフを持っていたのは、彼を国防長官に押し上げた、疑い深いマスコミであった。ワシントンの事情通たちは、ヘーゲルは上院議員として活躍し、ビジネス界と軍隊時代に大きな業績を上げたのだが、国防長官としては仕事ができなかったと述べている。しかし、本日、ヘーゲルはオバマ政権の閣僚の座から追われることが発表された。彼の国防長官としての資質や仕事ぶりに疑念を持っていた人々の多くは、彼が失敗したのだと感じた。

 オバマ政権第二期の最初の2年、国家安全保障分野の最前線においては様々な問題が起きた。私を含め多くの人々は、オバマ大統領はブッシュ前大統領が書いた本を読んでそれから教訓を学び、自分のためにうまく働かない政権のメンバーを交替させるべきだと主張してきた。

 約2カ月前、政権内部の事情通は、ヘーゲルはスケープゴートにされるかもしれないと言っていた。彼とホワイトハウスとの関係は悪かった。彼は力のある国防長官だとは考えられなかった。オバマ政権のアドヴァイザーを務めたある人物は、ヘーゲルについて、「オバマ政権に最初からいたかのように演じていた」と述べている。国防総省の幹部たちは、イラクとシリアの混乱状況を拡大させているイスラム国に対する大統領とホワイトハウスの国家安全保障担当ティームの首尾一貫しない対応に対して不満を募らせていった。ヘーゲルはこれを大統領とホワイトハウスに伝える役割を果たした。

 ヘーゲルを国防長官にしたことは、オバマ大統領と彼の側近のアドヴァイザーたちの判断ミスであると言えるだろう。ヘーゲルは国家安全保障を担当する国防総省の官僚たちをうまく動かすノウハウを持っておらず、オバマ政権第一期に国防長官を務めたロバート・ゲイツ(Robert Gates)とレオン・パネッタ(Leon Panetta)が示したほどの指導力を持っていなかった。ヘーゲルは、大統領が信頼して国防分野を任せることができる側近が少なかったということを示すシンボルであった。オバマ大統領は大統領になる前、ワシントンでは4年間の経験しかなく、そこで知り合った数少ない人物であるヘーゲルを国防長官に任命したのである。彼の数少ないワシントン経験が連邦上院議員であった。ヘーゲルは有名人ではあったが、国防長官に適した人物ではなかった。しかし、ヘーゲルは、オバマ、ジョー・バイデン(Joe Biden)、ジョン・ケリー(John Kerry)といった連邦上院外交委員会時代の同僚たちと仕事をすることを楽しんでいた。

 ヘーゲルに問題があったのではない。確かに彼は孤立してきたし、ワシントンDC以外で時間を使ってきた。しかし、オバマ政権は政権の閣僚たちをこれまでの政権に比べ、孤立させてきた。このことを知るためには、『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたマーク・ランドラーの記事を読むだけで良い。この記事は国務長官ジョン・ケリーについてのもので、ケリーはホワイトハウスとのつながりが絶たれており、彼は映画『グラヴィティ』で女優サンドラ・ブロックが演じた、宇宙でロープが切れてしまい漂流することになった宇宙飛行士と似ているというものであった。拙著『国家安全保障の問題』は、現在の諸問題を生み出した機能不全について書いたものである。そして、ホワイトハウスと閣僚の関係の抱える問題についても書いている。これは、パネッタ、ゲイツ、ヴァリ・ナシャール、そしてヒラリー・クリントンがそれぞれの著書の中で指摘していることである。

 いや、ヘーゲルの孤立、ヘーゲルとホワイトハウスとの間の緊張関係、アメリカ軍のトップであるヘーゲルが国防長官に就任してから不満を募らせていたこと、中途半端さ、イラクとシリアにおける戦いに関するオバマ政権の対応のまずさが示しているのは、オバマ大統領自身の政権運営もまずさであり、政策決定過程を見てみると、国家安全保障会議のやり方に問題があったと言えるのだ。

 二期目を無事に迎えた大統領の多くは選挙担当スタッフたちを政権から退かせ、政権運営により集中するものである。オバマ大統領は、しっかりとした政策を立案できる国家安全保障担当ティームを作るよりも、側近たちで固めて安心感を求めるようになっている。国家安全保障担当大統領補佐官 スーザン・ライス(Susan Rice)は、オバマ大統領の選挙対策ティームにおける国家安全保障政策担当の最高責任者であった。彼女は、現在の大統領首席補佐官であるデニス・マクダナウ(Denis McDonough)と一緒に選挙の当選のために働いた。彼らは、オバマ政権内部において同僚たちと「私たち対彼ら」という環境を生み出している。ヒラリー・クリントン選挙対策ティームにいた人々がそうしたことをしているのである。彼らは選挙対策ティームの戦術をそのまま使い、国際社会におけるアメリカの行動を国内政治の観点から考えるばかりで、これがオバマ政権の国家安全保障担当ティームが犯している間違いの原因を生み出しているのである。ホワイトハウスと国防総省・上院との分裂と対立、昨年のシリア攻撃を行うそぶりだけを見せたこと、国家安全保障局のスキャンダル、ウラジミール・プーティン(Vladimir Putin)ロシア大統領のクリミア侵攻に対する対応のまずさ、イラクの現在の状況といった失敗が起きているのである。

 オバマ大統領は国防総省のトップを考慮するにあたり、多くの素晴らしい選択肢を持っている。元国防次官ミッシェル・フロノイ(Michèle Flournoy)は最有力候補である。フロノイはヘーゲルが任命された時にも有力候補であり、それは今でも変わらない。元国防副長官アッシュ・カーター(Ash Carter)、元国防次官、元国防副長官で戦略国際問題研究所(CSIS)所長ジョン・ハムレ(John Hamre)も有力は候補者たちである。

 これらの候補者から1人を選び出して国防長官にしても、オバマ政権内部にあるより深刻な諸問題を解決することはできないだろう。率直に言えば、国防長官の職を提示された人は、ホワイトハウスが国防総省のトップになる彼もしくは彼女に対して職務を遂行し、使命を果たすために必要な力を与えてくれるという確信がなければ、提示を受け入れるかどうか苦悩することになるだろう。そして、もっと率直に言うと、任命される人は国家安全保障会議の政策決定過程に変更を加えてくれるように頼むべきだ。そして、ホワイトハウスのスタッフたちに集中し過ぎた権力を分割するように依頼すべきだ。そして、オバマ政権に対して「政府全体で解決する」ことについて話試合をするように求めるべきだ。

 繰り返すと、より重大な挑戦と懸念がこの問題について付きまとう。

 ここで言う挑戦とは、国家安全保障会議と国家安全保障ティームはオバマ大統領が何を望んでいるかを常に反映しているということである。オバマ大統領が過去2年間に犯した間違いをこれからの2年間で避けるためにはどう変化すればよいのかということを自分に問いかけたくないと考えるなら、閣僚がどれだけ変わっても意味はない。チャック・ヘーゲルが激しい綱引きの後に政権から去ることはそれが示しているように、オバマ政権の抱える諸問題に真剣に向き合うことを避けるジェスチャーなのである。それは空虚さよりも性質の悪いことなのである。ヘーゲルの辞任はオバマ大統領が自身の政権を強化することに抵抗し、アメリカ合衆国の国家安全保障上の利益を有効に追求することに抵抗していることのシンボルなのである。

(終わり)  

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コメント
 
01. 2014年11月25日 21:28:06 : lU8IVWM5cg
後任人事に注目していたが
そういうことなら、この分析で間違いなかろう

1期目の大統領ってのは、2期目をどうしても考えてしまうようで
(大体が2期務めるので、1期で終わると恥と感じるようだ)
オバマは、「現実的」人事をしてしまった
それは、勝手に動くトロイの木馬を大量に抱え込むことになった

まあ、鳩山と同じミスをしていることになるね

2期目は2期目で、死に体化は避けることが出来ず、こうなってしまう

だったら最初からお前。。。というね

しかし、選挙資金はウオール害から出ているので、逆らうことも出来ない

臆病だったという点でも、鳩山と似ている


02. 2014年11月26日 11:21:01 : 9Xk7zPooCM
ヒラリーの巻き返しというが、仮にそうであったとしてオバマのウクライナ政策が招いたロシアとの確執にヒラリーがオバマ以上の良策を以って対処できるとも思えない今、一体民主党であれ共和党であれアメリカ独断で世界の諸問題に立ち向かっていけるとアメリカ以外の国々が思っているのかという根本的な問いにはなにも答えていないわけで、であるならオバマの対応の拙さはその通りだとしてもオバマ以上にロシアに対して強硬に出るのか、または話し合い込みの硬軟両様で望むのかのどちらしか選択肢がない状況においては結局、オバマ以降誰がこれを引き継いでも現状維持か悪くなるかの二つしかないことは手に取るようにわかるはずだ。
現状維持より悪くなるほうを選ぶ大統または政府がアメリカに生まれたとして(その可能性は高まってきたが)、それはアメリカ衰退のアクセルを一杯に踏み込んだようなものだし、アメリカだけがそうなるのは勝手だがアメリカとともに世界がとばっちりを食う現実のほうが高まるのなら、それを回避しようと対策を取らざるを得ないとプーチンが発言するのもきわめて真っ当である。
要はアメリカの世界からの退場、引き際の問題である。
なにもアメリカが全て退いてしまうわけではない、そのことはアメリカ自身が一番わかっているはずだ。
それでも身体がデカすぎて容易に引き返せない悲劇がアメリカの最大の問題なのである。
しかし、それでも引き返してもらわねば完全に我々は巻き添えを食う。
なんとしてでもオバマより現実的な人物に大統領になってもらうほかない。
巻き添えを食っていいと思う人間だけ、アメリカを支持すればいい。
そんな奇特な人間は世界に少数のはずだが、ちゃんとした情報と想像力に欠けた国には多く生きている。
その国はどこだって?・・・いわずもがな、でしょう。

03. 仁王像 2014年11月26日 20:05:07 : jdZgmZ21Prm8E : kf2yA4kKS6
 古村治彦は副島隆彦の弟子だが、この見方はあまりにも穿った見方で先走りし過ぎている。誤りだと思う。
 オバマがヒラリーに屈して、「更迭させられ」、後任には積極介入派のヒラリーの手の者を付ければ、ただでさえレーム・ダック化しているオバマは身内に顔まで潰され見る影もない。
 古村にバレバレのことは米議会がすぐ察知するだろう。多数派を占める共和党からバカにされる。オバマはそれほどまでに急に「だらしなく」なってしまったのだろうか。
 別にヘーゲルという人物の人選を間違ったという話でもない。誰が国防長官になろうと、対外作戦がうまく運ばない以上(今後もうまく行くことはない)政権内部の抗争は止むことはない。米国はそんなモードに入ってしまっているのだ。

(関連)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/612.html#c5

http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/612.html#c7


04. 2014年11月27日 23:00:57 : c41LuHwGQw
>>03
「ヒラリーに屈して」と言っている時点で、投稿の内容を理解してるとは言い難いんだがなw

邪魔くさいので、ここまでで終わりにしようと思ったが、あと少し書いておくわ、ついでだ

オバマはもう共和党から散々な目にあっとるし
誰が国防長官であろうと、敵はイスラム国じゃない
焦点は、それにかこつけてアサド政権を弱体化させようとするかだ


05. 2014年11月28日 05:45:33 : WMJxreUfvU
アメリカの大統領に、閣僚やメンバーの人選権限など与えられたことなどなかったはずだ。大統領に選ばれる、これは日本が右倣えしたように完全なるイカサマ選挙であり八百長である、そうしたシステムの中で大統領の役割を担わされる前に、本人に面通しかお達しがあるかどうか、大統領自身の希望が聞き入れられることなどほぼ皆無であり、ほとんどが押しつけである。

06. 仁王像 2014年11月28日 06:38:57 : jdZgmZ21Prm8E : L2Lc3Qiq2o
 >>04>>05

 なるほど。ヒラリーのバックにあるもっと大きな権力の介在を示唆していると見る。

 だが、オバマは一貫して「地上軍は送らない」と表明している。これに同じ大きな権力は介在しなかったのか。
 また非常に政治性の強いノーベル平和賞をオバマに付与したことに同じ大きな権力は介在しなかったのか、という大疑問が残る。
 対外作戦が思い通りに運ばないことから露呈した政権の内部抗争という観点で見ないと、これらマクロの政治現象を合理的に説明できない。


07. 2014年11月28日 23:37:28 : Y7DCGUFcdQ
>>3

>>6

>マクロの政治現象を合理的に説明

↓ということじゃないの。

ネオコンと人道的介入主義派が壊す世界 (古村治彦の酔生夢死日記)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/232.html


08. 2014年11月29日 03:16:25 : WenGoWaBvc
オバマは蚊帳の外状態で、外交はネオコン・ナチス・シオニスト・ドル詐欺陣営の
やりたい放題の筈。戦争屋ジャパン・ハンドラーからの脅しか皇室への無心のためか、来日したオバマの安倍との記者会見での発言において、対中国、尖閣諸島の領土問題、防衛問題に関して明らかな誤訳が行なわれたたことから、マスメディアで報じられるオバマの発言、発表は事実かどうか疑ってかからないと、すべてネオコン・ナチス・シオニスト・ドル詐欺陣営にとって都合の良い内容でミスリードされてしまうように感じる。

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