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ロシアのサンクトペテルブルクに設置されていた米Apple創業者スティーブ・ジョブズ氏の記念碑が撤去された。ジョブズ氏の後継者としてAppleのCEO職を引き継いだティム・クック氏が同性愛者であることをカミングアウトしたことを受けての措置だという。
撤去されたのは、「iPhone」の形をした高さ2メートルの記念碑。複数のロシア企業で構成されるZEFSと呼ばれるグループが2013年1月、サンクトペテルブルクの大学の構外に設置したものだ。
ZEFSは11月3日に声明を発表し、同性愛宣伝禁止法(未成年者に同姓愛を宣伝する行為を禁じた法律)を順守する必要性から、この記念碑を10月31日に撤去したと説明している。AppleのクックCEOはその前日の30日に同性愛者であることを発表した。
「ロシアでは、未成年者に同性愛や性的倒錯を宣伝する行為が法律で禁じられている」とZEFSは声明で説明し、記念碑は「若い学生や研究者が行き来するエリア」に設置されていたと述べている。
「Appleのティム・クックCEOが同性愛をカミングアウトしたことを受け、記念碑を撤去した。伝統的な家族の価値観を否定するような宣伝情報から子どもたちを守るためのロシア連邦法を順守するためだ」と、声明は続いている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2013年、「伝統的な価値観」を促進すべく、未成年者に同性愛を宣伝する行為の拡散を禁じる法律に署名した。
プーチン大統領は「ロシアでは同性愛者に対する差別はない」と主張し、この法律は「若者を守るためのものだ」と強調している。だが同性愛者のコミュニティはこの法案が可決されたことで悩みが増えたと感じているという。
ZEFS(英名Western European Financial Union)は、不動産、建設、広告、マイクロファイナンス(小口金融)など、さまざまな業種の企業で構成されている。
クック氏は人権の啓発に役立ちたいとの思いからカミングアウトを決意したと説明している。クック氏が同性愛者であることはシリコンバレーのITコミュニティでは広く知られていたが、はっきりと話題にされることは滅多となかった。
2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は同性愛者ではなかった。
ロシアのメディアによると、同性愛者の権利に反対する運動を進めているサンクトペテルブルク市議会のビタリー・ミロノフ議員はクックCEOのロシア入国を禁止するよう呼び掛けているという。同議員は、プーチン大統領が署名した法案を推進していた議員の1人でもある。
記念碑の撤去を命じたZEFSのマキシム・ドルゴポロフ代表は3日に発表した声明において、個人制裁には反対の立場を示しながらも、「法律で伝統的価値感を保護すること」については支持を表明している。
「罪が規範となるべきではない。ロシアの法律を守ろうとしない人たちには、ロシア国内に用はない」と、同氏は語る。
とりわけ2014年2月にはプーチン大統領の下、黒海沿岸のリゾート地ソチで冬季オリンピックの開催が控えていたこともあり、同性愛宣伝禁止法の成立に西側諸国では激しい反発と抗議が沸き起こった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/04/news122.html
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