http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/487.html
Tweet |
『ニューズウィーク日本版』2014−10/14
P.19
「NYのバスと地下鉄でヘイト広告騒動が
表現の自由か、行き過ぎた差別行動か
反イスラムを掲げる交通広告の波紋
イスラム過激派を批判する広告を載せたバスが、ニューヨークの街を走っている。広告主は極右団体の「アメリカ自由防衛イニシアチブ(AFDI)」。総額10万ドルを投じて先月29日から1カ月の予定で、地下鉄2駅とバス100台に「イスラムのユダヤ人憎悪はコーランにある」などのスローガンを付けた広告を掲示している。
AFDIのパメラ・ゲラ一代表は本誌に対し、広告の目的は「アメリカにジハード(聖戦)の脅威が存在するという現実を否定したり、無視したりする態度を改め、有効な対テロ対策を取ることだ」と語った。
キャンペーンは開始前から、宗教指導者や政治家、市民団体から厳しい批判を浴びた。アラブ系アメリカ人を中心とする草の板の活動グループ「テイク・オン・ヘイト」は抗議デモを行い、「反イスラムのヘイト広告」だと非難した。
ニューヨークのデブラジオ市長もニューヨーク・デイリー・ニューズ紙で、「非道で扇情的で、間違った広告であり、ニューヨークはもちろん、どこにもふさわしくない」と述べている。
AFDIは12年にも、ニューヨークの地下鉄にジハードを批判する広告を出している。ニユーヨーク州のMTA(大都市圏交通公社)はいったん掲示を拒否したが、AFDIが提訴。結局、宗教や国籍、祖先などを理由に個人や団体を誹讃する広告を拒否するというMTAの基準が、表現の自由を保障する米憲法修正第1条に違反しているという判断が下された。
それ以来、MTAは有料スペースの広告に、「MTAがすべての内容に賛同することを意味しない」というただし書きの併記を義務付けている。
ヘイトクライムも急増
AFDIは今回、6種類の広告を用意している。なかでも、アメリカ人ジャーナリストのジェームス・フォーリーを殺害したとされる、イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の実行犯の画像を使ったデザインは物議を醸した。
彼がISISに加わる前の写真と、ISISが公開したフォーリーの殺害場面の写真を並べ、「昨日の穏健派が今日はニュースの主役」というフレーズが躍る。ゲラーに言わせれば、「穏健派と過激派の区別に意味がないことを強調している」。
ただしフォーリーの遺族の要請を受けて、このデザインは掲載直前に取り下げられた。その後、フォーリーの写真は、ISISの幹部とされる写真と差し替えられた。
一連の広告は「教育キャンペーン」であり、反イスラム教徒でも反イスラムでもなく、反ジハードだと、ゲラーは言う。
AFDIの広告は表現の自由の一線を越えたヘイトスピーチ(差別的表現)だと、テイク・オン・ヘイトの幹部リンダ・サルスルは言う。「隣に住むイスラム人と、卑劣なISISのテロリストが同じだと考えることこそ、反イスラムだ。これらの広告は、無実のニューヨーク市民に対する憎しみと潜在的な暴力をあおる」
サルスルは、緊張が高まっている時期にキャンペーンが始まった点も憂慮している。ニューヨーク市警察によると、イスラム教徒に対するヘイトクライム(宗教や民族を理由とした差別犯罪)は昨年から143%増加。今年7月1日以降で、イスラム社会を狙った事件は14件起きた。
今回の広告キャンペーンは、12年に比べてかなり大規模に展開されている。「これまで以上に多くの人が、これまで以上に広告を目にすることになる」と、サルスルは懸念する。
スタブ・ジフ」
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。