03. 2014年9月26日 05:26:46
: 358VeCXh4E
ただしロシアに言われたくはないだろうwhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41816 バルト諸国を揺るがすロシアの領空侵犯 2014年09月26日(Fri) Financial Times (2014年9月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ロシア軍機が飛来、ノルウェー沖 ロシアによる軍事的挑発が急増している(写真はロシアのスホイ27型戦闘機)〔AFPBB News〕 バルト諸国でロシアによる軍事的挑発が急増し、ロシアが地域大国として力を振るおうとする中で、この地域がウクライナに続く次の開拓地になるのではないかと懸念している人々の神経を逆なでしている。 バルト諸国の領空警戒任務にあたる北大西洋条約機構(NATO)の戦闘機は今年に入り、リトアニアの国境沿いで68回緊急発進(スクランブル)した。過去十数年間で圧倒的に多い回数だ。 ラトビアは、ロシアの航空機の領空接近が確認され、危険な行動がないか監視された「きわどい事案」を150回記録した。エストニアは、今年5回、ロシアの航空機に領空を侵害されたと述べており、その数は昨年までの8年間の合計数7回に迫っている。 フィンランドは、過去10年間の年間平均が1〜2回だったのに対し、今年は5回、領空を侵害された。一方、スウェーデンは先週、カール・ビルト外相が8年間の外相在任中で「最も深刻な領空侵犯」と呼んだ一件に見舞われた。 空軍力を誇示するロシア、米国などの防空識別圏にも侵入 「バルト地域と欧州北部全土の多くの人が、これは将来にとって何を意味しているのかと心配している。無害な出来事ではなく、かなり不快だ」。バルト防衛大学の講師、ジェームズ・ロジャーズ氏はこう言い、侵犯行為は「ロシアがまだ大きな空軍力を持つことをすべての人に思い出させようとしている」表れだと付け加えた。 バルト諸国は上空でのロシアの冒険主義の矢面に立たされてきたが、はるかに広範に及ぶ地域で同じような事案が急増しており、カナダ、米国、オランダ、ルーマニア、英国を含む他のNATO加盟国も領空接近・侵犯を経験してきた。 ある西側の政府関係者によると、同盟国の領空付近でのロシアの活動のために、今年は即応警戒態勢(戦闘機の緊急発進)の回数が100回を優に上回っているという。2013年通年の実績から3倍に増えた計算だ。 「こうした飛行の一部は、NATO加盟国の東部国境沿いで行われているロシアの軍事演習と軍事活動の増加に起因すると考えられるが、多くの場合、ロシア軍は侵入を認められていない空域に入ることで挑発的な行動を取っている」。事案の数に対する懸念があることを認めたNATO軍のある高官はこう語る。「ウクライナのケースと同様に、上空でのロシアの攻撃性は国際社会とロシアの緊張を増大させる」 報告された事案の多くは、別の国が主権を持つ領空――NATO加盟国の海岸線から12海里までの空域――を侵害したものではなく、国が領空外の外国航空機に識別と管制を求めるエリア「防空識別圏(ADIZ)」に侵入したものだ。 典型的なケースでは、ロシア機はトランスポンダー識別コードを発信するトランスミッターを切り、標準の飛行計画から逸脱するか、または飛行計画を提出しない。このような措置を取ると、航空機が民間航空管制システムに察知されなくなる。 ロシアの上空侵入には様々な航空機が関与しており、小型のスホイ27型戦闘機、偵察機からツポレフ22型超音速爆撃機、さらには巨大なツポレフ95型長距離核爆撃機までが各国の上空に侵入している。 米国防総省によると、過去2カ月間だけでも、ロシアの核爆撃機が少なくとも16回、米国とカナダのADIZに侵入したという。9月17、18両日にあった直近の侵入は、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領によるオタワ、ワシントン訪問と時期が重なった。 ソ連占領の歴史があるバルト諸国の不安 このような政治的なメッセージを別にすると、幅広い軍備増強が事案急増の背景にある。外国の軍事専門家は、ウラジーミル・プーチン大統領による「抜き打ち」軍事演習実施や年次演習計画の前倒しはどれも、プーチン政権が防衛と大国の地位奪還に割り当てた優先度の高さを反映していると指摘する。 過去数年間にわたる軍事費増加はロシア空軍に大きな能力と資源を与え、ロシア空軍は従来より頻繁かつ遠くに航空機を飛ばしている。 ソ連による占領の歴史があり、ロシアとの間で激しい政治論争を抱え、ロシア系住民が多いバルト諸国ほど、ロシアの力の誇示が大きな懸念を呼ぶ地域はない。国外のロシア系民族は「ロシア世界」の一部であり、それゆえロシア政府による保護に値するとするプーチン大統領の主張がそうした不安を再燃させた。 By Richard Milne in Oslo, Sam Jones in London and Kathrin Hille in Moscow http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41808 ナショナリズムの奇妙な復活 2014年09月26日(Fri) Financial Times (2014年9月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) カタルーニャで独立派デモに数十万人、住民投票求め巨大人文字 9月11日、スペイン北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナで行われたスペインからのカタルーニャ独立を求めるデモ〔AFPBB News〕 経営コンサルタントの大前研一氏は1990年に、グローバル化の精神を捉えた『ボーダレスワールド』というタイトルの書籍を出版した。 その後ほぼ25年間にわたるビジネス、金融、技術、政治の進展は、国境と国境が守ってきた国民国家の容赦ない衰退を裏付けたように見えた。 国際情勢の会議は、世界で最も重要な問題はもはや国が単独で行動することで対処できなくなったとの発言が誰かから出ずに終了することがなかった。 インターネットの出現によって、国境はもう問題にならないという考えが強固になった。ビットとバイトの国境なき世界では、領土、国民意識、主権などの伝統的な国家の関心事が、剣と盾のように時代錯誤なものに見えた。 しかし、国家や国境、国民意識は今や重要ではないということを、誰かが政治家と有権者に伝え忘れたようだ。先週、スコットランド人の45%が英国から独立した国家の創設に賛成票を投じた。この住民投票には、スペインのカタルーニャや中国のチベット、カナダのケベックなどの分離独立運動から熱い視線が注がれた。 欧州で最も危険なナショナリストはプーチン大統領 分離独立運動は、ナショナリズム復活の一面だ。欧州、アジア、中東では、確立した国家でさえ、ナショナリストの政治家が闊歩している。 欧州で最も危険なナショナリストはロシアのウラジーミル・プーチン大統領だ。プーチン氏は、どこに住んでいようと関係なくロシア語を話す市民を守る権利、いや義務をも謳ってクリミアを併合した。多くの人が不安げに指摘した通り、これは旧ソ連の領土全域に介入する口実をロシアに与える可能性がある。 欧州連合(EU)がプーチン氏に対する反対勢力をかき集めようと奮闘しているのをよそに、西欧諸国にはフランスの国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首など、公然とプーチン氏を支持するナショナリストの政治家がいる。 ドイツで台頭している政治勢力は、ドイツの利益が欧州の利益の下位に置かれていると主張する「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。繁栄しているスウェーデンでさえ、極右のスウェーデン民主党が総選挙で13%の得票率を記録したばかりだ。ハンガリーでは、ハンガリー市民同盟(フィデス)政権が明確な権威主義的傾向を持ち、国外にいるハンガリー人の運命に強い関心を抱いている。 アジアで最も有力な3大大国の中国、日本、インドは、カリスマ的なナショナリストの指導者が国を率いている。中国の習近平国家主席、日本の安倍晋三首相、インドのナレンドラ・モディ首相は、国内の経済、社会改革に拍車をかける手段として国家再生という似たようなレトリックを使う。 しかし、国際的には、彼らのナショナリズムは中国と2大隣国との国境紛争という形で衝突し、戦争のリスクを高めている。もし我々が国境なき世界に住んでいるのだとすれば、時として自国領土の境界策定に取りつかれているように見える中国人、日本人、インド人に、誰かがそれを伝え忘れたように思える。 一見すると、中東はナショナリズム復活のこのパターンの例外のように思える。中東地域の最も危険な新勢力は、国境を軽視するジハード(聖戦)主義運動「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」だ。しかし、最も人口の多いアラブ国家のエジプトはナショナリズムに傾き、軍主導の政権がイスラム主義に代わるイデオロギーを模索している。 ナショナリズムが復活している理由 こんなに多くの経済的、技術的な力が反対方向に作用している時に、奇妙にも世界的にナショナリズムが復活している理由は何なのか? 1つの答えは、グローバル化の予言者たちが恐らく常に、残存するナショナリズムの力を甘く見積もっていたということだ。空港のラウンジや国際会議で時間を過ごせば、ほとんどの人は特定の場所に根差した生活を送っているということを簡単に忘れてしまう。 実際、方向感覚が曖昧になるグローバル化の効果によって、恐らく人々は、共通の言語であれ、互いに共有する歴史であれ、より地域的もしくは国民的な物事の中に安心感と意味を探すようになる。2008年の経済危機の後は、グローバル化と国際金融に対する疑念も大きく高まった。 貧困と戦争は、特に欧州と中東の比較的安全な地域に流れ込む難民の大量移動をもたらしている。集団移住や難民危機ほど、国境の永続的な重要性を人に意識させるものはない。移民に対する反発が、フランスのFNやスウェーデン民主党、英国独立党(UKIP)のようなナショナリスト政党の台頭の中核を成してきた。 最後に、そして恐らく最も危険なことに、国際秩序が新たに不安定になったという感覚がナショナリストの感情を煽っているのかもしれない。国や分離主義の運動が、これまで眠っていた自分たちの計画を推し進める機会を見いだすからだ。 プーチン氏は過去に何度もソ連崩壊について残念そうな言葉を口にしてきたが、今では、それについて何らかの手を打つだけの強さがあると感じている。 残念なことに、ナショナリストの運動は外国人に対して自らを定義するため、隣国で対立するナショナリストの運動を引き起こすことが多い。 この現象は英国でさえ見て取ることができる。英国では、スコットランドのナショナリズムの高まりがイングランド人の間でスコットランド人に対する一定の敵意を生んだ。 危険度を増す日中関係 アジアでは、それよりはるかに危険な形で同じ力学が働いている。中国では、最近の世論調査で5割以上の国民が日本との戦争を予想していることが明らかになった。別の意識調査では、9割以上の日本人が中国に対して否定的な考えを持っていることが分かった。 今より楽観的だった時代にボーダレスワールドという概念を広めたのは、日本の思想家の大前氏だった。それから25年にわたり、同氏の洞察は強力で先見性があるように見えた。悲しいかな、今や、ナショナリズムが蘇った世界と次第にずれてきているように見える。 By Gideon Rachman
|