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ロシアの通貨ルーブルが急落し、今月に入って史上最安値を更新した。ウクライナ危機を巡る欧米の追加制裁への懸念から、資金を国外に引き揚げる動きが加速。物価高から政策金利の引き上げを余儀なくされ、消費など実体経済にも影響が出始めた。
足元のルーブルの為替相場は6月をピークに下落に転じ、今月17日に1ドル=38・71ルーブルと史上最安値を更新。その後も安値水準を続け、ウクライナ危機が深刻になった昨年末から、ドルに対して約15%値下がりした。ユーロに対しても同じ期間に約9%下がった。
12日に欧州連合(EU)と米国が発動した追加制裁は、ロシアの国営大手銀行やエネルギー企業に対し、欧米での資金の調達や設備の購入などの制限を広げた。
こうした動きを先取りする形で、石油大手ロスネフチが8月、「資金が不足して油田の開発ができなくなる恐れがある」として、政府に1・5兆ルーブル(約4兆円)規模の支援を要請した。パイプライン建設などで完成が遅れる可能性も出てきた。
大手企業の業績悪化を見越して、すでに外資マネーが株式市場から引き揚げ始めており、ルーブル売りの要因になっている。
今後の制裁で、ロシアの銀行がドルやユーロの取引を禁止されかねないという不安も、ルーブルの下落に拍車をかけている。地元銀行の幹部は「投資家が早めにルーブルを売って、資金を国外に移している」とみている。ロシアのクドリン前財務相は「今年のロシアの資本流出額は1100億ドル(約12兆円)にのぼる」と予測する。
ロシアのメドベージェフ首相は19日、週末に開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を前に、ロシアが国際送金網から締め出される恐れがあるとして、「以前のように、国際金融について話し合うことはできない」と語った。
■物価上昇、消費を直撃
通貨安は、すでに実体経済に影響を与え始めた。
食料品や自動車などの多くを輸入に頼るロシアにとって、通貨安は輸入価格が上がるので影響は深刻だ。ロシア連邦統計局によると、8月の消費者物価指数は前年同月から7・6%上がった。中でも食料品は10%の上昇。8月に欧米からの食品輸入を禁止したので、さらに上がる可能性も出てきた。
インフレを抑えるため、ロシア中央銀行は今年に入って3回の利上げを実施。昨年は年5・5%だった政策金利はいまや8%だ。
物価高や金利の上昇は、好調だった個人消費を直撃している。
ロシア極東のウラジオストク市内の市場を歩くと、にぎやかな野菜売り場に比べ、肉屋の客はまばらだ。店員のアレクサンドルさんは「制裁後、輸入肉だけでなくロシア産肉も30%上がった。客から抗議も来ているが、商売だから仕方が無い」と話す。
すでに高額商品の販売量は落ち込みが激しい。ロシアの8月の新車販売台数は前年同月比で25・8%下がった。家電販売の勢いも鈍い。大手家電量販店ベ・ラゼルのミトロファノフ会長は「金利高で、ローンに手を出しにくい状況だ。消費者は出費を減らし、景気の成り行きを見守っている」と話す。海外旅行客の減少で、大手旅行会社の倒産も相次ぐ。
ロシア政府は今年の実質経済成長率の見通しを0・5%としているが、専門家の中には、マイナスになるとの予想も出ている。(ウラジオストク=中川仁樹)
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