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【ブリュッセル斎藤義彦】北大西洋条約機構(NATO)のデホープスヘッフェル前事務総長が毎日新聞のインタビューに応じ、「ウクライナとグルジアを将来NATOに加盟させる」と決めた2008年のNATO首脳会議の合意について、「絶対に実現不可能だ」と述べた。首脳会議は前事務総長が議長を務めたが、特にウクライナについて「実際に加盟させるとなると、加盟国が全会一致で合意できない。その状況は当時から現在も変わらない」と語り、当初から「空約束」だったことを明らかにした。
ロシアのプーチン大統領は、このNATOの合意を根拠に今年3月のクリミア半島編入や東部の親ロシア派支援などウクライナへの介入を進めてきた。だが、実体のないNATOの決定にロシアが反発し、ウクライナ危機が深まったのが実態といえそうだ。
NATO首脳会議は08年4月、ルーマニアの首都ブカレストで開かれた。前事務総長によると、ウクライナとグルジアの加盟を強く推すブッシュ米大統領(当時)と、ロシアへの刺激を避けたいサルコジ仏大統領(同)、メルケル独首相らが対立した。協議は行き詰まり、随行の官僚や家族を退席させ、首脳だけでひざ詰めの話し合いを続けたという。しかし結局、合意できず、加盟目標の期日を特定しない「将来、加盟させる」との「ブカレスト宣言」を採択した。
前事務総長はこの宣言がNATOの基本方針であることは現在も変わりないとしながらも、「悲しい結論」で「妥協」だったと述べた。
グルジアとウクライナでは03年以降、「バラ革命」、「オレンジ革命」と呼ばれた民主革命が相次ぎ、親欧米派政権がそれぞれできた。これがロシアの反感を招いたが、08年当時はさらに米国が欧州で進めていたミサイル防衛(MD)計画にロシアが猛反発し、欧米側との対立が深まった。
前事務総長はブカレスト宣言採択当時、「ウクライナとグルジアの加盟に一片の疑いもない」と記者会見などで説明していたが、ロシアに対する欧米の結束をアピールする狙いがあったとみられる。だが、実際には加盟の実現性はないと当時から判断していた。
前事務総長は「正直に言えば、ウクライナは常にロシアの影響圏と西側の影響圏の緩衝国であり続ける。地政学的な現実は否定できない」とし「(NATOは)ウクライナのために戦争はしない。加盟問題を再検討するのは賢明でも知的でもない」とウクライナを突き放した。
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前事務総長はオランダ外相を経て、04年から09年までNATO事務総長を務め、01年の米同時多発テロ後のNATOのアフガニスタン介入などを主導した。
http://mainichi.jp/select/news/20140921k0000e030123000c.html
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