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米国人の目から見たクリミア (ビデオ) (ロシアの声)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/390.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 14 日 00:35:06: igsppGRN/E9PQ
 

米国人の目から見たクリミア (ビデオ)
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_09_13/277245220/
13:17 ロシアの声


カリフォルニア映画スクール卒業を目前にして、ミゲル・フランシス氏は、自分が初めて撮るフィルムのテーマをクリミアにすると決めた。そして彼は、撮影の準備をする中でクリミアについて、米国のマスコミを通じ手に入るあらゆる情報に目を通し研究し、自分は熱く燃える紛争地に行くものだとばかり思っていた。 


しかし実際に彼がクリミアで見たものは、彼が想像していたものとは全く違っていたのだ。



 

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01. 2014年9月14日 06:12:14 : jXbiWWJBCA
もう一つのメルマガ、「冷泉彰彦のプリンストン通信」(まぐまぐ発行)
http://www.mag2.com/m/0001628903.html
(「プリンストン通信」で検索)

先々週から先週までの内容を簡単にご紹介しておきます。

第027号(2014/09/02)
秋入学という光景
アメリカは「反テロ戦争」に戻っていくのか?
連載コラム「フラッシュバック69」(第13回)
次期戦闘機F35問題と日米関係
Q&Aコーナー

第028号(2014/09/09)
スコットランドは「独立」するのか?
租界という危険思想
連載コラム「フラッシュバック69」(第14回)
高市早苗氏とアメリカ
Q&Aコーナー

JMMと併せて、この『冷泉彰彦のプリンストン通信』(毎週火曜日朝発行)も同
じように定期的にお読みいただければ幸いに存じます。購読料は月額800円+税
で、初月無料です。登録いただいた時点で、当月のバックナンバーは自動配信され
ます。

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 もう「あの日」から13年となりました。ここ数年、年を追うごとに「911の
周年行事」は全国レベルでの関心は薄れていき、NY周辺(とDC、ペンシルベニ
ア)のローカルな行事になっていました。ですが、今年の「911」は、その地元
であるNYでも扱いが小さくなり、行事自体も更に一層、遺族主体の静かなものに
なっていった印象です。

 一つの大きな変化は、911の直後に選出されて翌年から慰霊祭を12年にわた
って仕切ってきた、マイケル・ブルームバーグ前市長が任期満了で退任していると
いうことです。政治色を排して厳粛さを保つ工夫など「慰霊祭の伝統」を作ってき
たブルームバーグ市政が終わったことで、一つの時代がまた過去へ消えていったよ
うにも思います。

 今年の慰霊祭には、そのブルームバーグ氏も、更に前任のジュリアーニ氏も来て
いましたが、更に輪をかけて質素なものとなり、スピーチも詩の朗読もありません
でした。国歌独唱と遺族による犠牲者の氏名読み上げ、そして鐘の音とともに行わ
れる4回の黙祷、それだけの儀式となっています。

 昨年に開館した「911記念館」がこの911当日も遺族のためにオープンにな
るほか、夕暮れからは2本の「光の塔」のセレモニーは行われるなど、「あの日」
を思い起こす行事はあるにはあるのですが、直後の時期のものとは大きな様変わり
をしています。

 一番の変化は、その記念館を含む「ワールド・トレード・センター跡地」の整備
がほとんど完成したということでしょう。ツインタワー再建の意味合いを込めた
「ワン・ワールド・トレードセンター」という米国で最も高いビルは今年オープン
する予定で、建物はほぼ完成しています。何よりも記念公園が「一対の追悼の池」
そして「記念館」を中心に静かな空間として整備され、通常は完全に一般公開され
ているということでしょう。

 この記念公園に先週訪れる機会があったのですが、慰霊祭の前週ということもあ
り、沈痛な面持ちの遺族の方々も散見される一方で、全国、全世界からの観光客が
大勢入場しており、その表情はリラックスしていて記念写真を取る人も多く、極め
て日常的な空間になっていました。

 この「13年」という年月は、そうした変化の中にあるのだと思います。やがて、
「ワン・ワールド・トレードセンター」がオープンし、102階に出来るという展
望フロアーに観光客が行き来するようになれば、そして官民の多くのオフィスが入
居して多くの人びとが通勤するようになれば、落ち着いた「新しい日常」が出来て
いくのだと思います。

 その9月11日は、少々蒸し暑かったり薄雲が出たりしていたのですが、翌日の
12日は快晴となり、この季節、東海岸特有の真っ青に澄み切った「クリスタル・
ブルー」の空となりました。ふと「あの日」の記憶が濃厚によみがえると共に、
「あの日」を契機としてアメリカが突っ込んでいった「戦時の日々」の感覚、ある
いは「戦時」への「恐れの感覚」が戻るのも感じたのです。

 戦時への「恐れ」の感覚というのには理由があります。この「911の13周年」
の前夜に当たる9月10日の夜、東部時間の午後9時にオバマ大統領はホワイトハ
ウスから全国へ向けてのTV演説を行い、「ISIS(「イスラム国」あるいはオ
バマの言い方によればISIL)」を壊滅するまで追い込むと宣言、敵の本拠は
「どこであろうと」攻撃するとして、シリア領内のISIS拠点への空爆を宣言し
ました。

 このシーンですが、まるで2002年の再現とも言えます。2002年の9月11
日、NYが、そして全米が「911の一周年」に沈痛な思いを感じていた中で、そ
の日の夕刻にブッシュ大統領は「自由の女神像」をバックに、TV演説を行った、
12年前のその記憶が蘇るのを感じたからです。

 そのブッシュの演説の内容は「イラクのサダム・フセイン」に対して、厳しく敵
視をする「まるで翌年のイラク戦争へ向けての宣戦布告」のようなものでした。確
かに、その年の年初にブッシュは、唐突に「悪の枢軸三か国」を名指しで批判し始
めイラクへの敵視をしていましたから、多少の予兆はあったのです。

 ですが、一般的には「911はアルカイダ」であって「フセインは無関係」とい
うのは当時でも常識であり、唐突な感じは免れませんでした。そして、その200
2年9月から、国連を通じてブッシュはイラクのフセイン政権は「大量破壊兵器を
持っている」と決めつけて行き、2003年3月にはイラク戦争の開戦に至ります。

 ですが、そこまで記憶を辿って行くと、やはり現在と2002年の当時では全く
世相が異なるのを強く感じます。「TVで空爆を宣言するオバマ」と、911の慰
霊の公園を包んでいる穏やかな時間、そのどちらが「2014年の現在」を代表し
ているのかといえば、それは「穏やかな時間」の方だと思えるのです。

 例えば、この9月11日のニュースで、例えばNBCの朝の『トゥデイ』の場合
を例に取りますと「911の13周年」というのは4番目でした。オバマの「シリ
ア空爆宣言」も3番目であり、トップニュースは「義足ランナー」ことオスカー・
ピストリウス被告の恋人射殺事件の判決で「殺人罪は無罪」という速報、そして2
番目はNFL(プロ・アメリカン・フットボール)のスターであるレイ・ライス選
手のDV問題でした。

 911よりも、シリアのISISよりもDV問題の方が扱いが大きいというのは、
これはどう考えてもアメリカに流れている時間が「平時」であることを意味します。
ちなみに、DVの問題(ピストリウスの事件もこの問題に関係します)が芸能ゴシ
ップのレベルのニュースであるというわけではありません。個人の感情と、社会的
な人権の問題が複雑に入り組んだDVという深刻な問題に向き合うのは、社会全体
が「戦時」では難しいわけで、そうではないということです。

 そう言えば、2001年の9月11日は火曜日で、事件の起きる直前の「平和で
あった」午前7時台のニュースでは、女優アン・ヘッシュの同性愛問題でした。こ
れも、芸能ニュースというよりも、当時はまだ確立していなかった同性間の交際に
関する人権問題も絡んだ報じられ方もしていたように思います。その頃の「平時」
の感覚が蘇っているのを感じます。

 勿論、アメリカは段階を追って「戦時」の感覚から脱してきたということも言え
ます。確かに2001年の「911」の直後から、特に10月のアフガン戦争勃発
以降は「ブッシュによる戦時の政治」というムードに全米が覆われており、その支
持率は圧倒的でした。その勢いに乗ってイラク戦争が戦われたのです。

 その「戦時の感覚」ですが、例えば2003年夏にはハワード・ディーン候補に
よるブッシュ批判が一時的に支持を受け、2004年の大統領選でジョン・ケリー
候補が善戦する中で、少しずつ緩和されていったように思います。そして、200
5年の「ハリケーン・カトリーナ被災」の対応を巡ってブッシュ政権の権威が失墜
する中で更に薄らいでいき、同時にイラク戦争の戦況が悪化する中で厭戦ムードが
強まって行きました。

 そして2008年にはオバマが大統領選に勝利する一方で、その選挙の直前の9
月にはリーマン・ショックが発生、以降のアメリカは内政、とりわけ経済と雇用が
異常事態となる中で戦争どころではなくなっています。アフガンへの一時的な増派
もありましたが、アフガンもイラクも撤兵への流れとなっていったのはある意味で
当然でした。

 やがて、下落を続けた株は2009年3月から反転、悪化の一途であった雇用も
2011年後半からは徐々に好転して行きました。やがて株は史上最高値ゾーンに
入っていき、雇用も現在では6%台の前半で安定し、先週発表になった8月の雇用
統計では6.1%まで回復しています。

 たぶん、現在のアメリカの世相に見られる「落ち着き」というのは、ブッシュ時
代以来の「戦争の雰囲気」がないだけでなく、リーマン・ショック以来の経済や雇
用が「明日はどうなるのだろう?」という「根源的な不安感」も薄らいである、そ
のためなのでしょう。その意味では、今やっと「久しぶりにリーマン・ショック以
前の、そして911以前の、一息つける穏やかさ」を獲得できているのかもしれま
せん。

 では、今回の「対ISIS作戦」そしてその手段としてのシリア領内への空爆と
いう問題を契機に、アメリカは改めて、この「平穏な世相」を捨てて戦時へと向か
うのでしょうか?

 この問に関しては、答えは「ノー」であると思います。

 そのような覚悟はアメリカの世論にはないし、オバマ政権にもないし、オバマを
何かと「弱腰だ」と批判する野党の共和党にもないと思います。何故なのでしょう
か? それはオバマと共和党の対立の構図を見れば見えてくるように思います。

 確かに現在のオバマは、漠然とした「弱い大統領」あるいは「失敗した大統領」
という烙印を押されています。その表面には、外交の問題があります。具体的には、

(1)アラブの春を支持したのは甘い。まずリビアでは反カダフィ勢力を応援した
が、その中にはアルカイダ系が存在し、結果的に北アフリカの混乱を招くだけだった。

(2)エジプトでもムバラク打倒の結果、公選ではモルシ政権が出来てしまい結果
的にクーデターで出来た軍政を支持するしかなくなった。

(3)漠然とパレスチナの肩を持つような発言をしたためにイスラエルの不信を買
い、かえって中東情勢を悪化させた。

(4)シリアで西側フレンドリーな反アサド勢力を、もっと早く支援していればI
SISも出てこなかっただろうし、アサド政権に化学兵器を放棄させるためにロシ
アの助けを借りることもなかったはず。

(5)ウクライナは、もっと早くヤヌコーヴィチ政権の「悪質な親ロシア性」を見
抜いて、親欧米政権を作って支援していれば、こんな大混乱にはならなかった。

(6)スノーデンも、早期に身の安全を保障して米国に帰還させれば、ロシアの外
交の「秘密兵器」に使われることはなかった。

(7)そもそもイラクからの撤兵をしなければ、スンニー派の中からISISなど
という怪物が生まれることもなかったはずだ。

 とまあ、並べてみればいくらでも「批判材料」は出てくるわけです。例えば、日
本の世論の中からも「こんな弱腰大統領では心配だ」という声が聞こえてきます。
印象としては、これだけ並べれば確かにそんなイメージになるのかもしれません。

 ですが、ではこうした「チェックポイント」に関して、他に選択肢はあったのか
というと、それは「ない」のです。

 まず「アラブの春」に関して言えば、独裁政権を支えて秩序を維持するという戦
略はいつまでも可能ではありませんでした。シリアに関しても、米国とNATOは
散々色々なオプションを検討した結果として、不介入という態度で来ています。イ
ラク撤兵はアメリカの強い世論を受けてのものですし、ウクライナに関しては、あ
のいい加減な政府の金勘定の面倒を見てまで自陣営に強く引き寄せる意思決定は、
アメリカもEUも出来る相談ではなかったはずです。

 その意味で、オバマはそれぞれの局面での最善手は打ってきているのです。では、
どうしてここまでイメージが悪いのでしょうか? 例えば米国国内でも悪く言われ
ることになるのでしょうか?

 その原因は経済にあります。確かに今は、具体的には2014年に入って連銀の
イエレン体制の下で「基本は緩和路線のリベラルなリーダーシップによって、QE
の出口戦略が実施される」という流れを、市場がほぼ100%信認したという時点
で、一つの安定に到達したと言えます。失業率の6.1%というのは、その結果で
す。

 では、久々にアメリカが落ち着いているとして、それはオバマの功績だという評
価が出てきているのでしょうか? それが「サッパリ」なのです。

 要するにここまで来るのに「時間がかかり過ぎた」ということです。

 とにかく「チェンジ」をするんだと言って2009年に大統領に就任してから6
年弱の間、景気と雇用に関しての不満がアメリカ社会に充満していたのですが、
「戻りが遅い」「遅すぎる、ゆっくり過ぎる」という痛みと言いますか、不満がず
っと続いており、それがオバマをサンドバッグのように叩き続けたのです。

 その結果として、発足時には十分に蓄積されていたはずのオバマの政治的資産は、
どんどん奪われてしまい、反対に野党共和党のエネルギーとして蓄積されていった
のです。

 具体的には議席として、それは現れています。今回の11月の中間選挙で負けれ
ば、議会での選挙では大雑把に言って三連敗となり、仮に上院の過半数まで失えば、
完全に「ねじれ議会」になってしまうわけです。

 このような状況の下でアメリカの政局に関しては、次のような指摘ができます。

 まず現在の景気でも世論には不満が残っています。ましてこの景気が頭打ちとな
って再び下降するようだと、政権に対しては激しい不満が出るだけでなく、次期大
統領は相当の確率で野党の共和党が有利になるでしょう。

 その裏返しとして、アメリカの世論は「景気を動揺させてまで」再び複雑な国際
情勢に「戦争」という形で介入する気は「ほとんどない」という指摘ができると思
います。

 つまり、オバマの「ISIS撲滅」とか「シリア領内への空爆」というのは、極
めて限定的な作戦であり、それはアメリカ世論が「今、再び戦時への回帰」という
ことには、全く支持をしていないということを受けていると見るべきです。

 では、中間選挙が終われば、アメリカは2016年の大統領選に突入していくわ
けですが、その対立構図はどうなるのでしょう?

 仮に国際情勢がこのまま混沌としたままで景気が大崩れしない場合は、ヒラリー
が有利。つまり「大きな政府の内政+軍事外交はリベラル的なタカ派路線」になる
ように思います。

 つまり、現状維持で軍事外交だけ、もう少し積極的に振れるという格好での変化
になるでしょう。仮にヒラリーが出ない場合も、例えば「左のポピュリスト」エリ
ザベス・ウォーレンなどは、ここへ来て軍事外交面ではタカ派的な言動にシフトし
ていますが、その辺の「時代の空気」を読んでのことだと思います。

 一方で、仮に景気が大きく後退した場合は、共和党がホワイトハウスを奪還する
ことが濃厚。その場合は、「軍事外交保守派」ではなく、新世代による「より孤立
主義」のクールな新機軸が出てくる可能性が大であると思います。

 911の13周年というタイミングで、やや中期的な前後のアメリカの政局を考
えてみましたが、やはりどう考えても現状のアメリカには「戦時への回帰」を求め
る理由はありません。その意味で、オバマの「シリア領内空爆」という宣言は、
「イラクへの地上軍の本格派遣はしない」という消極策を継続する宣言であると理
解するのが妥当であると思います。
   
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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『911 セプテンバーイレブンス』『メジャーリーグの愛され方』『「関係の空
気」「場の空気」』『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ
消えたか〜オーラをなくしたオバマの試練』。訳書に『チャター』がある。 最新作
は『場違いな人〜「空気」と「目線」に悩まないコミュニケーション』(大和書房)。
またNHKBS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

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02. 2014年9月14日 09:34:19 : mW9uyAO8J2
>>02
>つまり、オバマの「ISIS撲滅」とか「シリア領内への空爆」というのは、極
めて限定的な作戦であり、それはアメリカ世論が「今、再び戦時への回帰」という
ことには、全く支持をしていないということを受けていると見るべきです。


極めて限定的だか永続的だかそんなことはどうでもいい。
まずシリアへの空爆は違法なのだよ。
シリア政府の支配の及んでいない地域にせよ、主権が及んでいないというわけではない。
政体自体、厳然と存在する国の領土を空爆するというのは侵略行為であり限定的も糞もない。
戦時への回帰ではないなどというのはアメリカの都合であり、そんなものはシリアには関係が無いことだ。
この記事を書いた人物は自分が何を書いているのか理解していないようだ。
アメリカの暴走を止めたいというなら、まず限定的空爆は違法であり、行えば戦争への呼び水になるから止めさせるべきだと書くべきだろう。
ましてやアメリカの都合で、領土を空爆されるシリアのことなど眼中に無いのだ。
イスラエルが時折行うシリア空爆と同じようなものだとでも言いたいのだろうか。
だとしたら、イスラエルとアメリカではシリア国民の受けるイメージと怒りは天と地ほど違うぞと忠告しておく。
イスラエルがアラブで蛇蝎のごとく嫌われていること、それがイスラエルの後見人のアメリカの行使となればその怒りはイスラエルにも同時に向かうのだ。
限定的だから、で済む話ではない。



03. 2014年9月14日 09:37:29 : mW9uyAO8J2
>>02です。
訂正です。

>>02とありますが、もちろん>>01の誤りです。


04. 2014年9月18日 07:43:44 : jXbiWWJBCA

ロシアは最も危険な隣国だ
2014年09月18日(Thu) Financial Times
(2014年9月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ロシアは悲劇であり、脅威でもある。セルゲイ・カラガノフ氏は今週、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)への寄稿で、現在モスクワで働いている自己憐憫と自慢とが入り混じった感情について興味深い洞察を提供してくれた。それは不穏であり、気が滅入るような話だ。

独裁者が支配する核武装した元超大国の怖さ

 西側の政策立案者は、「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の方が大きな脅威だと考えているようだ。だが、ロシアは核武装した元超大国の残党であり、道徳心のない独裁者に支配されている今、筆者はロシアの方が恐ろしい。欧州にとって、そして、きっと米国にとっても、今のロシアにどう対処するかという問題以上に大きな外交政策上の課題はない。

 カラガノフ氏によると、西側は「自らを冷戦の勝者と称した」。もしかしたら、このコメントの中に悲劇の発端を見いだせるのかもしれない。西側は単に、勝者を名乗っただけではない。実際に勝者だったのだ。

 防衛同盟がソ連を倒したのは、より良い生活を提供したからだ。かつて楽観的だった多くのロシア人を含め、あれだけ大勢の人がソ連という監獄から逃げたいと思ったのは、このためだ。

露大統領、ウクライナ和平への行動計画を発表
ウラジーミル・プーチン大統領はソ連崩壊を地政学的悲劇と呼んでいる〔AFPBB News〕

 だが、代々続くロシアの独裁者の最新メンバーであるウラジーミル・プーチン大統領は「ソ連崩壊は20世紀最大の地政学的悲劇だった」と述べた。ソ連崩壊は実際はチャンスであり、中・東欧の多くの人がこれを両手でつかみ取った。

 新たな生活様式への移行は、必然的に困難なものになった。彼らが今暮らす世界は、極めて不完全だ。だが、彼らは概ね、洗練された近代性の世界に加わった。これは何を意味するのか? 知的、経済的な自由を意味する。公の生活に自由に参加する権利を意味する。そして、法の支配を受け、国民に対して責任を負う政府を意味する。

悲劇的な結果の責任の一端は西側諸国にある

 西側諸国はあまりに頻繁に、こうした理想に従うことに失敗した。だが、西側は今も道しるべだ。1990年代前半には、多くのロシア人にとって道しるべだった。ロシアの文化とロシアの勇気を崇拝する者として、筆者は恐らく願いを込めて、ロシアが崩壊したイデオロギーと国家、帝国の残骸から抜け出す道を見つけることを期待した。

 それが難しいことは分かっていたが、我々のためだけではなく、ロシア自身のためにも、ロシアには西側の価値観を選んでほしいと思っていた。専制政治のサイクルの継続というもう1つの道は、あまりに気が滅入るものだった。

 元ソ連国家保安委員会(KGB)中佐のプーチン氏を後継者に選ぶことで、ボリス・エリツィン元大統領は後者の結果をもたらした。プーチン大統領は今のところ、人気のある専制君主かもしれない。だが、専制君主であることに変わりはない。彼はまた、元KGB議長でソ連最高指導者のユーリ・アンドロポフによる近代的な独裁政治を目指すプロジェクトの継承者でもある。

 国家の忠実なしもべとして、プーチン氏は結果だけが重要だと考えている。嘘は国政術の1つの手段に過ぎない。ここ数カ月、その明白な真実が見えなかったのは、あえて目をつぶっている人だけだ。

 この悲劇的な結果の責任の一端は西側にある。西側諸国は1990年代前半に、ロシアが必要としていた支援を素早く提供できなかった。代わりに西側は、愚かなことに、誰がソ連の債務を払うのかという問題に専念した。西側は一握りの集団の利益のために、ロシアの富の窃盗を受け入れたのだ。

ソ連崩壊の理由と向き合うことを拒んだエリート層

 だが、それ以上に重要なのは、ソ連崩壊の理由と向き合い、その後、新たに出発することをロシアのエリート層が拒んだことだ。抑圧と嘘というスターリンの忌まわしい機構の現実と向き合って初めて、彼らは新しいものを築くことができたはずだ。

 姿を現した国家は、最初から見込みが大きかった結果だった。ロシアは自国が敵に取り囲まれていると考えている。外交関係はゼロサムで、他国の成功はロシアの失敗を意味する。この見方では、もし達成されたなら(それが非現実的な可能性であることには筆者も同意する)、豊かで民主的なウクライナは悪夢だ。

 モスクワのエリート層にとって、それを防ぐことは、カラガノフ氏の言葉を借りれば「ロシアの存続にとって欠かせないと思われる領土に他国が勢力圏を拡大するのを食い止めるための闘い」だ。では、ロシアの存続を脅かしているのは誰か? それは「多くの人が想像するよりも弱い」西側だという。そのような弱い西側が悪役を演じているわけだ。

 モスクワから見ると、西側の政策はまるでベルサイユの政治だ。だが実際は、西側の立場は2つの単純な原則に基づいている。1つ目は、国には自ら選択する権利があるということ。2つ目は、国境は武力によって変えてはならないということだ。

 ロシアは両方の原則を拒否している。元衛星国・属国が北大西洋条約機構(NATO)加盟に熱心なのは、ロシアがこれらの原則を受け入れないということを確信していたためだ。NATOはこれらの国に加盟を迫る必要はなかった。各国が加盟を懇願した。もしかしたらこれらの国は、ロシアの「重要な利益」の理解がいかに広く、そうした利益を守る上でロシアがいかに無慈悲になるか分かっているのだろう。

 時として、ロシアのエリート層が抱く見解は、パロディーに近いものになる。モスクワの多くの人が欧州との政治同盟が不可能だと考える理由の1つは、欧州がキリスト教と「伝統的」な規範を捨てつつあることだ。これが言わんとすることは、同性愛の受容である。

 だが、筆者は少なくとも、プーチン氏がその消滅を嘆き悲しんでいるソ連がキリスト教を情け容赦なく迫害したことを覚えている。ロシアのエリート層がこの西側の悪の巣窟を愛していることを覚えている人もいるかもしれない。

 「我弱者をいじめる、ゆえに我あり」。これがプーチン大統領の一部の暴挙の背景にあるモットーのように思える。だが、馬鹿げているからと言って、その深刻さが減るわけではない。西側はロシアにとっての脅威ではない。それどころか西側は、ロシアとの良好な関係に重大な利益を持つことをよく知っている。

 しかし、侵略を無視するのはそう簡単ではないし、そう、どれほどその言葉が嫌いであっても、これは侵略だ。同時に、ロシアほど重要で潜在的に有益な大国との敵対関係は悲惨だ。

西側はポスト冷戦の最後の幻想を捨てろ

 この苦境に対する解決策はあるのだろうか? すべての可能性――追加制裁、ウクライナに対する莫大な経済支援と場合によっては軍事的支援、あるいは全く何もしないこと――はリスクを伴う。だが、西側諸国は、今付き合っていかねばならないロシアの率直な評価から始めなければならない。

 今のロシアは、自国は歴史的な不当行為の犠牲者だと考え、西側の中核的な価値観を拒む。また、自分たちには行動するだけの強さがあると感じている。

 今のロシアの指導者は、こうした強い感情を権力を確保する方法と見なしている。そのような支配者は彼が初めてではない。プーチン大統領のロシアは危険な隣国だ。西側はポスト冷戦の最後の幻想を捨てなければならない。

By Martin Wolf

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41752


05. 2014年9月18日 07:44:19 : jXbiWWJBCA
ロシアとウクライナ:束の間の中断
2014年09月18日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2014年9月13日号)

停戦は辛くも守られているが、ウクライナ東部での緊張はまだウクライナ、ロシア両政府を悩ますだろう。

EU、ロシアへの追加制裁を決定 発動を遅らせる可能性も
今のところ、停戦は概ね守られている(写真はウクライナ東部ドネツクの北5キロのアブデーフカを装甲兵員輸送車でパトロールするウクライナ兵)〔AFPBB News〕

 ウクライナ東部での戦争は、今のところ収まっている。東部の多種多様な各陣営には、銃を片付けることと同じくらい、戦い続ける理由がある。だが、9月5日にミンスクで調印された停戦協定は、これまでのところほぼ守られている。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、ロシアに対する勝ち目のない戦争を行うことは望んでいない。それは、ポロシェンコ大統領が東部でウクライナ政府の「対テロ作戦」を続行していた場合に陥っていただろう状況だ。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ドネツクとルガンスクが、ウクライナ政府に対抗する手段として機能し得る分離派の領地に変わったのを見て喜んでいる。

短期的にはロシアの勝利か

 ロシア政府は最初から恒久的な停戦を主張してきたが、それは、人道主義的な動機からではなく、ウクライナ東部に凍結した紛争地域を作るという考えをロシア政府が気に入っているからだ。

 キエフの政治的ムードは、ウクライナ軍に勢いがある限りは戦争を続けるようポロシェンコ氏を促した。だが、重火器を持ったロシア軍の8月下旬の侵攻は、プーチン氏には、ウクライナ政府に軍事的勝利を与えるつもりがないことを示した。北大西洋条約機構(NATO)の直接的支援がない中で、ポロシェンコ氏は取引せざるを得ないと感じた。

 これは、短期的にはロシア政府の勝利であるように見えるだろう。ロシアは、モルドバやグルジアと同様に、ウクライナの政治に影響を与える仕組みを持っている。というのも、ドネツクとルガンスクの地位が未確定である限り、ウクライナはとてもNATOに加盟できないからだ。

 プーチン氏は、ロシアの正規兵投入は非難を浴びたが、諸外国による行動はほとんどなかったことに気づいたはずだ。バラク・オバマ米大統領は、ロシア側の動きを侵略と呼ぶのを控え、むしろ「これまで数カ月間起きてきたことの続きだ」と述べた。

 欧州連合(EU)は9月半ばに新たな制裁を適用するが、恐らくはロシアを孤立させる気がないことを示すために、追加制裁を「撤回可能」な措置と表現した。ロシアのガスプロムは先日、ウクライナへの再供給を止めるためにポーランドへのガス供給を削減した。

 ウクライナ東部での戦争は、多くのロシア人にとって遠く離れた出来事のように感じられてきた。国営テレビは、西側の策略や陰謀について盛んに取り上げる一方で、視聴者が抱く不全感や帝政のノスタルジアを癒やすために戦争の話を巧みに操作してきた。

 レバダ・センターの世論調査では、調査対象者の77%が、ウクライナ東部での同国政府の軍事行動の首謀者は米国であると話していることが分かった。

 ウクライナで死んだロシア軍パラシュート部隊の兵士らが秘密裏に埋葬されたのに、ロシア政府がその事実を否定したことは、不快な出来事だった。

 だが、3年前の束の間の抗議行動の時期と比べると、ロシア社会は従順で威圧的でないように見える。レバダ・センターの別の世論調査では、抗議行動が始まった場合にデモに参加する意思のある人は8%しかいないことが分かった(2011年は21%)。

プーチン体制にとっての新たなリスク

 だが、プーチン氏の冒険主義と失地回復主義は、同氏の体制にとって新たな危険を生み出すだろう。ルーブルの下落やロシア政府が課した欧米からの食品輸入禁止は、インフレ率が来年8%に達する可能性があることを意味している。これは、戦争それ自体がなし得なかったレベルまで社会的不満を高めるかもしれない。

 現行の制裁と追加制裁が行われる見通しは、すでにぐらついているロシア経済の足を引っ張っている。モルガン・スタンレーは、ロシアが2015年に景気後退に陥ると予想している。ロシア最大の石油会社ロスネフチは、債務を借り換えるために政府に400億ドルの支援を要請している。

 原油の国際価格は1バレル100ドルを割り込んでいるが、ロシアの予算は、1バレル110〜117ドルの価格で均衡するように調整されている。そうした穴を埋めるのはコストがかかるだろう。プーチン氏は、どの利益を傷つけるかについて厄介な選択をしなければならないのだ。

 経済的困難に対して予想されるプーチン氏の対応は、新たな冷戦を始めたとして外国の敵を非難することだ。

 一方、ウクライナでは、ポロシェンコ氏が自らの困難に直面している――それはプーチン氏の困難よりはるか前に姿を現すかもしれない。ポロシェンコ氏は、ドネツクとルガンスクのための「特別な地位」を創設するために、新法を導入すると話している。

「どんな代償を払っての和平か」

 しかし、多くの疑問が残る。特に大きいのは、ウクライナはロシアとの東部国境に対する支配権を取り戻せるのか、という疑問だ。これは、親ロシア派勢力をずっと静めておくことができるかどうかを評価する上で決め手となる要素だ。

 ポロシェンコ氏が提案する自治の条項にどれだけの領地が該当するのかについても、すべての陣営の意見が食い違っている。ウクライナ政府は、親ロシア派が支配する地域のみ――2州の約3分の1――がこの条項に該当すると考えているが、親ロシア派の指導者たちは、ドネツク、ルガンスク両州の全域に対する権利を主張している。

 こうした問題は、来月行われるウクライナの総選挙に重くのしかかるだろう。キエフを拠点とするシンクタンク、ラズムコフ・センターのユーリ・ヤキメンコ氏は、大半の有権者は原則的に和平を支持しているが、ポロシェンコ氏とその政治グループの運命は、結局「どんな代償を払って和平を達成するのか」という問題に帰着するだろうと話す。

 目先は、多くのことが停戦が守られ続けるかどうかにかかっている。ポロシェンコ氏は、ロシアはウクライナ領内に配置していた部隊の70%を撤収したと話している。だが、マリウポリやドネツク空港周辺、その他いくつかの場所では、戦いが一時的に起きては下火になっている。

 その一方で、捕虜が交換されている。より大きな暴力の高まりが起きれば、紛争全体が簡単に再燃する恐れがある。

消えない分離派の野望

 戦線のウクライナ側では、ほとんどの兵士がくつろいでいるように見えるが、停戦は単なる小休止ではないと考えている人はほとんどいない。9月8日にマリウポリを訪問したポロシェンコ氏は、戦争は終わり、ウクライナはこれから和平を勝ち取らなければならないと述べた。それは希望的観測かもしれない。

 親ロシア派の指導者たちは、今でもウクライナから分離することを目指している。親ロシア派「議会」のメンバー、セルゲイ・バリシニコフ氏は、行く手には長い軍事的、政治的戦いが待ち受けていると言う。

 「ノボロシア(新ロシア)」の親ロシア派国家はいずれ黒海沿岸からルーマニア、モルドバの国境に至る地域全体を含むべきだとバリシニコフ氏は話す。そして、その時ノボロシアはロシアの一部になっているだろうと付け加える。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41745


06. 2014年9月18日 07:45:46 : jXbiWWJBCA
南シナ海・東シナ海の次は日本海、
中ロが北東アジア最大の貿易港建設を計画
中国の狙いは何か?
2014年09月18日(Thu) 北村 淳
 RIAノーボスチ電子版や人民日報電子版によると、ロシアと中国は共同でロシアの日本海沿岸に北東アジア最大の貿易港を建設する計画をスタートさせた。

 この貿易港は年間6000万トンの貨物を取り扱う計画で、ヨーロッパでも最大級のイミンガム港(イギリス)やル・アーブル港(フランス)並みの規模になるものとされている。そして、この巨大港湾建設により、ロシアはシベリア産の石油や天然ガスをアジア地域に輸出するための一大拠点を手にすることになり、中国はエネルギー供給先の多様化に資することとなる、と説明されている。


日本海に面したポシェット湾
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 この大型貿易港が建設される場所は「中国国境からおよそ18キロメートルしか離れておらず、北朝鮮にも隣接した極東ロシア」と報道されている。具体的な場所、地名は公表されていないが、ポシェット湾のいずれかの地点であることは間違いない。

 ポシェット湾は古くは渤海国に属しており、渤海から日本に派遣された渤海使はポシェット湾から出港し日本に向かった。満州民族の清王朝時代には外満州と呼ばれていたが、ポシェット湾を含む沿海州がロシア領に編入されてからは、ソビエト連邦、ロシア連邦の領土として今日に至っている。現在、ポシェット湾にはポシェット港とザルビノ港の2つの商業港がある。

摩訶不思議な中国の「経済的」理由

 RIAノーボスチや人民日報の報道では、この巨大港湾建設はロシアにとっても中国にとっても「エネルギー資源の貿易を促進する」ためのプロジェクトであるとされている。

 確かに、ロシアに関しては納得できる説明である。現在、ロシア極東地域の不凍港で、シベリアで産出される石油・天然ガスそれに石炭を輸出するために使用できる港は、ウラジオストク港(石油)、ボストーチヌイ港(石炭)、それにナホトカ港(石油)であるが、今後大増産が予定されているシベリアの石油・天然ガス輸出にとっては規模が小さすぎる。したがって、ポシェット湾に巨大港湾施設を誕生させる中国との共同プロジェクトは願ってもない機会といえよう。

 一方、中国による「エネルギー供給先を多様化させる」との理由付けは意味不明に近い。確かに中国は、石油や天然ガスといったエネルギー資源をアフリカや中東方面からのシーレーンだけに頼っていては、戦時にはアメリカ海軍にシーレーンを遮断される恐れが高いために、中央アジア、カスピ海方面、イラン、パキスタン、ミャンマーなど様々な地域からパイプラインによってエネルギー供給を多様化して確保する努力を推し進めている。さらに、ロシアとの長期契約により、直接ロシアからパイプラインによって石油・天然ガスを入手する作業も進んでいる。

 しかし、ポシェット湾の巨大港湾に、石油や天然ガスそれに石炭などをタンカーで陸揚げして、そこからロシア国内を通過して中露国境を超えて吉林省琿春市へ国境を超えて陸送するという輸入ルートならば、現存する大連港に陸揚げして陸送を開始するルートの方が時間も費用も節約されることは自明の理である。

 まして、ポシェット湾〜中露国境〜琿春ルートを整備するには、巨大港湾施設建設だけでなく、ポシェット湾周辺と琿春市周辺を結ぶ道路・鉄道をはじめとするインフラ整備が必要となり、中国にとっては巨額の出費が必要となる。

 このように「巨大港湾建設はエネルギー資源供給の多様化のため」という経済的説明は理解し難い。そこで、考えられるのは、軍事的理由である。

人民解放軍による軍事的動機とは

 1860年、清朝は英仏連合軍との戦争(アロー号戦争)に敗北した。清朝は調停の手間賃としてロシアと締結した外満州領土確定条約で、現在の沿海州をロシアに割譲してしまった。その結果、清朝は日本海に面する海岸線を失ってしまった。

 現在も中華人民共和国は沿海州を回復していないため、日本海に直接海岸線を有していない。したがって、中国人民解放軍海軍は日本海に自前の拠点を手にしておらず、中国艦艇が日本海で行動するには、対馬海峡・津軽海峡・宗谷海峡のいずれかを経由して日本海に“進入”し、またそれらのいずれかの海峡から“脱出”しなければならない。

 そして、それらの三海峡にはいずれも自衛隊の目が光っており、戦時には自衛隊の機雷、艦艇、航空機そして陸からの対艦ミサイルによって中国艦艇は容易に撃破されてしまう。

 日本にとっては、日本海への中国艦艇進入をシャットアウトすれば、日本海における中国艦艇からの脅威は存在しないため、空中・海上・海中での各種作戦行動は格段に安全になる。そのため、中国が日本を軍事攻撃した場合には、そして海上自衛隊が報復攻撃用長距離巡航ミサイルを大量に装備していた場合には、日本にとって安全な日本海に展開した多数の海上自衛隊艦艇から中国本土の戦略拠点に対するミサイル攻撃という報復が可能となる(東シナ海に展開した海自艦艇からの対中ミサイル攻撃の場合、海自艦艇は中国艦艇・航空機による激しい攻撃に曝される)。

 したがって人民解放軍としては、日本による報復攻撃を妨害するためには、どうしても日本海を「日本が軍事的に容易に支配可能な海」としておくわけにはいかないのである。

 もちろん、現在のところ自衛隊は中国本土に報復攻撃を加える能力は全く保有していない。だが、いかなる国の軍隊といえども「将来の可能性」に備える義務を負っている。したがって、人民解放軍海軍が何としてでも、ポシェット湾という日本海沿岸に確固たる拠点を確保しておこうと画策するのは当然の動きと言えよう。

日本海すら安全ではなくなる

 現在のところ、ロシア極東艦隊と北朝鮮海軍は日本海に面した海軍拠点を有しているが、いずれも日本にとってはさほどの脅威とはなっていない。

 海上自衛隊にとって脅威となるロシア海軍攻撃原子力潜水艦戦力は、カムチャッカ半島のペトロパブロフスク・カムチャツキーを拠点にしている。ウラジオストクはロシア海軍にとって危険極まりない対馬海峡、津軽海峡、そして宗谷海峡を通航しなければならず、水上戦闘艦しか配備されていない。もちろん、中国海軍艦艇は日本海には拠点を持っていない。

 そのため、海上自衛隊やアメリカ海軍のイージスBMD艦も、比較的安全な状況下で日本海でのパトロールに従事し、中国や北朝鮮から発射されるかもしれない弾道ミサイルを監視することができている。

 ところがポシェット湾の巨大貿易港に人民解放軍海軍の拠点が併設されると、中国海軍潜水艦や水上戦闘艦艇が、ポシェット湾から日本海に繰り出してくることになる。いくら、自衛隊が保持する海峡封鎖戦力で対馬海峡・津軽海峡・宗谷海峡を封鎖して日本海を“池”にしてしまっても、その“池”そのものに強力な出撃補給修理拠点を有する中国海軍にとっては痛くも痒くもない三海峡封鎖となってしまう。

 そして、さらに容易に想像がつくのは、これまで必要とされてきた東シナ海での対中国海軍作戦に加えて日本海での対中国海軍作戦をも実施しなければならなくなると、自衛隊それにアメリカ海軍の負担は現状の予算・人員規模ではとても乗り切ることができないということである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41729


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