01. 2014年9月01日 11:00:34
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ユーロ圏の分裂も現実的になってきたなカタルーニャも熱い http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41620 スコットランド独立問題、愛国者も連合残留に投票できる 2014年09月01日(Mon) Financial Times (2014年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) スコットランド、独立なら金融危機にぜい弱に 分析 英国からの独立の是非を問う住民投票が9月18日に迫っている(写真は2013年9月、エディンバラで集会を開く独立支持派の人々)〔AFPBB News〕 住民投票まで3週間となったが、スコットランドの独立を求めるアレックス・サモンド自治政府首相のキャンペーンはまだ素朴な疑問に答えなければならない。 スコットランド人はなぜ、誇りを持ってスコットランド人でいると同時に、満足して英国人でいることができないのか? 自由に往来できる国境と、多様にして1つになりつつあるアイデンティティーを持つ21世紀の世界で、人口500万人の市民が偏狭になり、自らを隣人から切り離すべきだと要求するのはなぜなのだろうか? 二十年ほど前なら、スコットランド民族党(SNP)は即答していただろう。分離独立は、イングランドの抑圧という束縛から自由になることを意味していた。マーガレット・サッチャーの人頭税が、スコットランドが隷属的な国であり、イングランドの保守党議員がその不快な右寄りのイデオロギーで実験を行う場所だと証明したではないか? 昔ながらのナショナリストの目から見れば、独立は解放と同義だったのだ。 独立が解放を意味した時代は今や昔 サモンド氏は、アイデンティティー政治の緊張を闇雲に高めることを概して避けてきた。恐らくは、ジャコバイト的な不満のドラムを打ち鳴らしても、SNPが過半数を集めることはできないと知っているためだ。 連合は、スコットランドが愛国心と国民意識を英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)に明け渡すような状況はもたらさなかった。スコットランドは、独自の教会制度、法制度、教育制度を持つ。また、英国の妨害に屈するにはあまりにも力強い文化を持ち、1999年以降はホーリールードに独自の議会も持っている。 サモンド氏は、スコットランド人が、古い恨みに自分たちの未来を支配させるにはあまりにも抜け目なさすぎることを知っている。一連の選挙で、彼らは、SNPの政治家をホーリールードに送る一方、ロンドンには自分たちを代表させるために連合支持派を送り込んできた。 SNPの指導者たちは、スコットランドには保守党議員よりもっと多くのジャンアントパンダがいると冗談を言うのが好きだ。だが、2010年の英国議会の総選挙では、保守党がスコットランドの一般投票の17%を占め、SNPの20%とわずか3ポイント差しかなかった。 そのためサモンド氏は、包含的なナショナリズムの福音を説いている。スコットランドは、自由の身になっても、イングランドの親友のままでいる、というわけだ。 怒りに満ちた結婚をやめ、隣人の温かな抱擁に切り替えるというこうした考え方は、サモンド氏がそもそもなぜ分離を求めるのかについて疑問を投げかける。分離したとしても、女王は、スコットランドの国家元首のままだ。英国放送協会(BBC)は、スコットランド放送協会と名前を変えるかもしれないが、それでも「イーストエルダーズ」や「ドクターフー」といった英国の人気番組を放送するだろう。 英国の残りの地域と不均衡な通貨同盟を結ぶというSNPの計画は、ロンドンに経済力を残すことになる。国境の柱がない境界線は、移民政策の変更を認めないだろう。ではなぜスコットランドの英国らしさを放棄するのかという単純な疑問がつきまとう。 連合支持派の「ベタートゥギャザー」キャンペーンを率いる労働党の元財務相アリステア・ダーリング氏との先日のテレビ討論では、サモンド氏が勝利したと広く判断された。同氏の好戦的な振る舞いが、最初の1対1の対決でのダーリング氏の勝利と思われたものを帳消しにしたようだ。驚いたのは、英国を離れることからスコットランドが何を得るのかについて全く説明がなかったことだ。 サモンド氏は、分離すれば、ウェストミンスターの保守党政権がスコットランドの国民健康保険を解体するリスクが小さくなると述べ、説明を試みた。問題は、スコットランドの健康保険はホーリールードの議会によって運営されている、ということだ。 スコットランドが医療にもっと支出したいと思うなら、現行の権限移譲協定の条件下でそうすることができる。そして、連合支持派の政党が約束した財政権限の追加的な移譲の後なら、制限はなくなる。 両者の相違がしばしば誇張されているにせよ、イングランドより先天的にもっと社会民主的であるスコットランドは異なる政治的軌道の上にいるという考え方が、恐らくサモンド氏にできる最善の主張だろう。だが、SNPは、スコットランドがなぜ連合内で税や社会保障の選択を独自にできないのかについてまだ自分の言葉で説明していない。 スコットランドはノルウェーになれない サモンド氏は、スコットランドは、いわばノルウェーのようになれると言う。誰もが知っている通り、ノルウェーには石油と高い生活水準、強力な社会的保護がある。独立したスコットランドも石油を持つ。そのため、ノルウェーのようになれるというのだ。 残念ながら、そうではない。ノルウェーは、40年間にわたり石油収入を蓄えてきた。英国の石油収入はほとんど使われている。しかも、今は石油の生産高が減少している。別の問題もある。SNPは、スコットランドは欧州連合(EU)の積極的な加盟国になると言う。一方、ノルウェーは欧州統合を避けている。このため、分離したスコットランドはノルウェーのようにはならないだろう。 それを言えば、ナショナリストであれ、連合支持派であれ、どれくらいのスコットランド人が英国らしさをノルウェーらしさと交換したがるだろうか? サモンド氏は、そうと認めるはずがないが、彼には「ブレーブハート」のようなナショナリズムのロマンチックな魅力しか残されていない。そのために同氏のキャンペーンを過小評価すべきではない。サモンド氏は、無慈悲さを穏やかに見せる魔力を持つ老練なコミュニケーターだ。 グローバル化から生じた不安定な状況は、欧州のほとんどの地域で民族的ナショナリズムの残り火を呼び覚ましている。英国独立党を率いるイングランドのナショナリスト、ナイジェル・ファラージ氏のように、サモンド氏は自らを、旧来のエリートに対する民衆蜂起を率いる反体制的人物と位置付けている。しかも、同氏はファラージ氏よりずっと頭がいい。 英国のEU離脱と同じくらい欠陥のあるスコットランド独立論 だが、いまだ欠けている答えも重要だ。近代世界の変わることのない特徴は、力の拡散と古い習慣に基づく国際システムの腐食だ。同じような考えを持つ民族が安全に繁栄するためには、そうした国々がより緊密に協力しなければならない。 スコットランドを英国から切り離すことを支持するサモンド氏の主張は、英国が欧州から離れることを求めるファラージ氏の要求と同じくらい欠陥がある。 サモンド氏の開けっぴろげなナショナリズムは、より荒削りなアイデンティティー政治をほとんど隠そうとしない。同氏は、スコットランド人に9月18日に内向きになるよう要請している。望むらくは、スコットランドらしさに安心し、英国らしさに満足して、ほとんどの人がこう答えることでなければならない。「何の意味があるのか」と。 By Philip Stephens http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41611 カタルーニャ州独立派、投資家の反発に警鐘 迫り来る住民投票、経済と市場への影響を訴えスペイン政府に圧力 2014年09月01日(Mon) Financial Times (2014年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
カタルーニャの独立機運をたきつける経済的不満、スペイン 2013年9月、カタルーニャ自治州の独立を求めて「人間の鎖」を作った地元住民〔AFPBB News〕 スペイン北部・カタルーニャ自治州の独立運動を率いる幹部は、もしスペインがカタルーニャの分離独立の是非を問う住民投票を認めなければ、スペインは外国人投資家からの反発と公的債務に対する新たな市場圧力に見舞われると警告した。 カタルーニャ左翼共和派(ERC)のウリオル・ジュンケラス党首によるこの発言は、同州の政治的な将来を巡る一触即発状態の対立の激化を告げている。 こうした発言は、独立を巡る議論を、マリアノ・ラホイ首相率いるスペイン中央政府がこれまでで最大の成果と見なすもの――つまり、スペインを景気後退から脱却させ、外国人投資家の信頼を取り戻すこと――と直接結びつけることで、スペイン政府への圧力を強めることを狙っている。 「スペイン政府は1兆ユーロの債務を抱えている。この債務は我々の税金で返済しなければならない。だから、スペイン政府が支払い義務を果たす最善の方法が、自国の市民と衝突することだとは思えない」。ジュンケラス党首は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューでこう語った。 「もし私が投資家だったら、自国の市民と対立しているスペイン王国が存在するよりは、義務を果たす用意がある独立したカタルーニャがあると分かっていた方が安心できる」 住民投票を認めない中央政府、対立が景気回復を損なう恐れ カタルーニャの州政府は独立の是非を問う住民投票を11月に実施することを約束した。英国からの独立に関するスコットランドの住民投票から2カ月足らずで行われるタイミングだ。だが、英国政府と異なり、スペイン政府は独立に関する州の住民投票は違法であり、カタルーニャの住民投票は実施されないと主張している。 迫り来る衝突は今のところ、スペインに対する投資家の熱意をそいでいない。スペインでは、国債利回りが歴史的な低水準に低下し、過去2年間で株式市場が大幅に上昇してきた。 だが、一部のバンカーや企業経営者は内々に、カタルーニャ問題の行き詰まりは、始まったばかりのスペインの景気回復に対する信頼を損ねかねないと警告しており、ジュンケラス氏はこの懸念をカタルーニャに有利に働かせようとしているように見える。 正式に独立プロセスの陣頭指揮を執っているのは、カタルーニャ自治州首相で、中道右派の地域政党「カタルーニャ集中と統一」(CiU)を率いるアルトゥール・マス氏だ。だが、マス氏はこの2年間で、支持率が急上昇する左派・独立派のERCとジュンケラス氏の支持に依存するようになった。 今年5月の欧州議会選挙では、ERCは逆転勝利を収め、カタルーニャ州内で25%の票を獲得し、CiUを2位の座に追い落とした。 高支持率を背景に強硬路線に舵を切るジュンケラス氏 多くのアナリストは、ジュンケラス氏は今、カタルーニャで最も有力な政治家であり、危機でカタルーニャの早期選挙が行われるようなことがあれば、自治州首相としてマス氏の後を継ぐ最有力候補だと話している。 支持率急騰に勢いを得たジュンケラス氏はこの数カ月で発言を強め、たとえスペインの憲法裁判所が住民投票を禁じたとしても、マス氏は11月の住民投票を実施すべきだと訴えている。 ジュンケラス氏は裁判所を「政治的な法廷」として片づけ、大半の裁判官は、ともに住民投票に反対しているスペインの2大政党によって選出されていると指摘する。「国民党(PP)と社会労働党(PSOE)が同じ試合で選手とレフェリーを同時に務めたがることは普通ではない」と同氏は語る。 マス氏は繰り返し、「違法」な住民投票を実施する気はないことを明確にしている。 By Tobias Buck in Barcelona
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