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自身を排除する動きを警告されていたマリキは首相指名を拒否する大統領の公邸を治安部隊で包囲
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201408110000/
2014.08.11 17:18:47 櫻井ジャーナル
次期首相の指名をめぐってヌーリ・アル・マリキ首相とフアード・マアスーム大統領が対立しているイラクで新たな動きがあった。議会の第1勢力から首相を指名することを拒否している大統領をマリキは批判、治安部隊をバグダッドの中枢部に展開し、大統領の公邸を包囲したという。
4月に行われた選挙の結果、第1勢力はアル・マリキを支える「法治国家連合」。全328議席のうち92議席を獲得した。ムクタダ・サドルが率いる勢力の34議席とイラク・イスラム革命最高評議会の31議席を加えたシーア派連合は157議席に達し、スンニ派連合の59議席、クルド連合の55議席を大幅に上回る。本来ならマリキが次期首相に指名されるのだが、それを大統領は拒否している。
こうした事態を招いた一因は同盟者の間での対立にあるのだが、その背後にはアメリカ政府が存在する。4月の選挙結果はアメリカにとって好ましいものではなかったのだ。選挙の前月、マリキ首相はサウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判しているが、こうしたペルシャ湾岸の産油国はアメリカやイスラエルと同盟関係にある。これは本ブログで何度も書いたことだ。つまり、マリキは暗にアメリカを批判していた。
北部の油田地帯やダムを制圧、バグダッドに圧力を加えているIS(ISIS、ISIL、IEILとも表記)は現在、サウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子が資金を出している、つまり雇っている。制圧した地域の武器庫から武器/兵器を持ち出しているだけでなく、アメリカ/NATOから武器を調達、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや米軍の特殊部隊から主要メンバーを軍事訓練をうけたともいう。マリキが行った批判は正しいということだ。
6月の始めにISは大攻勢をかけてモスルを制圧、銀行から約4億2900万ドルを奪い、保有する総資産は20億ドルに達したと言われている。その際、イラク軍の指揮官は戦闘を回避したようで、マリキ首相はメーディ・サビー・アル・ガラウィ中将、アブドゥル・ラーマン・ハンダル少将、ハッサン・アブドゥル・ラザク准将、ヒダヤト・アブドゥル・ラヒム准将を解任した。
そうした中、登場したのがロシア。ウラジミル・プーチン大統領はマリキを支援すると表明、マリキの政敵が「西側」の後ろ盾や地域の有力者からの支援を目論見ながら彼を排除する工作を進めているとも伝えたようだ。そして6月下旬、中古ながら5機のSu-25近接航空支援機をイラクへ運び込んでいる。こうしてみると、今回、マリキがとった行動は反マリキ派の動きを睨み、周到に準備されたものだったと考えるべきだろう。
ウクライナでもそうだが、イラクでも外国勢力に買収された軍の幹部に対する怒りが兵士の間で高まっている。その怒りを味方につければ、マリキはアメリカ/イスラエル/サウジアラビアの攻撃に打ち勝てるかもしれない。

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