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ウラジーミル・プーチン大統領の支持率はうなぎ登りで上昇し、87%にも達している〔AFPBB News〕
ロシアの消費者、西側の食品禁輸の痛みを覚悟 プーチン大統領の強硬姿勢に絶大な支持
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41453
2014.08.11 Financial Times
(2014年8月8日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が欧米諸国の肉、乳製品その他の農産物の全面輸入禁止を発令してから24時間も経たないうちに、モスクワの裕福な買い物客、ドミトリー・コルニロフさんには、大統領に言いたいことが1つあった。このまま、いい仕事を続けてくれ、ということだ。
エコノミストのコルニロフさんが、モスクワでも最高級の部類に入る、輸入品でいっぱいの食料品店で買い物をしたり、定期的に米国に出かけたり、爪の手入れを施してもらう前にフランス産白ワインのボトルを買うところだったことなど、気にしなくていい。ロシアの多くの人たちと同様、コルニロフさんは、プーチン氏が3段階にわたる西側の本格的な制裁に対応したのは正しかったと信じている。
■「3度やられたら、やり返すのは当然」
「街頭を歩いている時に誰かがやって来て、1度ではなく、2度でもなく、3度ばかにしてきたら、3度目は言い返すだろう」とコルニコフさん。「プライドを持つのは個人だけではない。国にもプライドがある」
一部の評論家や西側の外交官が非常に驚いたことに、プーチン氏の人気は過去6カ月間、同氏の危険な地政学的な賭けと歩調を合わせて上昇してきた。
独立系世論調査会社レバダ・センターによると、米国と欧州連合(EU)の新たな制裁やマレーシア航空MH17便の撃墜、ウクライナ東部で再発した戦闘を背景に、プーチン氏の支持率は過去最高の87%まで急上昇しているという。
大きな経済的痛みによって国民が愛国心の代償を払うことを余儀なくされれば、大統領の支持率が低下する可能性があると考えるアナリストもいる。欧州の食品の禁輸は、特に中産階級のモスクワ市民――2011年の終わりから2012年初めにかけて束の間の反プーチン運動で街頭に繰り出した人々――が影響を強く感じることになる。
食品業界の専門家やエコノミストらは、禁輸は国中で食品価格、インフレ、供給に重大な影響を及ぼす可能性があると警告する。
■国営テレビはロシア農業の販促キャンペーン
だが、大統領はそうしたリスクをすでに検討し、大半のロシアの消費者、特に地方の人々はフランスの肉加工食品やラトビアのチーズがなくても生きていけると判断しているように見える。また、大半の経済的影響がすぐに感じられないことも期待しているようだ。
ロシア国営テレビは7日、国内農業の販売促進キャンペーンに乗り出し、地元で採れた果物や野菜の価値を謳い、制裁が地元の生産者にとって恩恵になると強調した。番組では、単に農業だけでなく、機械など関連部門でも、すぐに何百という雇用が創出されると報じていた。
主要国営ニュースチャンネル、第1チャンネルのリポートでは、ある特派員がロシアの農産物の品質について――ほとんど遺伝子操作を行っていない「世界最高水準」にあると――大げさにまくし立てていた。
アズブカ・フクーサ――米国のプラムからスペインのスイカまで高価な輸入品で棚が山積みになったモスクワの高級スーパー――の外に立っていた27歳の銀行員、エフゲニー・キセルエフさんは、棚に並ぶ果物や野菜はすぐに少なくなるだろうと判断していたが、自分も友人も何とかやっていけると力説した。
「何の問題もないと思いますよ・・・我々は何らかの形で応酬する必要があったんです」とキセルエフさんは言う。
ロシアの食肉輸入会社のある従業員は、自分の会社がこれまで扱ってきたスペインやポルトガルの肉の代用品を見つけざるを得なくなり、恐らく財務面で打撃を受けることになるとしても、自分は禁輸を支持すると話していた。
「誰かがピニャータのようにあなたを殴ったとしたら、ただ黙っていますか?」。最初にパンチを食らわせたとして西側を非難しながら、彼女はこう言った。「輸入禁止は始まりにすぎません。これから冬がやってきます。その時になったら、誰が最後に笑っているか分かりますよ。欧州に代償を払ってもらえばいい」
■禁輸措置の影響で、年間インフレ率が8%を超える可能性も
食品業界の幹部らは、禁止された食材や最終製品が広範囲に及ぶことを考えると、生産者も小売業者もすぐには調整できず、結果的に一部の製品で選択肢が狭まるだろうと話す。ロシア産の農産物でさえ、さらに高くなる可能性がある。
今は収穫期で食品価格の上昇率が季節的に低いことから、エコノミストたちは、すぐに値段が急騰することはないと考えている。
だが、モスクワの証券会社BCSプライムのチーフエコノミスト、ウラジーミル・チホミロフ氏は、10月以降はさらなるインフレ圧力が加わると予想しており、制裁によって年間インフレ率が少なくとも1ポイント上昇すると試算している。政府見通しに基づくと、それはインフレ率が今年8%を超える可能性があることを意味している。
政府は、コモディティー(商品)市場を監視し「制御する」と約束しているが、専門家はこれが機能するかどうか懐疑的だ。2008〜09年の金融危機の際、ロシア政府は安いパンや砂糖など一部の食品の価格に上限を設定しようとしたが、生産者は低価格製品の生産を全面的に停止して、これをすり抜けた。
X5リテール・グループが所有するディスカウントチェーン、ピャテロチカではパンが値段別に分類されており、最も安い20ルーブルのパンが1番下の棚に、100ルーブルの最も高いパンが1番上の棚に置かれている。
「(危機の)当時は、安いパンは全く手に入りませんでした」と、モスクワ市内のピャテロチカの店舗で買い物をする高齢者のアンナ・ベトチキナさんは言う。
■「ロシア人は何にでも耐え抜くことができる」
新たな措置で同様の不足が起きるのではないかと心配する買い物客もいる。だが、前出のコルニロフさんのような人たちは、長期的な視点を持っている。制裁や報復制裁は「長くて3、4年続き、その後はすべて元の状態に戻る」とコルニロフさんは主張する。
その間、ロシア人は多少の不便さに対処する覚悟を持っている。「ロシア人は何にでも耐え抜くことができる」とコルニロフさんは言う。
By Courtney Weaver and Kathrin Hille
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