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中国の不可思議鶏肉報道 肉を切らせて骨を断つ対米制裁
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/887c16f4128e5c509a10fc94abe9709c
2014年08月10日 世相を斬る あいば達也
どうも、米国食品卸し大手OSIの子会社「上海福喜食品」の期限切れ肉加工の報道は、隠し撮りしている風もなく、公式取材のような画像であり、アングルなので、「上海福喜食品」の協力があった疑いが、当初よりあった。まあ、一般的には、中国の杜撰な食品管理の実態を暴いているわけだから、政府乃至は関係官庁が、意図的に恥を晒すことはないと考えるのが自然だ。しかし、あまりにも堂々たる取材状況は不自然すぎる。朝日も、以下のような記事を配信している。
≪ 中国の期限切れ肉、背景に外資たたきも 異例の告発報道
中国の食品会社「上海福喜食品」が期限切れ肉を使っていた問題は、中国でも衝撃をもって受け止められている。消費者から信頼されていた外資系企業が引き起こしたためだ。背景には外資系が「たたかれやすい」中国の事情もある。
上海福喜は、米国の食品卸売り大手OSIグループ企業だ。中国の有名な外資系ファストフードチェーンのほとんどが取引をしていたため、影響はさらに広がっている。23日夜から24日にかけては、中国のケンタッキー・フライド・チキンとピザハットを運営する米ヤム・ブランズが、中国でOSIグループとの取引を全てやめると発表。マクドナルドも上海福喜との取引を打ち切る代わりにOSIグループの別の会社から供給を受けると明らかにした。
国営新華社通信(電子版)によると、香港政府は24日、上海福喜の製品の輸入を禁止すると発表した。 食品業者による不正が後を絶たない中国では国産品への信頼が低い一方、外資系企業は「国際基準で厳格に管理されている」と比較的信頼されていた。
それだけに米資本の上海福喜で起きた今回の事件の衝撃は大きい。共産党機関紙「人民日報」は24日の記事で、「外国企業はなぜ中国へ来ると変質してしまうのか」と問いかけた。中国料理協会の辺疆副会長は「有名ブランドでも問題が起きたことで、より厳しい措置が必要なことが露呈した」と話す。 上海福喜を告発する報道はなお続く。最初に疑惑を報じた上海テレビは22日、新たに、上海福喜が他社製の冷凍の鶏肉を常温で取り扱っていたことを問題視するニュースを流した。工場には鶏肉を使うチキンナゲットと豚・牛肉を使うハンバーグの生産ラインが一つずつあり、「不正は国内向けだけでなくすべての製品で行われていた」という。
厚生労働省によると日本に輸出されていたのは鶏肉加工品のみで、牛肉などはなかった。政府はこれまでの日本への輸出分に報道されたような「期限切れ肉」が混じっていたかの確認を中国側に求めている。 中国のネット上では「取引のあった店には二度と行かない」と怒りの声があがる一方、「対象が上海市の国営企業だったらどうだったろうか」と皮肉る声もある。言論の締め付けが厳しい中国では政府と関係の深い企業の不正は報じにくく、外資系企業が「たたきやすい」対象になりがちだ。中国中央テレビなどの国営メディアでは、昨年から米アップルやスターバックスなどの有名企業を批判する報道が目立っていた。 ≫(朝日新聞デジタル:北京=斎藤徳彦、上海=金順姫)
朝日新聞の記事は、単に中国進出の外資系企業だから叩かれたのだ、と云う疑惑を報じているが、その後の中国メディアの動きを見ていると、そんな表面的な中国食品管理の杜撰さとか関係のない、極めて政治的動きなのではないのかと云う疑問もある。今日も読売新聞が、「中国ウォールマートで期限切れ肉」を報道している。
≪ 中国のウォルマートで期限切れ肉か…地元テレビ
【広州=比嘉清太】中国メディアによると、広東省深セン市にある小売り世界最大手、米ウォルマート・ストアーズのスーパーで、保存期限切れの肉を使った食品を販売した疑惑が浮上し、市当局が調査に乗り出した。 地元テレビ局が7日、スーパー従業員による内部告発とされる映像に基づいて疑惑を報じた。期限切れの肉の使用のほか、半月以上使って黒く変色した不衛生な食用油で鶏肉を揚げたり、虫が入っていたと返品されたコメを再利用したりしていたという。
ウォルマート側は「指摘された行為は見つかっていない」と疑惑を否定しているが、第三者による調査を受け入れる意向を表明した。 ≫(読売新聞)
その間にも、中国政府は、アップル製品の使用制限とか、ⅯSウィンドウズ8を政府調達から外すとか、一連の動きを活発化させている。勿論、サイバー空間における戦闘が繰り広げられている昨今だから、チップにウィルスを埋め込んだ製品が中国市場に流れ、共産党政府が使った場合、何が起きるか判らないと云う、諜報上の都合もあるだろう。しかし、中国食品加工の場合は、諜報とは関係なさそうだが、一連の動きの中で起きている。その対象が、アメリカであることは明白だ。
アメリカがサイバー攻撃で、中国の大手通信メーカー・ファーウェイの排除を進めていることへの対抗手段もあるが、一連の流れで、中国の恥部とも言われる、食や衛生面の問題を、政治的に利用してまでも行おうとする行動には、もっと深い意味があると思っていた方が妥当なのではないのか。流石に、ロシア制裁への応援制裁と云うのは、考え過ぎだが、アメリカ資本への敵対的姿勢が根底に流れている疑いはある。わざわざ、定番化した自国の恥部は隠しようもない。どうせ隠せないものなら、情報戦の武器として有効利用する発想もあるだろう。まさに、肉を切らせて骨を断てばいいわけだ。
いずれにしても、一部の経済コラムニストなどは、ロシアの悪行のお陰で、中国の習近平が漁夫の利をえた、などとトンチンカンナ論を展開していたが、中露の、対米対抗と云う図式は、21世紀初期の大いなる冷戦になりかけていることこそ、世界情勢のポイントであり、意外に、経済事情にも深く関わってくるかもしれない辺りの評価が必要な時期に来ていると考えるべきである。金融資本とネオコンのパシリになったバラク・オバマはイラク撤退と開戦を共に行った大統領として、歴史上の評価は最低ポイントを記録しそうである。ニクソンよりも、ブッシュよりもである。
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