01. 2014年7月30日 10:43:48
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最近、こっちは完全に忘れ去られているが、損耗はガザやウクライナに比べ桁違いだISISなかなか、やるようだな http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41353 JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] 硬軟織り交ぜて支配強めるISIS イラクとシリアで勢力拡大――恐怖と分断統治とソフトパワー 2014年07月30日(Wed) Financial Times (2014年7月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
シリアとイラクの武装勢力、イスラム国家樹立を宣言 イラク・サラハディン州の道路を走る「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の戦闘員らを写したとされる写真〔AFPBB News〕 黒地に白い文字の刻まれた「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の旗が今、シリア東部の町デリゾールのほとんどの地域ではためいているが、他の反政府勢力によると、地上にISISの戦闘員の姿はほとんど見えないという。 ISISは秩序を保つために地元の部隊を使い、一定の距離を置いて町を支配している。デリゾールのハムザ旅団のムンディル・サファン氏は、「彼らは町にやって来て、『誰もお前たちの邪魔はしない。だが、何か必要なものがあれば、我々が助けてやる』と言った」と話す。 バシャル・アル・アサド大統領率いるシリアの政府軍と戦っている多数の反政府勢力と同様に、サファン氏の部隊は、アルカイダから分派したISISがデリゾール県の9割を掌握したと主張する中で、以前と変わらぬ活動を行っている。「ISISは、我々の部隊が以前と同じように地域を統治するに任せている」とサファン氏は言う。 シリアとイラクの多くの地域でISISは電撃的に勢力を拡大した。その重要な要素は、ISISが制圧した地域で権力を維持するために、ごくわずかな軍事力しか使っていないことだ。ISISは、他の反政府勢力から徐々に支配権を奪うために、恐怖と分断とソフトパワー戦術を混ぜ合わせたモデルを完成させているように見える。 攻撃を仕掛ける前から統治計画を立案 ISISが掌握している地域の活動家や住民によると、ISISは軍事攻撃を始める前から統治の計画を立て始めるという。戦闘員や活動家の潜伏組織は、最初の攻撃の準備をするだけでなく、ISISの権力基盤を徐々に固めるための行政、社会プロジェクトも用意するのだ。 ISISはまず、抵抗を和らげるために、サファン氏のハムザ部隊のように同盟関係にはないが脅威にならない地元勢力や、ISISが勢力を拡大する中でISISに忠誠を誓った数千人の過激派と領土を共同統治する。 「その手法は、『征服するためには謙虚になれ』というアラブの表現のようだ。ISISは勢力を拡大し、基盤を固めながら、味方をつくっている。その後は、ISISが完全な支配を敷くことができる」。シリアの監視団体「シリア人権監視団」のラミ・アブデル・ラーマン代表はこう説明する。 ISISは今や「イスラム国」を自称し、カリフ制イスラム国家を樹立していると主張している。ISISは油田や銀行、軍事施設を占拠することで、歴史上最も裕福で最も強力なジハード(聖戦)主義集団の1つになった。完全に掌握した地域では、ISISはイスラム法の厳格な解釈を実行に移している。窃盗犯には手足の切断の刑罰を科し、婦女子には顔と髪を隠うベールの着用を強い、宗教少数派には隷属的な地位を押し付けている。 このような戦術を用いて、ISISは4つの異なる前線――シリアの北部と石油資源の豊富な東部、そしてイラクの北部と西部――で勢力を拡大することができた。 ISISの前進は、他のスンニ派反政府勢力に、シリアのアサド大統領やイラクのシーア派中心のヌリ・アル・マリキ政権という共通の敵と戦い続けさせることで後押しされてきた。 シリアのラッカで確立したパターン シリア北部のラッカ県の住民らは、ISISのやり方を受け入れるのは誤りだと語る。ラッカは反政府勢力の手に完全に落ちた最初の県だったが、ISISは今年1月に対立する反政府勢力を放逐した。 「当初はみんな、ISISの厳格な宗教的規則を無視した・・・ISISは様子をうかがっている間は悪さをしなかった。彼らはゆっくり時間をかけて分割統治を成し遂げた。最終的に、他の反政府勢力は崩壊し、撤収した」。ラッカの店主でフルネームを明かすのを拒んだサレーさんはこう語る。「反政府勢力が撤収して数日経ったら、ISISはニカブ(顔を覆うベール)を着用していない女性を殴り始めた」 イラク最大の都市の1つで6月10日に過激派勢力に陥落したモスルでの出来事は、ラッカで確立されたパターンが繰り返されていることを示唆している。 当初は、モスルで誰が主導権を握っているのかは不明だった。ISISのイスラム法の厳格な解釈に基づくルールが発表されたが、概ね無視された。多数の反政府勢力が通りをパトロールしているように見えた。 1カ月後には、ISISが権力基盤を固めた兆しが見え始めた。さらに、この1週間で、初めて公の場でむち打ちが行われたとの報道があった。そしてモスルの歴史的なキリスト教徒コミュニティーのうち、残っていた人々が町を出た。報道によると、改宗するか立ち去るかという選択を迫られた後のことだという。 食料を配り子猫を可愛がる戦闘員、斬首された遺体とポーズを取る写真も ISISの人員が限られていることから、権力の維持には心理的な手法が決定的に重要になる。ISISのソーシャルメディアサイトに掲載された写真には、兵士らが子供に食べ物を与えたり、子猫を可愛がる姿が写されているが、囚人たちを集団墓地で射殺したり、斬首された遺体とポーズを取る写真も掲載されている。 彼らはISISの支配を受け入れる者は安全だが、受け入れない者は残忍な最期を迎えるとのメッセージを送っているのだ。 行き過ぎた行為にもかかわらず、ISISは戦争に疲弊した多くのシリアの市民に受け入れられ、時には歓迎されている。 「他の反政府勢力の下では、誘拐や略奪は手がつけられない状態だった」。ラッカのサレーさんはこう言う。「ISISは犯罪者や抵抗勢力をはりつけにし、首をはねる。しかし、残る我々には手を出さない」 他の反政府勢力より「人間らしい」? 活動家らの話によれば、他の反政府勢力と異なり、ISISは医療物資と人道支援物資が敵の支配地域に流れるのを容認している。先日は月間数百万ドル相当の収入をもたらすデリゾールの油田をすべて制圧した後、油田の営業担当者に、手頃な価格で燃料を精製・販売するよう命じた。 「民間人にとっては、ISISは他の武装勢力より人間らしく思える」。シリアの反政府勢力の活動家、カラム氏はこう言う。「武装勢力はギャングのように動くが、ISISは軍隊のように動き、考える」 By Erika Solomon
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