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ロシアを魔女にする欧米 世界破滅の覚悟は出来たのか
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2014年07月28日 世相を斬る あいば達也
覇権国家の力が頂点を越え、下降線を辿るようになると、現在、我々が目撃しているような混沌が起きるのだなと思う。おそらく、ロシアのプーチンは、ロシアが世界の覇権国家になろうなどとは思っていないだろう。現実に、なろうとしても、その夢は、初夢の類に違いない。にもかかわらず、欧米各国は、寄ってたかって、ロシアを世界の悪者に仕立てようとしている。西側諸国の経済が、本当に伸びていたなら、このようなキナ臭い問題を噴出させる必要もなかった。つまり、世界景気の真実は、明らかにリセッションと云う奔流に飲み込まれていると云うことのようだ。
単に、デモクラシーの堅持とか、侵略を許さないという高邁な目的で実行されているプロパガンダではないと云うのが、筆者に認識だ。ロシアのプーチンの失墜が実現したら、次は中国の民主化に手を突っ込むのは必定だと言えるだろう。もしかすると、習近平はプーチンの失墜をみてビビりまくり、民主化するようなフリに専念するかもしれない。世界の主たる国々の指導者や識者の多くが、本当はロシアや親ロ派がミサイルを撃ったわけではない、と気づいているかもしれない。ただ、“物言えば唇寒し…”なのも事実、アメリカに楯突いて、生き延びた者はいないというトラウマは、厳然と西側の人々に染みついている。
現時点を観察する限り、EUはプーチンの読みと異なる方向に走り出してしまったようだ。EU(NATO)の存在価値を高く評価し過ぎたかもしれない。世界に公正な目で物事を判定する力、が残っている方に賭けたのだろう。英国はコバンザメのような国だから、どうしようもないが、独仏にはジャスティスの魂が残されていると評価してしまった事に問題があった。彼らも、英日豪韓加と変わらず、コバンザメだったのだ。ことここに至ると、プーチンの選択は限られてくる。
三択問題になるだろう。第一は、プーチンが大統領を降りてアメリカ傀儡の政権にロシアを引き渡す。エリツィンの取った米国の準コバンザメ作戦だ。第二は、ウクライナ南部東部を、強引にロシアに編入してしまう方法だ。第三は、徹底抗戦の姿勢を崩さず、核戦争辞さずの姿勢を貫く方法だ。第一の選択は、おそらく筆者の知る限りのプーチンにおいては考えにくい。その場合、ロシア国内で飼い慣らしてきた多くの反プーチン勢力に、ウクライナ問題やクリミア併合の責任追及で、内政を大混乱に陥れる戦略に遭遇し、自ら降りなくても、より一層の窮地に立つ。
第三の選択は、ロシアもヨーロッパもアメリカも中国も、勿論日本も、人の住めない国になる可能性は大いにある。精々、南半球の一部が人類生存を可能にする地になるかもしれない。この選択をプーチンが排除することはないだろうが、誰が考えても、運がいいとして、地球を半分以下に狭め、20世紀初頭のような世界にするのだから、最終戦略だと言える。プーチンを含め、世界の誰もが望まない核戦争だ。米国の軍事専門家らによる、米国の核先制攻撃で、ロシアを破滅させることは可能らしい。しかし、北米大陸が無傷でいられるわけもなく、北半球は人類の住めない地になるのだろう。
第三の選択は、プーチン外交の最後の切り札だと言えるわけで、EUを脅す好材料だ。ケネディー×フルフチョフの核ボタン押す押さないの時よりも、より効果的に、ロシアの殆どと、アメリカの一部も放射能の雲に覆われる。その雲は、地続き、大西洋、太平洋を渡り、最終的には福島原発事故の影響など、胡散霧消するほどの惨事になるだろう。たしかに、チェルノブイリと福島で、原発の利用を止めることにしたドイツの英断など、糞のような話になってしまう。そういう意味で、この選択肢も排除しない姿勢をみせながら、新たな手を打つのが、プーチンに残された選択だ。その突破口が第二の選択、ウクライナ南部東部のロシア併合ではないかと思われる。
希望の星であったEUの体たらくを見れば、僅かにあると思っていた、公平な目線など存在しないことが判明しかけているのだから、EUの冷静な判断を期待するよりも、アメリカ同様に脅す方が理に適っている、と判断する可能性の方が高いだろう。つまり、方針転換で、ウクライナ南部東部の併合やむなしとなる。当然、アメリカは、NATOにウクライナへの派兵を要求してくるだろう。それにNATOが速やかに応じない場合は、アメリカ自らが、ウクライナ国内に派兵するかもしれない。そして、NATO加盟国の尻を叩くのである。現状は、法的に無理なようだが、急きょ議会を何某かの法案を作るに違いない。
そうなると、ウクライナ対ロシアの戦争になる。現状のウクライナ内戦から、ウクライナ対ロシアの戦争になる。米国が単独でもウクラナに派兵するだろうから、アメリカ対ロシアの局地戦が始まる。おそらく、地上戦及び空軍による戦争だろうが、一進一退のいい勝負になるだろう。英豪は同時参戦で、日本にも兵站での要求が来るやもしれない。安倍のウルトラ外交など、煙のように消えてしまう(笑)。現実には、急きょ法案作りから始めるので、参戦には6か月は掛かるだろう。ここに至っても、仏独が動かないとなると、NATOはなんだ、ユーロ圏を援けた金融の恩義を忘れたのかと、アメリカが脅す。ロシアはロシアで、おまえらが出てくるなら、核のボタンを押すぞとなる。
独仏が動かないとなると、オバマが窮地に陥る。アメリカ国内は蜂の巣を突いたような大騒ぎになり、大統領弾劾裁判が始まるかもしれない。今でも、3割に人間が、オバマは弾劾に値するわけだから、その時点では軽く6割くらいになるのではないだろうか。そうなってしまえば、金持ちと貧乏人の喧嘩の様相を見せるので、プーチンに分が出てくる。そうでもしないと、プーチンの出口が見えてこない。そういう意味で、理不尽だが、現状はアメリカのプロパガンダが優勢だ。しかし、このような事態も、アメリカの覇権の陰りであり、謀略以外に覇権が守れないジレンマなのだろう。
さて、前原誠司の親玉みたいな口先男演説上手のオバマの根性は如何なものか、見ものである。ただ、オバマが消えても、アメリカ・ネオコンの火は消えないので、永遠にこう云うことが繰り返されるだけかもしれない。結局、人間は、永遠に争いごとを作り、争い。争うために武器を作り、砲弾を製造して、それを消費することで経済をまわしている動物なのかと思うと、幾分、滅ぶのも宿命なのだろうかと厭世な気分にさせられる。今夜のコラムは、かなり暗い推測になってしまったが、“逆櫓の道を残す”知恵がアメリカにあるか、捨身で打開の突破口をロシアが見出すか、無責任だが興味は尽きない。国内政治への関心は薄れるばかり、退屈で仕方がない(笑)。
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