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原文はここ。
マレーシア機撃墜に関する包括的陰謀論ガイド(ワシントンポスト)
大惨事に陰謀論は昔からつきものだが、インターネットはこうした探偵行為をずいぶんと容易にしたようだ。今や我々は、Reddit’s /r/conspiracy( http://www.reddit.com/r/conspiracy/ )のようなネットフォーラムや、Infowars ( http://www.infowars.com/ ) や Before It’s news (http://beforeitsnews.com/ ) などの常軌を逸したニュースサイトに事欠かない。MH17機が墜落した金曜日、24時間以内に、こうしたウェブサイトは、事件を説明する「オルターナティブ系の説」を一斉に提示してみせた。
いうまでもなく、これらの諸説は、ほとんどが理屈に合わないバカバカしいシロモノだ。陰謀論、特に、感染力が高いそのインターネットバージョンは、多くの場合、偏執的妄想と飛躍した推理、アマチュア探偵術への自己過信をつぎはぎしたパッチワークに過ぎない。(ボストン爆弾事件のあと、陰謀論サイトReddit’s を席巻した写真、赤いサークルで囲まれ、恣意的に選ばれた「確たる証拠」を示すあの一連の写真を思い浮かべて欲しい)とはいっても、これらの陰謀論をやみくもに拒否するのも愚かだろう。それが、単に「多くの人が信じているから」という理由だけからだとしてもだ。
シカゴ大学の最近の研究は、陰謀論は自らの無力感への心理的反応であるとする一方で、普段は完璧に論理的かつ正常な人間でも、陰謀論を信じ込んでしまうこと、また、成人年齢に達したアメリカ人のなんと二人に一人がそういった傾向を持つことを指摘している。
だからといって、MH17機事件の陰謀説が、本当らしく感じられるとか、不愉快でなくなるというわけではないが、陰謀論も考慮、あるいは配慮に値するとまでは言えるだろう。詰まるところ、これら陰謀論には、突拍子もない過激論者のタワゴト以上の何かがあるのだ。陰謀論とは、ある意味で、大惨事に対する「悲しみの表現の一種」なのである。(だから、最悪の場合、今から半年後に、あなた自身が、あなたの家族と陰謀論をめぐって議論を戦わせるはめになる可能性もあるわけだ。)
陰謀論その1.ある強国が第三次世界大戦を起こすためにMH17機を撃墜した
どの国の仕業かについては、ロシア、アメリカ、イスラエル、その他の西欧の国など、諸説あるが、動機に関しては共通している。航空機の撃墜は、NATOがロシアに侵攻する、あるいは、ロシアがNATOに侵攻する完璧な口実になる・・・というのがその理由である。オルターナティブ系のBefore It’s News は「これが第3次大戦を引き起こすための秘密作戦であることは、疑問の余地がない!」と断定している。一方、熱狂状態のReddit’sのサイトは、民間航空機の撃墜とNATOの軍事的侵攻を予言したかに見える17日づけのロシア人のツィートを指摘してみせた。
過激陰謀論としては、このセオリーはそれほど突拍子も無いものではない。少なくとも、「飛行機が撃墜された」という事実は認めているからだ。しかし、民間航空機への攻撃は戦争犯罪であり、また、いうまでもなく、国際社会全体を敵にまわす行為でもある。戦略的に賢いやりかたとは言いがたい。
陰謀論その2.超大国が、ガザ危機/(アメリカの)移民危機、/国際通貨の再編 /スノーデンの次のプレスリリース/(なんでもいいからここに書き込んで下さい)/・・・から注意をそらすためにMH17機を撃墜した。
こういう主張をする論者は多いが、たとえば、Reddi’sのあるコメンテーターは、このように書いている。
「今日、メディアは半狂乱だった。 彼らが大量の情報を流すときは、何かを隠そうとしているのだと言うことを、肝に銘じなければならない」
我々(彼らの言う「恐るべき主要メディア」)が隠そうとしてるその「何か」として、人気があったのは、「イスラエルのガザ侵攻」、「アメリカ−メキシコ国境の難民危機」だった。だが、おかしなことに、どちらのトピックも、新聞やネットで大々的に取り上げられていた。仮にMH17機事件が「何か」から関心を逸らすための謀略だったとして、その効果はまったく無かったと言えるだろう。
陰謀論その3.ある超大国が、エイズが人工的に作られたことを隠蔽するために撃墜した。
エイズの著名な研究者がMH17便に搭乗していたというニュースが、事件は何らかの形でエイズ研究と関連しているという幾つかのの憶説を生んだようだ。「エイズ人工ウィルス説を隠蔽するため起こされた事件かもしれない」・・・というわけだが、これも、陰謀論者の間で人気のあるセオリーである。陰謀論サイトReddi’sは、エイズ感染者で活動家だったWHOのジョナサン・マンが、16年前、やはり飛行機事故で死んだことを指摘している。この16年前の事故も陰謀論者の憶測を呼んだが、数百億ドルを投じた4年間の調査の結果、電気系統から出た火が可燃物に燃え移ったことが原因だという結論が出ている。
陰謀論その4.ウクライナが、プーチン大統領を暗殺しようとした
この噂の出所は、ロシアの国営通信社インターファックスであり、そこからアメリカに浸透した。インターファックスによれば、プーチン大統領の専用機はMH17とほぼ同じ時刻に同じルートを飛び、飛行機のサイズや色合いも似ていたのだという。この情報が「撃墜事故はプーチン暗殺を目的といたが誤爆に終わったのだ」という憶測を生んだ。ブロッガーのLada Rayは何と「全て大文字で」(笑)こう書いている。
「事件は、ラテンアメリカからの帰途にあるプーチン大統領が乗った航空機を撃墜しようという意図的な試みだった」
しかし、やはり国営のロシアテレビ ( http://rt.com/news/ ) は、このあとすぐ、インターファックスの情報を否定している。プーチン大統領の専用機は紛争が始まってからウクライナ上空を飛んだことはないし、事件当日の木曜日も、指摘されているようなルートを飛んでいない。(注 プーチン大統領は、その日、ブラジルからモスクワに戻る途中だった)
関連記事http://rt.com/news/173672-malaysia-plane-crash-putin/#.U8gaF3RWK9k.twitter
陰謀論その5.MH17機は撃墜されていない
これは、第三次世界大戦誘導説の亜種である。Youtubeの有名な陰謀論ブロッガーDHABOO77(この人は、フランシス法王から結核まで、あらゆることに憶説の「爆弾を落とす」ことを専門としている)の主張によれば、MH17機は航路を変えられてウクライナ東部に達し、そこで機内に仕掛けられた爆発物により爆破されたのだという。このセオリーでは、ウクライナ(もしくはロシアかアメリカ、または他の誰かが)が、MH17を墜落させ侵略行為の口実にしようとしたということになる。
このブロッガーの主張の一番の根拠は、MH17機が空中ではなく、地上で爆発するさまを捉えた一連のダッシュカムビデオの映像である。(「映画や漫画で、何回となく飛行機が墜落するシーンを見ただろ」・・・こう彼は言うのだが、どうやら彼は、漫画の墜落シーンが常に重力の法則に従っていると思っているようだ)航空関係の専門家によれば、ミサイルが飛行機に当たっても、胴体に命中しなければ、機体が地上に落ちて爆発することもあるのである。
陰謀論その6.本当は、MH17機は出発していない
ほとんどめちゃくちゃな陰謀論サイトであり、「啓蒙サイト」(笑)として人気のあるNesara News ( http://www.nesaranetwork.com/ ) 「フライトをキャンセルされた」と主張している。その理由は、レーダー情報サイトFlightRader24.Com( http://www.flightradar24.com/ )が、リストにそう記しているからだという。(もちろん、このサイトが言及しているのは、モスクワでの着陸がキャンセルされたということで、離陸についてではない)Nesara Newsは、気の毒なことに、爆発された機体がMH17でなければどの機体だったのか究明する努力を今も続けている。いずれにしろ彼らは、暫定的な仮説を持ちえたわけだが・・・。
陰謀論その7.MH17はMH370だった!
機体はどちらともボーイング777だ。そして、今年3月に行方をたった機体はまだ発見されていない。Above Top Secret( http://www.abovetopsecret.com/ )フォーラムのある投稿はこう主張している。
「航空機がアムステルダムから出発したのは事実だ。しかし、これは航空機がMH17であることの証明にはならない。MH370に爆弾をしかけ爆破された可能性がある」
この機体入れ替わり説も、第三次世界大戦への誘導が動機とされる。
しかし、イルミナティウオッチャーは、さらに秀逸なアイデアを持っている。MH370機は、エイリアンか、あるいは、宇宙渦に呑み込まれ、ウクライナ上空に吐き出されたというのだ。(ウォッチャー自身が認めていることだが、この説は、短期で打ち切られたテレビシリーズ、The Event のブロットに良く似ている)念のため言っておくと、入手できる全ての証拠が、MH370機は、インド洋のどこかに眠っている事を示唆している。
陰謀論その8.イルミナティの仕業だ
これはほぼ定説と言っていいだろう。大惨事も、テレビドラマに与えられる賞も、イルミナティがほぼ毎回、関与している。イルミナティウォッチャーは、MH17機に関しても、多くの情報を握っている。MH17の機体は、ボーイング777である。1997年7月17日に初めて飛行し、17年間就航した。世界制覇を企むあの神秘的なオカルト集団、イルミナティにとって、これらの数字は重要な意味を持つ。そういう事を信じている人にとっては・・・ではあるが。洞察を深めるためだろうか、イルミナティウオッチャーたちは、IMF総裁クリスティーヌ・ラガルドの最近の演説や、人気ラッパー、ケンドリック・ラマーの昨年のコンサートにもオカルト的なメッセージを読み取って、ご満悦のようすである。The Conspiracy Zone( http://theconspiracyzone.podcastpeople.com/ )はビヨンセを悪魔の使いと糾弾する一方、こう出張している。
「この事件は、明白にアンチクリストと新世界秩序を招き入れるためのイルミナティの新たな謀略である」
懸命に答えを見つけようとする事は、人間の本性だ。とりわけ、答えが見つかりそうも無い状況の時には・・・。しかし、野暮を承知であえて言うならば、上に挙げたようなシロモノは答えとは言わないだろう。
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