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経済制裁と旅客機と
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2014年7月20日 マスコミに載らない海外記事
Paul Craig Roberts
2014年7月17日
7月16日にオバマが発表した、ロシアの兵器・エネルギー企業が、アメリカの銀行融資を受けることを阻止するという一方的なアメリカ経済制裁は、アメリカ政府の無能さを証明している。アメリカの二大企業団体を含むアメリカ政府以外の世界は、オバマに背を向けた。アメリカ商工会議所と全米製造業者協会が、ニューヨーク・タイムズ、ウオール・ストリート・シャーナルと、ワシントン・ポストに、アメリカ経済制裁に反対する広告を載せた。全米製造業者協会は“アメリカ政府が、アメリカ企業の商業活動を損ねるような益々一方的な形で経済制裁を拡大していることに失望している”。ブルームバーグは“ブリュッセルでの会合で、欧州連合の指導者達はアメリカの方策に合わせることを拒否した”と報じている。
ロシアを孤立化させようとして、ホワイト・ハウスの阿呆はアメリカ政府を孤立化させた。
経済制裁はロシア企業には効果あるまい。ロシア企業は必要以上の銀行融資を、中国、あるいは、フランスやドイツから得られよう。
アメリカ政府の三大特徴、傲慢さ、思い上がりと腐敗のおかげで、アメリカ政府は、恐ろしく物覚えが遅い。思い上がりに溺れる傲慢な連中は、学習能力が無いのだ。反抗にでくわすと、連中は、賄賂、脅迫と強制で対応する。外交には学習能力が必要だが、アメリカ政府はずっと昔に外交とはおさらばして、力に頼っている。
結果的に、経済制裁をしたことで、アメリカ政府は、自らの権力と影響力を浸食しつつある。経済制裁が、アメリカ権力の基盤であるドル決済制度から撤退するよう各国を奨励しているのだ。フランス銀行総裁で、欧州中央銀行運営評議会メンバーのクリスチャン・ノワイエは、アメリカ政府の経済制裁が、企業や国々を、ドル決済制度から追い出しつつあると述べた。アメリカ政府が認めない国々と事業を行ったかどで、フランスの銀行、BNPパリバから巻き上げられた膨大な金額で、アメリカ政府がルールを決める時代にドルを使用することから生じる法的リスクが増大していることを、アメリカ政府は明らかにした。
フランスの銀行に対するアメリカ政府の攻撃は、多くの人々にとって、過去の様々な経済制裁を思い起こし、ドイツのコメルツバンクに迫りつつある様な将来の経済制裁を熟考する好機となった。国際貿易で用いられる通貨を多様化させる動きは不可避だ。ノワイエは、ヨーロッパと中国間の貿易は、ドルを使用する必要性はなく、全額、ユーロあるいは人民元で支払い可能だと指摘した。
アメリカの支配が拡張しつつある現象が、世界中の全てのアメリカ・ドル建ての取引が、ドル支払制度から離脱するという動きを加速している。一部の国々は既に、貿易相手と、貿易支払いを、自国通貨で行うという二国間協定を締結している。BRICSは、ドルから独立した新たな支払制度を設立し、貿易不均衡に融資する為の、彼等独自の国際通貨基金を立ち上げようとしている。
アメリカ・ドルの交換価値は、国際決済制度における、その役割に依存している。この役割が縮小すれば、ドル需要も、ドルの交換価値も縮小するのだ。輸入品価格を通して、アメリカ経済にインフレーションが入り込み、既に四苦八苦しているアメリカ国民は、生活水準の更なる圧縮をあじわうことになろう。
21世紀に、アメリカ政府に対する不信感が増大しつつある。イラクの“大量破壊兵器”、“アサドの化学兵器使用”や“イランの核兵器”等のアメリカ政府のウソ、は、他国政府からはウソと見なされている。国々を破壊し、他の国々を破壊でおどす為に、アメリカ政府がつくウソが、世界を絶えざる混乱状態にし続けている。アメリカ政府が全員に味合わせている混乱状態を相殺するような、いかなる恩恵もアメリカ政府はもたらしていない。アメリカ政府との友情には、アメリカ政府の要求に服従することが必要で、各国政府が、アメリカ政府の友情は、大きな犠牲に値しないという結論に至りつつあるのだ。
NSAのスパイ・スキャンダルと、アメリカ政府が、その謝罪や、差し控えることを拒んでいることが、同盟諸国の、アメリカ政府に対する不信を深めている。世界中の世論は、他の国々が、アメリカのことを、平和に対する最大の脅威として見なしていることを示している。アメリカ国民自身、自国政府を信用していない。世論調査は、アメリカ国民の大多数が、政治家や売女マスコミや、ウオール街や軍安保複合体等の私益集団が、アメリカ国民を犠牲にして、自分達が儲かるように、体制を不正に操っていると考えていることを示している。
アメリカ政府の帝国に割れ目ができ始めていて、アメリカ政府は自暴自棄の行動をする状況になっているのだ。今日(7月17日)公共放送のナショナル・パブリック・ラジオで、マレーシア航空機がウクライナで撃墜されたことに関するBBCニュース報道を聞いた。報道は率直なものだったかも知れないが、ロシアと、ウクライナ“分離主義者”に濡れ衣を着せているように聞こえた。BBCは、より偏った意見を売り込み、番組は、分離主義者が、ロシアの兵器で旅客機を撃墜したという、ソーシャル・メディアの報道で終わった。
番組出演者の誰一人として、旅客機を撃墜して、分離主義者が一体何を得るのか疑念を持ったものはいなかった。そうではなく、ロシアの責任がはっきりした場合、アメリカのより強硬な対ロシア経済制裁を、EUが支持するように強いるだろうかという議論だった。BBCは、アメリカ政府の筋書きと、アメリカ政府が望んでいる見出し記事をなぞっている。
アメリカ政府工作の様相が見て取れる。あらゆる戦争屋がタイミングを見計らったかのように乗り出した。アメリカのジョー・バイデン副大統領は、旅客機は“撃墜された”と宣言した。“事故ではなかった”。特に何らかの魂胆がない人物が、いかなる情報も得る前に、一体なぜそこまで断言できるのだろう? 明らかに、バイデンには、旅客機を撃墜したのはキエフだという含意はなかった。バイデンは、ロシアを非難する証拠の強化に精を出している。実際、アメリカ政府のやり口は、証拠が不要なまでに、非難を積み上げるというものだ。
ジョン・マケイン上院議員は、乗客リストと、旅客機の墜落原因が判明する前に、アメリカ国民の乗客がいた推測に飛びついて、対ロシア懲罰措置を呼びかけている。
“捜査”は、アメリカ政府傀儡のキエフ政権によって行われている。既に結論がどういうものかわかろうというものだ。
我々は、存在しないイラク“大量破壊兵器”の存在を“証明”した、アメリカのコリン・パウエル国務長官が国連に提出したでっちあげ証拠同様の、更なるでっちあげの証拠を与えられるという可能性は非常に大きい。アメリカ政府は、余りに多くのウソ、欺瞞や犯罪で成功してきたので、何度でもいつも成功できると思い込んでいるのだ。
私がこれを書いている時点では、旅客機に関して信頼できる情報は皆無だが、ローマの有名なことわざの疑問があてはまる。“誰が利益を得るのか?”分離主義者が旅客機を撃墜する動機として考えられるものは皆無だが、アメリカ政府には、ロシアに濡れ衣を着せようとする動機も、別の二つ目の動機もある。報道あるいは噂の中には、プーチン大統領機が、マレーシア航空機と同じ航路を、37分以内の間隔で飛んでいたというものもある。この報道は、アメリカ政府がプーチンを処分することに決め、マレーシア航空機を、プーチンのジョット機と思い込んだという憶測を呼び起こす。RTは、二機の飛行機は外観が似ていると報じている。http://rt.com/news/173672-malaysia-plane-crash-putin/
アメリカ政府には非常に高度な能力があるから、二機の旅客機をとり間違えることなど有り得ないとおっしゃる前に、アメリカが、イラン領空で、イラン旅客機を撃墜した際、アメリカ海軍が、自分達が殺害した290人の民間人は、イランのF-14トムキャット戦闘機、アメリカ海軍の大黒柱であるアメリカ製戦闘機に搭乗していると思ったと主張したことを想起願いたい。もしアメリカ海軍が、自らの主力戦闘機と、イラン旅客機を識別できないのであれば、RT記事が非常に良く似ているとしている二機の旅客機を、アメリカが混同する可能性は明らかにある。
ロシアに濡れ衣を着せるBBC番組の中で、アメリカが“撃墜した”イラン旅客機には誰も触れなかった。誰も、アメリカに経済制裁を課そうとしなかった。
マレーシア航空機事件の結果が何であれ、ウクライナへの武力介入をアメリカ政府が継続していることに対する、プーチンのソフトな政策の危うさを実証している。ウクライナにおけるアメリカ政府の挑発に対し、軍事手段ではなく、外交で対応するというプーチンの決断で、オバマの経済制裁に対する、EUやアメリカの事業権益からの反対で明らかなように、プーチンは優位に立った。とはいえ、アメリカ政府が資金援助しているウクライナ国内の紛争に対して、迅速な力ずくの結末をもたらさなかったことで、プーチンは、アメリカ政府お得意の狡猾な策謀に対して、扉を開けっ放しにしてしまっている。
もしプーチンが、母なるロシアに復帰したいという東部・南部ウクライナの旧ロシア領住民の要求を受け入れていれば、ウクライナの紛糾状態は、何ヶ月も前に終わっており、ロシアが濡れ衣を着せられるリスクもなかったろう。
アメリカ政府の公式的な立場は、ロシア軍兵士がウクライナで活動しているというものゆえ、プーチンは、旧ロシア領への軍隊派兵を拒否した恩恵を十全に享受できてはいない。事実がアメリカ政府の狙いを裏付けてくれない場合、アメリカ政府はそうい事実を無視する。アメリカ・マスコミは、プーチンがウクライナにおける暴力行為の犯人だと非難している。経済制裁の基盤となっているのは、既知の事実ではなく、アメリカ政府の非難だ。
アメリカ政府が企てるには余りに卑劣な行動など有り得ない以上、プーチンとロシアは、よこしまな策謀の犠牲になりかねない。
ロシアは、欧米に催眠術にかけられていて、欧米の一部として認められたいという動機で動いているように見える。この受け入れられたいという欲求のおかげで、アメリカ政府の術中にはまってしまいかねない。ロシアは欧米を必要とはしていないが、ヨーロッパはロシアが必要なのだ。ロシアにとっての一つの選択肢は、ロシア権益に配慮しながら、ヨーロッパが言い寄ってくるのを待つことだ。
ロシア政府は、ロシアに対する、アメリカ政府の態度は、以下の様に考えているウォルフォウィッツ・ドクトリンによって形づくられていることを忘れてはならない。
“我々の第一目標は、旧ソ連地域であれ、他の場所であれ、かつてソ連が引き起こしていた規模の脅威をもたらす新たなライバルの再登場を防ぐことだ。これは 新たな地域防衛戦略の根底にある主要な考え方であり、統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない。”
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2014/07/17/sanctions-airliners-paul-craig-roberts/
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