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アメリカの対ロシア戦争、既に進行中 - PCRのボイス・オブ・ロシアインタビュー
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2014年7月 6日 マスコミに載らない海外記事
2014年7月1日
Paul Craig Roberts
広がりつつあるオバマ大統領がアメリカ外交政策を駄目にしたという考え方は本当だろうか、実際、どうしてそうなのだろうか? ボイス・オブ・ロシアは、これについて、元アメリカ財務省次官補で 、現在、政治経済学研究所Institute for Political Economyの会長ポール・クレイグ・ロバーツ氏と議論した。
VOR: アメリカ・マスコミは、共和党員の中でも民主党員の中でも、オバマ大統領の外交政策に対する不満の増大を指摘しています。ワシントンでの信仰と自由連盟(Faith and Freedom Coalition)会議での演説で、テッド・クルス上院議員は“外国でのアメリカ外交政策は崩壊しつつあり、世界のあらゆる地域は益々危険になっていると我々は考えている”と述べました。最新のニューヨーク・タイムズ/CBSニューズ世論調査によれば、大統領と彼の指導力に対する信頼が益々欠けつつあり、58パーセントのアメリカ国民は、オバマの外交政策のやり方に不賛成です。一体なぜアメリカ人は不幸なのでしょう?
Paul Craig Roberts: おそらくアメリカ人は、全てのウソを理解し始めているのだと思います。今では英語版欧米マスコミ以外にも情報源がありますから。それに例えば、ウクライナについてアメリカがする説明は明らかにウソです。人々がウソに気がつくには、しばらく時間がかかります。大多数がそれに気がつくだろうとは思いませんが、十分な人数は気がつくでしょう。
そしてまた、不満を表明している多くのアメリカ人は、アメリカ国内の経済的な理由から不満なのでしょう。彼等は、戦争に浪費されている資源を、国内のニーズに割り当て、更なる戦争に支払う為には使われないことを望んでいるのです。例えば、イラク危機が再来し、バルト海諸国、東ヨーロッパに“ロシアの脅威”に対して防備する為、軍隊を派兵するということが大いに語られています。
そこで、これが、収入が増えず、仕事が見つからず、大学に入る為の借金で多額の負債や、失業手当て削減や、社会保障制度への脅威、公共医療制度(大した制度とは言えないものの、依然、それに頼っている人々もいる)への脅威に苦しむ人々を心配させているのです。それで大半のアメリカ人は、戦争を伴う外国での更なるトラブルを見ると、戦争というのは、自分にとって更なる困難を意味するということを理解しているのです。アメリカは13年間戦争をしています。アメリカは何兆ドルも浪費しましたが、何の結果も実現できていません。そこで、もはや信じていない戦争の為に、アメリカ国内で苦しんでいるので、これが恐らく人が不満な主な理由です。
VOR: 果てしの無い戦争の背後にある根本的理由は一体何でしょう?
お互いに相互支援的ないくつかの理由があります。一つは、ネオコン・イデオロギーが、ソ連崩壊と共に全盛となったことです。また、このイデオロギーは、歴史は全世界を圧倒するべく、アメリカを選んだのだと主張し、アメリカの政治・経済制度に対する代替案は存在せず、歴史によるこの選択が、アメリカが全世界に対して覇権を行使する責任を与えたのだというのです。
ですから、これはこれは極めて強力なイデオロギーで、アメリカにこれまであったどれよりも遥かに強力なイデオロギーです。しかも、それは他のイデオロギーが消滅した時に登場したのです。共産主義イデオロギーは消滅しました。マルクス主義革命運動は消滅しました。そこでアメリカがイデオロギーのレベルで支配するということになったのです。
もう一つの理由は、軍-安保複合体です。それは、CIA、国土安全保障省、FBI、ペンタゴン等の全ての治安機関といった政府機構と一緒の驚くほど巨大な強力な私益集団です。しかも、それは何千億ドルも、恐らく年間1兆ドルに近い予算を消費します。
そしてこのお金は、この利益団体にとって極めて重要です。納税者からのお金の一部はリサイクルされ、政治運動献金として、議会に払い戻され、大統領候補に払い戻され、彼等の選出と再選を確実なものにします。そこで、これは二番目に強力な勢力です - 戦争と戦争の脅威で大いに恩恵を受ける物質的利益です。
そして三番目は極めて強力な利益団体、イスラエル・ロビーです。ほとんどのネオコンは、ユダヤ系です。彼等の多くは、イスラエル-アメリカ二重国籍です。彼等のほぼ全員がイスラエルと密接につながっています。それで、アメリカ覇権というネオコン・イデオロギーは、これらの戦争は、アメリカとイスラエルに協調しない、イスラエル政策や、中東におけるイスラエルの拡大に対する抑止として機能し得るアラブ国家を処分するという従属的利益にも役立つので、中東での13年間の戦争と非常に相性が良いのです。
そこで、この三つがまとまり、この三つ全ては相互支援的で、様々な形で、これらを同じ人々なのです。ネオコンはイスラエル・ロビーと同一です。ペンタゴン、国務省の幹部もネオコンです。それでこれは、お互いが支えあう極めて強力な三部構成の基盤です。
VOR: 政策はイスラエル・ロビーによって規定される部分が多いとおっしゃいます。しかし、アメリカの中東政策は実際には、イスラエルを危険にさらしています。
ええ、これは政策が意図していなかった結果です。専門家達の中には、ネオコンに、ヨーロッパの植民地主義者、主にイギリスとフランスによってひかれたアフリカの国境同様に、中東の国境は人為的だと警告しようとした人々もいます。
そこには多数派のシーア派と、少数派のスンナ派がいる国々があり、その逆に、多数派がスンナ派で、少数派がシーア派だという国々があるわけです。これは伝統的に敵だった、二つの戦っている部族を一つの国に纏めるよう国境がひかれたアフリカのようなものです。そこで諸国の国境にはたいして意味がありません。こういう国境は、無知な西欧人だけがひけたのです。
非宗教的な政府を運営していたサダム・フセインや、シリアのアサドの様な極めて強力な非宗教的支配者が、異なる宗派間のイスラム教徒の対立を防いでいたのです。これらの非宗教的な、非イスラム教の政権が、紛争を抑圧していたのです。ですから、こうした政府を打倒すると、紛争を解き放つことになります。
ですから、我々が目にしている、ISISなり、ISILなりと連中が呼んでいるものによって起きているのは国境の改変です。シリアとイラクの一部が、もしイスラム教原理主義者達が成功すれば、新国家となりつつあるのです。現時点では、我々は連中が成功するかどうかわかりませんが、植民地主義帝国主義大国によって、彼等に押しつけられた人為的な国境とは別の、生活を作り出したいという弾みがそこにはあるのです。
イラクとシリア分割の理由の一つは、イスラエルにとって脅威と思えないからです。イスラエルとネオコン戦略家連中は、ああこれは良い、もし我々がこれらの国々を分裂させ、彼等内部で戦えば、イスラエルの邪魔をする組織化された政府は無くなるだろうと考えたのです。
イラクのかわりに、お互いに戦う党派が存在することになります。シリアのかわりに、現在のリビア同様に、お互いに戦う党派が生まれます。そして中央政府をもたない国家は、イスラエルに対して脅威ではないのです。それゆえ、イスラエルがパレスチナを盗み取るのに反対する、あらゆる類の組織された政府が無くなるので、こうした国々の政治的実体のこうした破壊をアメリカは好むのです。イラクにはもはや政府はなく、リビア国内と同様、ワシントンが、シリアで作ろうとしているような、戦いあう派閥だけです。
イスラエル人やネオコンはそういう風に考えているのです。彼等は非宗教的イスラム国家の破壊を脅威とは思っていないのです、阿呆連中は、これを、その国が、イスラエルや、アメリカの狙いに対していかなる種類の反対を行う能力を弱められる、統一国家の破壊と見なしているのです。
VOR: しかし、その場合、政府や政府機関は、我々が現在、過激派集団と呼んで、対処している何か他の政治や準軍事組織に置き換えられることになりませんか? こうした組織は、個々の政府よりも一層大きな脅威になるのではありませんか? あるいは、こうした人々は、彼等を何とか制御できるだろうと考えているのでしょうか?
いいえ、私は彼等が連中を支配できるだろうとは思いません。そして確かに、彼等は非宗教的ではありませんから、連中は脅威です。私はそう言ってきました。我々の中には、こういう結果になるだろうと警告した人々もいます。しかし、イスラエルとネオコン連中は、こうした国々の解体は、さほど恐ろしいことにはならないと見なしている為、我々はほとんど無視されているのです。
VOR: 世界的な任務という狙いをもったネオコン・イデオロギーについてお話になりましたが、マルクス主義イデオロギー、共産主義イデオロギーのようなものに、驚くほど良く似ているように見えませんか?
はい、確かにその通りです。アメリカは歴史によって選ばれたのです。マルクス主義では、歴史はプロレタリアートを選びます。ネオコン・イデオロギーでは、歴史は、ワシントンを選ぶのです。
VOR: 多分、この二つのイデオロギーには共通のルーツがあるということを意味するのでしょうか?
いいえ。私はこの二つに共通のルーツがあるとは思いませんが、両方の世界に対する影響は同じです。このイデオロギーは自らを唯一の正統な制度だと見なすので、いずれも、そのイデオロギーを主張する国家に、他の国々を軽視して、自らの地位を確立しようとする弾みをつけるのです。そしてその意味で、マルクス主義者とネオコンのイデオロギーは同じですが、ルーツは全く違っています。
一極化の世界、唯一の超大国アメリカという考え方は、金融権益には、ぴったりあうと思います。先程お話した、三部構成の基盤の中には入れませんでしたが、現在存在しているアメリカ金融覇権がありますから、ある意味でこれは四部構成です。この金融覇権こそ、ワシントンが様々な国々に、経済制裁を課すことが出来る理由です。
もし自国通貨が世界通貨ではなく、世界の決済制度を管理していなければ、経済制裁を課すことが出来ません。ですから、経済制裁を課する権力は、アメリカ金融機関が他の国々の組織に対して打ち勝つ為の権力でもあるのです。それで私が今お話している、このイデオロギーは、連中の覇権も確実にするので、ウオール街、巨大銀行にも受けるのです。
VOR: しかしその場合、アメリカが、何であれ過去十年間やってきたこと、あるいは、アメリカが主要な敵と見なしているように思われる中国を強化してきたのは、意図されていたものなのか、あるいは、おそらくは、意図されてはいなかったのか、知りたいと思うのです。今、金融制度についてお話になりました。中国は、彼等の自国通貨を、新たな準備通貨として、世界市場にもたらすことを語り始めました。そして、これは、ほとんど、こうした全てのアメリカが誘発した危機のおかげです。
アメリカが、中国経済の発端を与えるためにしたのは、アメリカ製造業の雇用移転です。工業やアメリカの製造業が、ウオール街の圧力の下、資本家達によって、労務費を削減するため、株主用のより高い収入を実現するため、ウオール街や経営者により多くのボーナスをだすための海外移転です。そして国家権益という視点からは、これは極めて近視眼的な政策でしたが、ウオール街の利益や、大企業の最高経営責任者の個人的利益に役立ったのです。
中国が、アメリカの技術とビジネス・ノウハウを入手してしまえば、アメリカの経済的優位から自由になれます。そして現在、実際に中国は、製造業においては確実にアメリカが持っているより遥かに強力な経済を持っています。
アメリカの経済体制の弱体化に貢献したもう一つの要素は、高速インターネットの勃興です。エンジニアリング、ソフトウエア、コンピューター、あらゆる種類のエンジニアリング等の専門サービス業務は、現地で行う必要が無いような種類の仕事、この種の仕事は、世界のどこでもすることが可能で、高速インターネットで送信できますから。
これが、インドや中国の様な国々に、それまではアメリカ人の大学卒業生がしていた仕事に着かせる能力を与えました。ここでも、これは企業にとっては経費削減で、ウオール街はこれがお気に入りです。利益が増えますから。
ですから、これが中国が勃興した理由です。グローバリズムの意図しない結果だったのです。ここでも、我々の中には警告をしていた人もいるのです。私も警告しました。私は10年か15年間、警告し続けてきましたが、連中は耳を傾けません。連中はこう言うのです。ああ、それは単なる自由貿易にすぎない。我々には恩恵があるさ。明らかに、彼等は間違っていました。それは自由貿易ではなく、我々は恩恵を受けてはいません。
VOR: しかしその意味では、おそらくは、大企業権益 対 国家権益についての話をする場合、国家権益は益々、大企業に破れつつあるということを意味するのでしょうか?
本当の意味では、もはやアメリカの国家的権益などありません。こうした強力な既得権益集団の権益があるのです。最近、アメリカ国民には、政府の決定やら、政策決定にたいする影響力は全くないことを発見した学者の研究もあります。何千も政府決定を検討した最近の研究の結論は、アメリカ国民の政策形成に対する影響力はゼロだというのです。
ですから、国民なり国家権益の為に、何かおこなわれているのかという意味では、一切何も行われていません。行われたことは全て約6つの強力な利益集団の利益のためです。私は四つの力についてお話しましたが、あなたが質問された、外交政策の上では最も強力だと思います。
その意味では、アメリカは色々な形で、自らを脆弱にしているのです。例えば、経済政策をお考えください。今までもう何年も、ごく少数の巨大銀行を支援する為、連邦準備金制度理事会は、何兆ドルもの、新ドルを創造しています。
このドル創造は、世界中の人々が持っている既存のドル価値を減じます。彼等はこれを見て言うでしょう- 連邦準備金制度理事会が、それ程大量の新ドルを毎年印刷してゆけば、私のドル資産の価値は一体どうなるだろう?
それで、これが世界準備通貨制度としてのドルから離れるという発想を生みました。主権国家に対する、ワシントンの金融上のイジメという苦しみに加えて、ドル表示金融商品の本当の価値への脅威がおきれば、国際取引を決済する手段として、ドル以外の何か他の機構を見いだそうという気運は高まります。
もちろん、中国は世界を非アメリカ化すべき時期だと言いました。またロシア人も最近、非ドルの国際決済制度が必要だと言っています。最近は、ロシアと中国間の、ドル決済制度の枠外で行われる大規模エネルギー協定もあります。
BRICSが、5ヶ国 - インド、中国、ロシア、ブラジル南アフリカ - 貿易不均衡を自国通貨で決済することを話しあっているのを目にしています。彼等の間で、IMF、あるいは世界銀行のような銀行を立ち上げるという話まであります。
そうしたものは、アメリカがドルを世界準備通貨として悪用していることからくる進展です。ワシントンは、ドルをいじめに使っています。ワシントンはそれを経済制裁に使っています。彼等は、それをアメリカ金融機関に、他国に対する覇権を与えるのに使っています。時間とともに、こうしたこと全てが、敵意、懸念を生み出します。そして更に、それに加え、連邦準備金制度理事会が、2008年以来、創造した全ての新ドルが、本当の金融上の心配を作り出しました。ですから、その意味で、アメリカは自ら立場を弱体化させたのです。
VOR: しかしドルを守るために、アメリカはいったいどこまでやる覚悟だとお考えでしょう? あるいは、多分、こうした利益集団は既にこの通貨を守ろうと関心を持っているのでしょう。多分、彼等も既に何らかの予防策をとっているでしょう。
ワシントンの権力の立場からすれば、世界通貨の役割を失うことは痛烈なものでしょう。それがワシントンの権力の主要基盤なのですから。それがワシントンが金融覇権を持っている理由であり、これがワシントンが主権国家に経済制裁を課すことができる理由です。そこで、もしワシントンがこの役割を失えば、もしドルが世界準備通貨であることを止めれば、ワシントンの力は劇的に低下するでしょう。
ワシントンの権力で恩恵を受ける全ての既得権益集団は、これは不利益だと思うでしょう。もちろん、こうした大企業の大半は、今はグローバルというか多国籍です。それにこうした大企業は、多くの国々に、預金残高もあるでしょう。
VOR: しかし、ワシントンは一体どこまでやるつもりなのでしょうか? 次の戦争をする余裕があるのでしょうか? サダム・フセインは、2000年に、アメリカ・ドルに挑戦しようとして、彼は大変な犠牲を払いました。一体どのような犠牲を彼が支払ったか我々全員が知っています。今、中国とロシアや、他の国々が案を検討し始めました。こうした国々は一体どのような危険を冒しているのでしょうか?
そうした国々は危険を冒しています。我々は既に、アメリカがアジア回帰を発表したのを知っています。中国が依存している資源の流れを支配する為、アメリカ海軍60%の南シナ海への再配置です。アメリカは中国を阻止する為、フィリピンから、ベトナムに至るまで、一連の新たな空軍と海軍基地を建設する契約をしています。
今世紀、ロシアとの弾道弾迎撃ミサイル制限条約から、アメリカが離脱するのを我々は目にしました。アメリカが弾道弾迎撃ミサイル・システムを構築し、それをロシア国境に配備し始めるのを我々は目にしています。弾道弾迎撃ミサイルの目的は、他国の戦略的抑止力を無力化することです。
アメリカが、その戦争教義を変更し、核兵器はもはや攻撃に対する報復として使用されるだけではなくなっているのを見ました。核兵器は今や先制的第一撃力です。これは明らかにロシアに向けられています。ウクライナ問題はロシアを狙ったものです。戦争は既に始まっているのです、進行中なのです。それがウクライナ問題の実体です。対ロシア戦争なのです。
対中国戦争は準備中です。アメリカは、アメリカとは全く何の関係もないような些細なことを巡ってであれ、中国と紛争しているあらゆる国々の側に立っています。
アメリカは両国を軍事基地で包囲しています。アメリカは、二百年か三百年、ロシアの一部だったヨシフ・スターリン生誕の国グルジアを、NATOに入れたがっているのです。連中は、ウクライナをNATOに入れるつもりです。
ワシントンは、レーガンとゴルバチョフが合意した、NATOを東ヨーロッパにまで拡大しないというあらゆる協定を破っています。NATOは今やバルト諸国まで出ています。東ヨーロッパ至る所です。旧ワルシャワ条約加盟国が、今やNATO加盟国なのです。
戦争は既に進行中なのです。それは明らかです。アメリカは長年準備をしてきました。ですからロシア人はこれに気がつかなければいけません。もし気がつかなければ、深刻な問題に見舞われます。
VOR: アメリカにその余裕はあるのでしょうか?
もちろん! 確実に! 準備通貨は、お金を印刷して、支払いをすることが可能です。そして、それがまさにワシントンがしていることです。ワシントンはお金を印刷しています。
VOR: しかし、お話の通り、様々なリスクも生み出しますね。
準備通貨の役割が失われるまでは、制限はありません。最近プーチンの顧問の一人が、それがワシントンの軍事侵略を止める唯一の方法なのだから、ロシアは他の国々と何らかの同盟を結成して、世界の準備通貨としてのドルを引きずりおろす必要があると言ったというのを読みました。もちろん彼は全く正しいのです。しかし問題は、成功するに十分な程、素早く何かを組織できるか否かです。ヨーロッパはアメリカの傀儡国ですから。これらヨーロッパ諸政府は独立してはいません。ソ連共産党から、ハンガリーやチェコスロバキアやポーランドが独立していなかったのと同様です。そして日本も傀儡国家です。独立国家ではありません。
そこで、もしユーロがドルを支援し、円がドルを支援すれば、これはかなり強い立場にあることになります。それで、ロシアと中国、あるいは何らかの手早い方法で進出しようとしている誰にとっても、これは難しいのです。
それでも、わかりますね… ウクライナで起きたことを考えてください。ロシアはオリンピックに集中していると、アメリカがウクライナを盗み取りました。ロシアは注意を払っていませんでした。なぜかソチ・オリンピックの方がより重要だったのです。そこで起きたのが - ワシントンが手を突っ込み、ウクライナを盗んだのです。今これはロシア政府にとっても、プーチンにとっても、彼の指導力にとっても大変な問題になっています。
プーチンは、ロシア議会に、ウクライナでロシア軍を使う許可を撤回するよう依頼しました。ですから、明らかに、彼は非常に控えめなやり方で対応しています。彼は紛争を避けようとしているのです。彼は恐らく、対立は、ワシントンのネオコンが考えている以上に、誰にとっても遥かに危険であることに気がついているのでしょう。
しかし問題は、プーチンが対立を避けられるかどうかです? ワシントンは一体どう考えるでしょう? 彼等は、ああ彼は実に思慮分別のある人物だ。彼となら交渉できると考えるでしょうか。あるいは彼らは、見ろ、彼はびびったぞ、ロシアは弱い、推し進めようではないか、と思うでしょうか。
VOR: 大変興味深いですね! ウオール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、ジョージ・W・ブッシュが二期目の任期末期に、プーチンについて言ったことを思いだします。その言葉を彼から聞くとはむしろ驚きでした。彼は、プーチンはどんな約束も決してたがえることがなかったと言いました。つまり評価は否定的というより、肯定的でした。
それは本当だと思います。ところが、ワシントンのプロパガンダは事実とは全く無関係です。ワシントン・プロパガンダの様なプロパガンダは他にありません。ワシントンはあらゆるものごとの説明を支配できます。プーチンはできません。アメリカ人は、ウクライナにおけるあらゆる問題は、プーチンが引き起こしたものだ、彼は侵略した、彼は併合した、彼は現在の南東ウクライナのあらゆる問題の背後にいて、ロシアが悪い、そして、ロシアは脅威だ、“ロシアの脅威”に対して武装しなければならないと思い込んでいます。ワシントンは、かつてソ連と経験した冷戦を、再現しているのです。
納税者のお金を、アメリカ軍-安保複合体に供給する上で、これは非常に儲かるやり方です。そして、ある意味、戦争より安全です。アフガニスタン戦争は上手く行きませんでしたし、イラク戦争は上手く行きませんでしたから。しかし、もし冷戦をすることができて、実際に戦争しなければ、何年でも継続することが可能です。ソ連との冷戦同様に。冷戦が、アメリカに軍-安保複合体を作り上げたのです。
これは少なくともワシントンにとってはバックアップ・ラインです。ウクライナ乗っ取りを、本格的戦争に追いやらないような分別が、ワシントンにあると期待できる確信はありません。ワシントンが中国やロシアと本格的戦争をするだろうと考えるのは非常識に思えます。二国は巨大な国家です。彼等には核兵器があります。
しかし実に途方もない多数のことがおきました。政府は自分自身のプロパガンダの影響を受けてしまうことが良くあるのです。そして明らかに、ワシントンの誰かが、核戦争で勝てると思い込んでいるのです。もしそうでなければ、核兵器を報復手段とするのを辞め、先制攻撃兵器とする為、一体なぜ連中が戦争教義を変えたりするでしょう?一体なぜ連中は、対弾道ミサイルを作り上げて、ロシア国境や、黒海や南シナ海の艦船に配備したりするのでしょう。
ワシントンの一部の連中は、アメリカが核戦争に勝てると信じているのは明らかです。実際、数年前、影響力のある戦略専門家や元政府高官の集団である外交問題評議会の主要機関紙である「フォーリン・アフェアーズ」に発表された論文があります。そして連中は、アメリカは、核兵器の点で、ロシアより遥かに進んでいるので、ロシアを容易に攻撃可能で、報復で苦しむことはないと言っています。そういう風に考える人々がアメリカにはいるのです。
VOR: しかし、そんな実験をすれば、地球がおしまいになりますね。
まさにその通りです! しかし第一次世界大戦を見てください。一体どれだけの帝国が崩壊したことか。ツァー、ロシアとその帝国が崩壊しました。オーストリア・ハンガリー帝国が崩壊しました。第一次世界大戦がこの帝国を崩壊したのです。ドイツの支配者一家を潰しました。戦争で、イギリスもアメリカからの金融支援に依存するようになりました。
VOR: ええ、その通りです。しかし、当時は核兵器は存在していませんでした。
実際に核兵器を使用できるという巨大なプロパガンダが行われています。私はそれと戦おうとしているのです。最近私のブログ・サイトに、誰も勝利者にはならないという様々な科学者達の文書を掲載しました。
VOR: 国務省の、そのプロパガンダの扱い方には全く驚いています。本当の議論と呼べるようなものは皆無です。なぜでしょう? 彼等はもはや、信頼がおけるように見えるかどうかなど、もはや気にしていないということでしょうか?
ひたすら力だけです。アメリカ外交政策は、どのように機能しているでしょう? 政策は常に、強制や脅しや賄賂に基づいています。もし賄賂が効かない場合には、脅すのです。ですから、NSAの世界スパイ活動の主要な狙いの一つは、全ての政府指導者を恐喝出来るようにすることなのです。しかも、連中はそれを極めて効果的にやっています。誰にでも人に知られたくないことがあるでしょう。そして、連中は賄賂を使います、お金がぎっしり詰まった袋を。そもそも、ワシントンは、外国の指導者達を買収しています。もし抵抗する連中がいれば、サダム・フセイン、カダフィ等の様に、ワシントンの連中が彼等を打倒します。南米では、服従しようとしなかったがゆえに、ワシントンの連中があっさり暗殺してしまった政治家達が何人もいます。それで、アメリカ外交政策は、力に依拠する政策です。外交や説得に依拠しているわけではありません。残忍な力に依拠しているのです。
国務省が人々に言っているのは、俺たちが言う通りにしろ、さもなくば、お前たちを爆撃して、石器時代にしてやる。覚えておいでですか? 連中はそれを、パキスタンの指導者に言ったのです。我々がいうことをやれ。今だ!
ですから、もしアメリカの姿勢がそういうものであれば、真実を語ろうが、ウソをつこうが、全く関係ないのです。アメリカは支配者であり、アメリカは神であり、アメリカはローマ皇帝なのですから。そして、真実であれ、ウソであれ、アメリカの言い分は通ってしまうのです。だから、外交レベルで動いているわけではありませんから、真実かどうかは政府にとって重要ではないのです。
この点を、プーチンとラブロフ外務大臣は理解していないように思えます。もしロシア政府が十分に合理的であり、十分な善意を示せば、ワシントンと、何か折り合いを付けることができるだろうと、彼等はずっと考え続けています。
これはロシアの幻想です。ワシントンに善意は皆無です。
VOR: この戦略に何か意図しなかった結果が起きるとお考えでしょうか?
唯一、もし国民が気がついて、いつかの時点で現実を理解すればですが。プーチンもこれを期待しているのでしょう。ある時点で、ドイツとフランスで何がおきるでしょう? 彼等が悟って、こう言うでしょう。おい、見ろ。アメリカ人は我々を面倒なことに巻き込もうとしているぞ。アメリカの対世界覇権で一体我々はどんな利益を得るだろう? ロシアや中国との紛争で我々がどうやって利益を得るだろう? こういうことは止めよう。引き上げよう。
もし、どこかの国がNATOから脱退したり、EUから脱退したりすれば、“有志連合”によるワシントンの戦争犯罪隠蔽に、異議を唱える国がでることになります。ワシントンは実際議会に対し、もしホワイト・ハウスに、NATOの支援があれば、大統領には戦争をするための議会の承認は必要ではないと述べています。古い引用句‘絶対権力は絶対に腐敗する’というのはアクトン卿の言葉だとされています。ワシントンは、その権力のおかげで腐敗しているのだと結論付けて間違いないでしょう。
ワシントンの残虐な力の行使による意図しなかった結果の一つは、NATO各国が、本質的に正気でなく、全人類の命と地球を駄目にする法外な危険を冒している政府によって、自分達が紛争へと追いやられつつあることを理解するようになったことだと思います。
ですから多分、他の国々が、ワシントンの生命に対する脅威に気がつくということを、プーチンは期待しているのでしょう。彼はロシアが、より合理的で、挑発的でなく、挑発的行動をしなければなるほど、ドイツ政府やフランス政府が、ワシントンの計画が人類の為にならないことに気がつき、ヨーロッパが、自分達と国と国民をワシントンの支配から抜けださせる為の何らかの手段をとる可能性が増すだろうと期待しているのです。その場合、アメリカ帝国は崩壊します。
私はプーチンはそれに賭けているのだろうと思います。彼は馬鹿ではありません、確実に違います。彼は戦争の脅威を認識しているのです。彼にはそれが見えるのです。ですから、これが、一体なぜ彼がロシア議会に、ウクライナでロシア軍を使用する許可を撤回するよう依頼した理由です。彼はドイツ、フランスに、見ろ、私ではないぞ、我々ではないぞと見せようとしているのです。
私は彼が成功することを願っています。世界の将来は、本当にプーチンによる外交力の行使が、ワシントンによる武力の行使に打ち勝てるかどうかにかかっているのですから。
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集団的自衛権問題「扇動」ではなく「報道」をしなさい。と駄文を書いた属国の売女マスコミのお偉方に申しあげたい。
素晴らしく予言的な文章をご紹介しよう。
おそらくいつかは叫ばれることだろう。「ああ、困ったことだ!自分の呼び出した精霊(ガイスト)たちから、今では逃れられない!」と。これらの精霊(ガイスト)のうちで最もよくないのは、はき違えたアメリカ渡来の自由精霊(ガイスト)である。もし日本人が現在アメリカの新聞を読んでいて、しかもあちらのすべてをまねようというのであれば、その時は─その時は、日本よさようならである。
自由精霊(ガイスト)を、自由市場や、集団自衛権におきかえれば、現状そのまま?
ただし、この文章、明治11年、8月4日、西暦1878年、136年前のもの。
出典は、ベルツの日記(上)トク・ベルツ編 菅沼竜太郎訳 岩波文庫 92ページ
ついでに、もう一つ引用。
君はどうしてこんな日本人をそうまじめにかんがえることができるのか、僕にはわからない!君にいうがね、やつらは子供だよ、子供にすぎないのだ!やつらは進歩して、まあせいぜい南米の一共和国ぐらいだよ
ベルツの意見ではない。1881年?のイギリス公使の言葉として書かれている。
同書326ページ
駄文を書いた売国新聞お偉方も、同じお考えだろうか。
そういうものとは全く違うジャーナリズム活動こそ必要だ。
※2014/07/04 「たとえ一人でも、やらないといけない」集団的自衛権行使容認に反対した自民党・村上誠一郎衆院議員に岩上安身がインタビュー 時折涙を見せる場面も
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/150285
この村上誠一郎議員へのインタビューは、3日間限定で一般に公開されている。
岩上安身よりみなさまへ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107798
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