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すさまじい勢いで蘇る冷戦と、ウソをつき続けるワシントン
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2014年6月30日 マスコミに載らない海外記事
Paul Craig Roberts
2014年6月28日
1946年3月5日、ミズーリ州フルトンで、チャーチルが、ソ連の“鉄のカーテン”を宣言した演説から、1980年代末、レーガンとゴルバチョフが冷戦を終わらせるまでの40年間、軍安保複合体は、冷戦で大いに金儲けができた。冷戦中アメリカ人は“囚われの諸国”について聞かされ続けていた。囚われの諸国というのは、バルト海諸国とソ連圏諸国を指し、通常“東ヨーロッパ”と要約されてきた。
これらの国々は、現在まさに、これら囚われの諸国に加え、イギリス、西ヨーロッパ、カナダ、メキシコ、コロンビア、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、フィリピン、グルジア、とウクライナは、自国の外交政策をワシントンによって決められているのと同様、その外交政策をモスクワによって決められていたがゆえに、囚われの身だった。ワシントンは、囚われの諸国に、アゼルバイジャン、旧ソ連中央アジア各共和国、ベトナム、タイとインドネシアも含めるべく拡張するつもりなのだ。
冷戦中、アメリカは西ヨーロッパとイギリスを独立した主権国家だと考えていた。こうした国々が実際そうだっえか否かはともあれ、今日、こうした国々は主権国家ではない。第二次世界大戦からほぼ70年たったのに、アメリカ軍は依然ドイツに駐留している。アメリカ国務省とあえて異なる立場をとろうとする様なヨーロッパの政府は皆無だ。
つい先頃、イギリスとドイツで、欧州連合離脱が語られていたことがあったが、ワシントンは、両国に、どの国のEU脱退もワシントンの利益にならないのだから、その類の話は止めるべきだと言った。話は沙汰止みになった。イギリスもドイツもワシントンの全くの配下なので、どちらの国も、公的に自らの将来を議論することができないのだ。
起訴の権限を持ったスペイン判事バルタサール・ガルソンは、抑留者への拷問という国際法違反のかどでジョージ・W・ブッシュ政権メンバーを起訴しようとして、やめさせられた。
現代のイギリスでは、イギリスは、ワシントンの“部下”であることを誇りに思うあまり、イギリス政府は、ワシントンは“合理的な嫌疑”があると宣言するだけで、イギリスからの引き渡しを求めることができるが、イギリスは“相当な根拠”を証明しなければならないという一方的な犯人引き渡し条約に合意していると、ステファン・アデルカは書いている。アデルカは言う。イギリス人エリートにとって、ワシントンの“部下”であることは、うぬぼれという感覚をもたらし、自尊心が高揚する。
現在のロシアより巨大組織だったソ連の支配下では、囚われの諸国の経済実績はお粗末だった。ワシントン支配の下では、まさに同じ囚われの諸国の経済実績も、ウオール街とIMFによる略奪のおかげでお粗末だ。
ジュゼッペ・ディ・ランペドゥーサの『山猫』中の言葉通り“変わらないで生き残るためには変わらなければならない”
ウオール街によるヨーロッパ略奪は、ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドやウクライナを越え、今やフランスとイギリスに焦点が当てられている。アメリカ当局は、フランスの銀行が誰に融資するかを決めるのが、あたかもアメリカ政府の仕事であるかのごとく、イランとの貿易に融資したというでっちあげの罪で、フランス最大の銀行に、100億ドルの支払いを要求している。またイギリスが完璧にワシントンに従属しているにもかかわらず、バークレイズ銀行がニューヨーク州検事総長によって民事詐欺で告訴された。
バークレイズPLCに対する告訴は正しい可能性が高い。しかし、その大半が同様に有罪のはずのアメリカの銀行は告訴されておらず、アメリカがバークレイズを告訴したことは、年金基金や投資信託が、もしも告訴されている銀行と取引を続ければ、過失のかどで、訴訟される可能性がある為、大手年金基金や投資信託は、顧客として、バークレイズから離れなければならないことを意味する。
結果は、もちろん、外国の銀行に対するアメリカの告訴で、モルガン・スタンレーやシティーグループ等のアメリカの銀行に競争優位が与えられ、ダークプールで市場占有率が増やせるわけだ。
すると、我々が目にしているのは一体何だろう? 明確かつ争う余地なく、アメリカ金融機関の金融覇権を作り出す為、アメリカ法律が利用されているのを、我々目撃しているのだ。アメリカ司法省は、LIBORの利子率操作に、シティーグループが五年間参加していたという証拠を持っていたが、いかなる起訴手続きの予定もない。
ワシントンが買収し、給料を払っているヨーロッパ傀儡諸国政府は余りに腐敗しているので、政府幹部達は、アメリカの金融、政治、経済覇権を推進する為、ワシントンが自分達の国を支配するのを認めている。
ワシントンは、自分達の利益の為、世界を反ロシア・中国でまとめ上げようとしている。6月27日、EUを構成するワシントンの傀儡諸国がロシアに最後通牒をだした。この最後通牒の馬鹿らしさは明らかだ。軍事的に、EUのワシントン傀儡諸国は人畜無害だ。ロシアはヨーロッパを数分で壊滅することが可能だ。弱者が強者に最後通牒をだしたのだ。
ワシントンに命じられて、EUは、キエフにあるワシントン傀儡政権の為に、南部と東部ウクライナの反対派を弾圧しろとロシアに言ったのだ。だがホワイト・ハウス、ダウニング街10番地や、メルケルやオランドを含め、教育のある人なら誰でも知っている通り、東と南ウクライナの分離主義者達が不安になっているのは、ロシアの責任ではない。これら地域は元々ロシアの一部だったものが、ウクライナとロシアが同一国家の二つの部分だった時代に、ソ連共産党指導部によって、ウクライナ・ソビエト共和国に帰属させられたのだ。
このロシア人達は、ワシントンが据えつけたキエフの傀儡政権に脅かされているがゆえに、ロシアに戻りたがっている。更なる経済制裁を正当化する口実に使えるよう、プーチンを軍事行動に追いやると固く決心したワシントンは、問題の解決ではなく、対決を迫るつもりだ。
プーチンは一体どうすべきだろう? 彼は、即座に全滅することができる、あるいはヨーロッパへのロシア天然ガスの流れを止めることで、大いに困らせることが可能な諸国の集団から出された最後通牒傀儡に屈服するのに、72時間の猶予を与えられた。
歴史的に、大国に対するそのような愚劣な挑戦は、普通なら大変な結果となる。だがプーチンは平和を好む人道主義者だ。彼はヨーロッパに、挑発は、ロシアではなく、ワシントンが行っていることを明らかにするという戦略をあきらめるつもりはない。プーチンとロシアの希望は、自分達がワシントンにいい様に利用されていることに、ヨーロッパが最終的に気付くことだ。
ワシントンには、“人権”など様々な隠れ蓑の下で潜んでいる、ワシントンから資金援助をしているロシア国内NGOがあり、プーチンの選挙反対抗議行動の際と同様に、ワシントンは思いのままに、こうしたNGOに、反プーチン行動をするよう解き放つことができる。世論調査では、プーチンが明らかに疑う余地のない勝者であったことが示されていたにもかかわらず、ワシントンの第五列は、プーチンが不正選挙をしたと主張した。
1991年、ほとんどのロシア人達が、共産主義からの解放を喜び、欧米は善意に基づく市民社会を建設する上での味方だと期待したのだ。これはロシアの失敗だった。ブレジンスキー・ドクトリンとウォルフォウィッツ・ドクトリンが明言している通り、ロシアは敵であり、そういう国が影響力を持つ地位に勃興することは、いかなる犠牲を払っても、防止しなければならないのだ。
ヨーロッパに順応したいという自分の心からの望みと、ロシアを悪魔化し、孤立化させようというワシントンの望みの板挟みとなっているのがプーチンのジレンマだ。
プーチンにとってのリスクは、ヨーロッパに順応したいという彼の望みが、ワシントンによって利用されて、EUに対して、プーチンの弱さと勇気の欠如として説明されていることだ。ワシントンは、ヨーロッパの家臣達に、ヨーロッパからの圧力の下で、プーチンが後退すればロシア国内における彼の立場が弱体化するので、適切な時期に、ワシントンは、何百ものNGOを、プーチンを破綻させる為に解き放つつもりだと説明しているのだ。
これがウクライナ・シナリオだった。プーチンを、ワシントンがたっぷり報酬を払う従順なロシア人に置き換えれば、アメリカの世界覇権への障害として残るのは中国だけとなるはずだった。
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