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ウクライナ問題で場当たり的なプーチン?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140612-00010000-wedge-int
WEDGE 6月12日(木)8時10分配信 岡崎研究所
ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、イグネイシャスが、5月9日付同紙で、プーチンには長期的戦略がなく、その場その場の行動をとっている、と論じています。
すなわち、ウクライナに関して、プーチンはアグレッシブな行動をとっているが、計算高くもある。彼は成功を欲しているが、その為にどんなコストでも払おうとは思っていない。
プーチンのこの複雑さは、東部ウクライナでの矛盾した動きによって明らかとなっている。プーチンは5月7日、東部ウクライナの分離独立派に対して、住民投票を延期するように求めた。さらに、5月25日に予定されているウクライナの大統領選挙に対しての支援を申し出た。
プーチンは、オープンで率直、そして対等な対話が唯一のウクライナ危機の解決策であると述べており、態度を軟化させたように見える。しかし、モスクワは今でもその対話を妨害しようとしているという見方も存在している。
プーチンの行動は、明確な戦略というよりも、場当り的な政策決定によるものである。プーチンは狡猾であり、ロシアが損害を被るような行動をとることには慎重な姿勢をとっている。プーチンは、注意深く嫌がらせをしているように見える。
ロシアウォッチャーにとって、この数週間で、気まぐれなロシア大統領のイメージが明らかになった。例えば、
・プーチンはオバマを始めとする世界の指導者がソチ五輪に行かなかったこと
に個人的に傷ついた怒りっぽい指導者である。
・プーチンはお金――ロシアの財政と自分の私的な口座の双方――のことを心配している。プーチンは西側が更なる経済制裁を課すことが出来ると知っている。
・プーチンはドイツの動きを注視している。メルケル首相の訪米が、プーチンの計算に影響を与えた。つまり、メルケルとオバマが、ロシアがウクライナの大統領選挙を妨害した場合には更なる制裁を課すと同意したために、 プーチンは自らの行動を再考せざるを得なくなった。
プーチンは、よく考えられた長期戦略を持たずにウクライナで行動している。クリミア編入のプロセスはプーチンの予想よりも早く進んだ。同様に、東部ウクライナも予想以上に早く解体が進みそうであり、西側の多くのアナリストが本当はプーチン自身も欲していないと考えている、ウクライナへの侵攻をせざるを得ないかもしれない。
プーチンは、ロシアの行動を段階的に縮小することを選ぶことによって、「脅威にならないウクライナ」が保証されるということを分かっている。アメリカの政府高官は、中立で、NATOには非加盟のウクライナを造るために米ロが恊働することを望んでいる。
プーチンがこのように分かりにくく見えるのは、合理的な計算をする兆候が見えているにもかかわらず、最終的にはロシアにダメージとなる対立の炎を燃やし続けようともしているためである。彼はナショナリズムを掲げて国内での高い支持率を有しているが、ロシアの株式指数が急落していることは、潜在的なリスクを現している、と述べています。
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イグネイシャスは、CIAやホワイトハウスに出入り自由のジャーナリストですから、この論説の中の観察も、CIAやホワイトハウスの中で議論されていることをそのまま反映していると考えて良いと思います。
今回の一連の事件が、プーチンの長期的展望と戦略に基づいて進展しているのではなく、プーチン自身事態が予想外の早さで進展しているのに振り回されている、という観察はその通りと思います。
その原動力は、ソ連邦解体の怨恨と、強く大きいロシアへの回帰に対するロシア系住民の願望の強さです。クリミアの復帰が予想以上のスピードで行われたのも、東ウクライナの騒擾がここまで急速に発展したのもその故でしょう。そして、プーチンとしては、このロシア人の民意には、当然ある程度応じざるを得ない立場にあると考えられます。それならば、プーチンの態度が事態の変化に応じて、揺れているのも無理のないことです。
となると、今後の見通しは、プーチン自身どうにもできないロシアの民意の動向が相当な影響力を持つと考えざるを得ず、それが見通しを不透明にしています。
一つ面白いのは、米政府が内心考えている解決策が言及されていることです。それによれば、米政府は、ウクライナの総選挙後は、NATOに加盟しない、中立の、冷戦中のフィンランドのようなステータスを与える解決に合意することを考えているようです。
本件の経緯から考えて、クリミアはもう帰って来ないと考えると、それは米側の譲り過ぎの感は否定できませんが、今後東ウクライナ情勢が更にロシアに有利に傾いた場合に、東ウクライナをウクライナに返す代償に、ウクライナのフィンランド化するという取引が成立する可能性はあるのでしょう。
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