02. 2014年6月11日 12:16:53
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>戦後はドイツと日本が戦勝国日本同様、ドイツも、長期的には、そう甘い状況ではない http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40918 JBpress>海外>The Economist [The Economist] ドイツ経済:行く手に垂れ込める暗雲 2014年06月11日(Wed) The Economist(英エコノミスト誌 2014年6月7日号) 最近のドイツの力強さは、欧州一の経済大国に内在する脆さを覆い隠している。 順風満帆に見えるドイツ経済だが・・・(写真はフランクフルト・アム・マイン)〔AFPBB News〕 何カ月も決断を先送りした末に、欧州中央銀行(ECB)は6月5日、ユーロ圏で現在わずか0.5%という低インフレと戦うために、いくつかの面で行動に出た。ECBは主要政策金利を、既に低い0.25%から0.15%に引き下げた。 より重視すべきことは、市中銀行から預かる資金に支払う預金金利をゼロからマイナス0.1%に引き下げることで――実質的に銀行に手数料を課すことになる――、主要な中央銀行として初めてマイナス金利の採用に踏み切ったことだ。 さらに、ECBはなかなか融資を得られないユーロ圏周縁国の企業を支援するため、融資を通してそうした企業を支える銀行に低利で長期資金を供給する新たな政策を発表した。ドイツへの依存度が少ない、より幅広い景気回復を促すためには、そうした刺激策が不可欠となっていた。 2014年第1四半期にユーロ圏経済が縮小するのを食い止めたのは、ひとえに、ベルリンのスカイラインにそびえるクレーン車や地上での道路工事に反映されている、前期比0.8%増(年率換算で3.3%)というドイツの力強い成長だった。 この成長ペースは恐らく鈍るものの、ドイツ経済は2014年、2015年とも年間2%前後拡大する見込みで、2010年にユーロ危機が始まって以来ずっとそうしてきたように、他のユーロ圏諸国を優に上回るだろう。 作りはするが、消費はしない国 2006年以降、ドイツの経常黒字は平均して国内総生産(GDP)比7%近くに迫り、2013年には過去最高の7.5%を記録した。ドイツの主要輸出市場である他のユーロ圏諸国が極めて脆弱だっただけに、これほど大きな経常黒字を持続していることは、なおのこと驚異的だ。他のユーロ圏諸国に対する経常黒字は、2007年のGDP比4.5%から2013年の2.1%に減少した。 だが、輸出業者は、ドイツ企業が生産を得意とする機械や輸送機器に対する、投資熱の高い新興国市場の需要に巧みに乗じて、柔軟に対応してきた。 過去の広範な改革に支えられた好調な労働市場が、すべてが順調に行っていることを示すもう1つの兆候だ。昨年の雇用者数はほぼ4200万人に達し、過去10年間で300万人増加し、1990年の東西統一以来、最高を記録した。9年前に労働人口の11.4%を占めた失業率も現在は5.2%まで低下し、統一以来で過去最低、EU加盟28カ国中で2番目の低さとなった。 雇用の急増は健全な税収に貢献した。長期にわたる超低水準の長期金利――ユーロ危機の最中にドイツが安全な避難先となっていたことも、その一因だ――は、政府債務に対する借り入れコストも引き下げた。 こうした好ましい条件は財政引き締めと併せ、ドイツの公共財政が繁栄してきたことを意味している。2012年に国全体の財政収支が黒字に転じ、昨年には政府債務残高が2009年以来初めてGDP比8割を下回った。 物的、人的な資本不足 こうした経済的、財政的成功により、ドイツは今後も、脆弱なユーロ圏における強さの要塞であり続けるだろう。だが、その長期的な展望は心配になるほど弱々しい。ドイツ西部では1950年代半ばから1960年代半ばにかけてベビーブームがあったが、出生率は1970年代初頭以来、ずっと置換率(およそ2.1)を下回る水準で推移してきた。 移住者の純流入数は、現在年間40万人前後と高水準だが、労働供給を妨げることで潜在成長率を引き下げている、この人口動態の障害を解消するには不十分だ。その結果、生産性上昇率の引き上げが不可欠になる。 だが、経済協力開発機構(OECD)によると、たとえ生産性が大幅に向上したとしても、人口の圧力が極めて大きいため、潜在的な経済成長率は向こう10年以内に1%以下に落ち込むという(図参照)。 生産性上昇率を引き上げるためには、物的および人的資本への投資を増やす必要がある。ドイツ人はその堂々たる経常黒字を誇りにしているが、これは弱さの兆候と解釈することもできる。経常黒字は国民貯蓄に対する国内投資の不足を表すからだ。 2000年にGDPの21.5%を占めた投資総額は、2013年に17.2%まで落ち込んだ。政府は新たなインフラへの投資が足りないだけでなく、メンテナンスへの投資も足りない。 しかし、投資の落ち込みが最も激しかったのは企業の投資だ。ベルリンの経済系シンクタンク、DIWによれば、投資は恒久的にGDP比3%前後引き上げる必要があるという。ドイツ産業連盟(BDI)のマルクス・ケルバー氏は、送電網やブロードバンドなどのインフラについて特に懸念している。 資本不足は物的なものだけでなく人的なものでもある。ベルリンでは、ドイツ国内のその他地域と同様に、雇用主が多くの産業でスキル不足を報告している。教育への支出は他の先進国より少なく、子供の数の減少では、その差の一部しか説明がつかない。 OECDが先進国で生産年齢の成人を対象に行った調査では、ドイツ人は数学の知識で平均を少し上回っている一方、読み書きでは若干下回ることが分かった。これは驚くほどお粗末な成績だ。高等教育の資格(大学学位など)を取得する若者の割合も3分の1以下と、先進国平均を下回った。 生産性の伸びを高めるには、経済の69%を占めるサービス部門の業績を上げる必要がある。ベルリンでインターネット関連のベンチャー企業が心強い躍進を遂げているとはいえ、ドイツのサービス部門には製造業ほどのダイナミズムがない。特にGDPの10%を占める専門サービスの間で競争を促すための改革は、生産性をより幅広く刺激する一助となるだろう。 OECDは、商業登記に対する公証人の権限の緩和や建築家と建築技師の業務に対する規制価格――EU域内ではドイツ特有の制約的な取り決め――の撤廃をはじめとする幅広い改革を提唱している。 自己満足に陥る恐れ だが、すべてが順風満帆な状況では、新たな改革の波に対する意欲はほとんど湧いてこない。ユーロバロメーターの最近の調査によれば、ドイツ人の84%は現在の経済状態に満足していた。これはユーロ圏の中で最も高い数字だ。 昨年末に発足した連立政権は、前回の痛みを伴う改革後の見返りを求める声に応じざるを得ないと感じている、とケルン・ドイツ経済研究所(IW)のミヒャエル・ヒューター所長は言う。その典型例が最近の年金改革の後退だ。これにより、一部の人が65歳ではなく63歳から年金を満額受給できるようになった。 ドイツ経済の回復力を見くびってはならない。だが、ユーロ圏のため、そして自国のために、ドイツは自己満足に浸っている余裕はないのだ。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40889 JBpress>海外>欧州 [欧州] 米国の盗聴・諜報活動にドイツ人が怒り心頭 “Yes, We Scan!”―オバマ大統領への失望を招いた国家によるプライバシー侵害 2014年06月11日(Wed) 川口マーン 惠美 5月の初め、EU司法裁判所が、インターネット上での市民の権利を強める判決を出した。ネットの検索で出てくるリンクに対して、当該の個人が、それをプライバシーの侵害であると思った場合、削除を要求できるというものだ。忘れてもらう権利も人権の1つであるというのがEU司法裁判所の考え。
EUの「忘れられる権利」判決にリンク削除の申請が殺到 そこで、検索システムを運営している企業は対応を迫られることになった。 「忘れられる権利」グーグルへの削除要請、初日に1万2000件 グーグルはリンクの削除要請を個別に精査し、司法裁判所の判断で提示された要件を満たすかどうか見極めるとしている〔AFPBB News〕 検索システムはいろいろあるが、90%がグーグルのシェアで、そこで、まずグーグルが5月30日に反応。サイト上にリンク削除の申し込みページが作られ、その申込書を使って、個人が、自分に関するリンクの削除を要求できる。その結果、第1日目だけで1万2000件の申請があったという。 申請者は、削除してほしいリンクについて、なぜそれがプライバシーの侵害であるかの理由を述べ、身分証明書(EU共通・パスポートに準ずるカード型のもの)のコピーを添えて送信する。それが認められれば、そのリンクは2度と表示されることはない。 ただ、初日は若干の躓きがあった。身分証明書のコピーを、私企業が保存するのは、これまた違法だそうで、その日のうちに、身分証明書ではなく、身分を証明できるもの、例えば免許証などでもよいことになった。申請は、これからまだまだ増えると思われる。 EU裁判所の判決の対象者は、もちろんEU28カ国の国民だけだが、グーグルは自発的に、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスの国民を追加した。 日本でも、不本意なリンクで苦しんでいる人は少なくないと思うので、日本人も早急にこの権利を要求してしかるべきではないか。EU裁判所でこのような判決が出ている以上、それほど手間暇をかけずに削除は認められるような気がする。 現在、ネット上では、考えられないようなひどい中傷や個人攻撃が行われている。書籍とは違って、無法地帯のようなありさまだ。残らないと錯覚してやっているかもしれないが、実は、永遠に残る。中傷される方は傷口が塞がらない。 そのうえ最近は、離婚した相手や、元恋人に仕返しするため、仲睦まじかったときに撮ったプライベートな写真をネット上で大公開してしまう、リベンジポルノというのも流行っているそうで、油断も隙もない。 一度ネット上に拡散した写真を消し去るのはほとんど不可能で、だからこそ、前述のEUの判決となったのだろう。 アメリカでも、相手を苦しめる目的で性的な写真や動画を流出させる行為を犯罪とする法律が、ニュージャージー州やカリフォルニア州などで成立した。ドイツでも、別れた相手に削除を求められた写真や動画は、削除しなければいけないという法律ができた。 それにしても、このような法律があちこちでできるのだから、世の中には卑怯な輩や、復讐の鬼に化した人間が多いということか。 国勢調査にも厳密なプライバシー保護を要求するドイツ人 さて、話をグーグルのリンク削除アクションに戻すが、このEU市民の怒涛のような反応は、グーグルに代表されるアメリカの情報戦略に対する非難の意味も大きい。特にドイツ国民は、アメリカ国防総省の諜報機関の1つであるNSA(国家安全保障局)の盗聴活動が明るみに出て以来、怒り心頭に発している人が多い。 あるいは、この事件が明るみに出たことで、アメリカを堂々と非難することができるようになり、鬱憤を晴らしている人もいるかもしれない。 いずれにしても、アメリカのスパイ行為が明るみに出るきっかけを作ってくれたのは、CIA元職員のエドワード・スノーデン氏で、彼を英雄のように持ち上げる人々が、ドイツには結構たくさんいる。 ドイツ議会はNSA盗聴事件調査委員会を発足させたが、その証人としてスノーデン氏を召喚し、そのあとドイツで亡命者として引き受けるべきだという声が、国民の間ではもちろん、SPDの一部議員や緑の党の議員のあいだでも高い。 ただ、政府は、そんなことをすると、そうでなくても緊張している独米関係がよけいに難しくなるので、スノーデン氏とはなるべく関わらない方針のようだ。何といっても、スノーデン氏はアメリカ政府にとっては国賊に等しいのだから、それをドイツ政府が保護すれば大変なことになるのは目に見えている。 EUの人々とアメリカ人では、元々、国家に対する感覚も、プライバシーに関する感覚も、かなりの温度差があるようだ。要は、国家の安全保障のために、国民がどこまでプライバシーを犠牲にできるかということだが、EUの中でも、いわゆる旧西側諸国である国々では、個人の権利がとても強い。 その中でもドイツは特に強く、国勢調査にさえ嫌悪感を示す人が多い。実際に、1987年より2011年まで国勢調査は行われなかった。個人情報を公開するかどうか決めるのは本人なのに、国がそれを強制的に集めるのはけしからんと、様々な政治や社会運動のグループが主張し、「監視国家」に抵抗したからだ。 そこで83年、ついに最高裁判所が判決を下した。それによって、基本的人権、人間の尊厳の保護のため、国勢調査で集めたデータは、まず、個人を絶対に特定できない匿名状態に変えることが義務付けられた。しかも、2011年のドイツの国勢調査の対象は国民全員ではなく、約10%の無作為抽出だ。 なお、2011年のドイツの国勢調査はEUのお蔭で実施できたものだった。EUが、加盟国が一斉に10年に1度国勢調査を実施することを決めたからだ。これがなかったら、ドイツの国勢調査はさらに延び延びになっていたかもしれない。近代ドイツ人の頭の中では、国家は常に民衆の敵なのだ。 スーパースターだったオバマ人気もがた落ち <08米大統領選挙>オバマ氏演説に20万人、ベルリン 2008年7月、バラク・オバマ上院議員(スクリーン中)の演説を聞くベルリンの聴衆 cAFP/DDP/SEBASTIAN WILLNOW〔AFPBB News〕 先日、バラク・オバマ氏が大統領になる直前の2008年7月、ベルリンを訪れたときのニュースを見てみた(グーグルで検索すると出る。便利!)。ベルリンの中心の勝利の塔の広場に、イリノイ州の一上院議員のスピーチを聞くために、なんと20万人の人間が集まったのだ。 素晴らしいお天気で、オバマ氏のスピーチに人々は高揚し切っていた。“Yes, we can!”の声が、ベルリンの青空に響き渡った。 おりしもテレビでは、素人の中からスターを選ぶ「ドイツはスーパースターを探す」というコンテスト番組が流行っていた。週刊誌は、このとき、「ドイツはスーパースターを見た」というタイトルで、オバマ氏のことを報道したのだった。 ドイツ人のオバマ贔屓は度を越していて、本国アメリカでオバマ大統領の人気がかなり崩れて、2期目の当選が危ぶまれていたころでさえ、その人気は並大抵ではなかった。アメリカ大統領選がドイツで行われていたなら80%の得票は確実なのにというジョークが囁かれたほどだ。 その人気が今、がた落ちだ。主な原因は、もちろん、前述の盗聴事件。 アメリカがEU市民のメールや電話やフェイスブックの書き込みや、ありとあらゆる情報を収集しているだけでなく、アンゲラ・メルケル首相の携帯電話まで盗聴していたことを、オバマ大統領は知っていながら、知らないふりをしていたからだという。 オバマ氏に心底惚れていただけに、失望が大きかったらしい。どこかで、“Yes, we scan!”と書いてあるのを見たときには笑ってしまった。私が今年目にしたタイトルの中の最高傑作。 日本でもこのごろ、オバマ氏の失速、米国の衰退がしばしば報道されている。それを挽回するつもりなのか、米国はNATOの軍事力を強化するようだ。その理由は、ロシアの軍靴の響きに怯えている東欧諸国を支援するためだというが、NATOの西欧諸国はかなり戸惑っている。 ドイツもフランスもイギリスも、ロシアをこれ以上刺激したくない。これらの国々は、何世紀ものロシアとの歴史的つながりもあるし、エネルギー絡みの利害関係もある。アメリカのように、地理的にも遠く、経済関係もそれほどない国とはわけが違う。 この調子では、ドイツとアメリカの関係は、しばらく修復されないかもしれない。 |