02. 2014年6月03日 09:49:36
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その西側自体が、崩壊するリスクも0ではないhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40850 JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] 西側諸国、ウクライナを巡る「Dデー外交」に期待 2014年06月03日(Tue) Financial Times (2014年6月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今週の世界一ストレスの多い仕事は、エリゼ宮(フランス大統領官邸)の外交儀典長の仕事だろう。ホワイトハウスは5月30日、バラク・オバマ米大統領が6月5日にフランスのフランソワ・オランド大統領と「私的な夕食」をすると発表した。クレムリンがウラジーミル・プーチン大統領も同じ日にオランド大統領と「非公式な夕食会」を行うと発表した直後のことだ。 米ロ両国の大統領はその後、翌日のノルマンディーでの午餐会と式典に参加し、Dデーの上陸作戦開始70周年を祝う。来賓名簿にはウクライナ新大統領に選ばれたペトロ・ポロシェンコ氏の名前もある。 ロシアがクリミアを併合して以降、プーチン氏はオバマ氏はじめ西側の指導者と初めて直接顔を合わせることになる。この遭遇は外交上の失態が生じたり、両大統領の国内の批評家たちの気に入らない気まずい写真を生み出したりする可能性に満ち満ちている。だが、顔合わせは、ロシアと西側諸国の双方の政府が次のステップを巡って何らかの形の合意を見いだそうとしている、ウクライナ危機における重要な時期に行われる。 5月25日の大統領選挙第1回投票でのポロシェンコ氏の圧勝は、ウクライナ東部の新たな暴力を食い止めることはなかったし、今後数日間の出来事が、各国首脳が今週末にフランスに集まる前に外交交渉の可能性をふいにしてしまう恐れもある。 ウクライナ大統領選で形勢に変化 だが、プーチン大統領によって承認されたポロシェンコ氏の圧勝と、ロシア軍がウクライナとの国境地帯から撤収し始めた兆しは、米国や欧州の高官たちに、これから事態を掌握できるかもしれないという一定の楽観をもたらした。 オバマ政権の元高官は「クリミア併合以降の2カ月間というもの、プーチンがすべての切り札を持っているように見えた。だが、ウクライナの大統領選挙がある程度、形勢を平等にした」と言う。 欧米の高官たちによれば、今週のオバマ大統領の欧州訪問――大統領はポーランドも訪問し、ブリュッセルで開催される主要7カ国(G7)首脳会議にも参加する――の焦点の1つは、ロシア政府への影響力を行使するための新しい共通見解を描くことだという。 当初、ロシア軍がウクライナ東部に侵攻すれば厳しい経済制裁をロシアに科すと述べていた欧米諸国は、先月には、ウクライナ大統領選挙の不安定化を図るロシアの取り組みも、いわゆる部門制裁を招くと述べた。大統領選挙が比較的円滑に終わった今、西側諸国の政府は、ロシア政府を説得し、隠れた支援を通じてウクライナ東部諸州を不安定にする追加措置の実行を断念させる新たな条件を設けようとしている。 「ロシアは今、ウクライナ新政権誕生の機を捉えて緊張を緩和させるチャンスを手にしている」と米国のベン・ローデス大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は言う。「だが、ロシアが緊張を緩和させるのに必要な措置を講じている様子はまだ見えない」 ウクライナ政府高官はロシアがチェチェンの過激派のような非正規軍を使ってウクライナ東部で「ハイブリッド戦争」を仕掛けていると非難している。一方、ロシア政府は、ウクライナ東部の戦闘が続く地域にロシアが医療用品を供給できるようにする「回廊」の設置を求めている。 米国はG7の指導者による共同戦線を要求する。しかし、欧州の高官らの話では、ウクライナ東部の分離主義者の性質について見解の相違があり、米国は騒乱がロシア政府によって煽動されていると見がちなのに対し、欧州の一部の向きは反乱をもっと自然発生的なものと考えているという。 ロシアを罰するよりも、ウクライナ新政府を後押し これ以外に、西側の指導者らは今週の様々な催しを利用し、ウクライナの秩序回復を試みる困難な仕事に乗り出すポロシェンコ氏の正統性を高めようとするだろう。オバマ大統領はポーランド訪問中にポロシェンコ氏と会談する。ポロシェンコ氏はフランス・ノルマンディーでの記念式典にも列席することになっている。 「我々が優先すべきは、ロシアを罰することよりも、ウクライナ政府を後押しすることだ」。ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のアンドリュー・クチン氏はこう主張する。 外交の1週間はロシアに対する暫定的な提案も含まれる。オバマ、プーチン両氏の公式会談は予定されていないが、プーチン氏はオランド氏と会談するし、フランスでの一連のイベントは西側諸国の政府高官に、ロシア政府高官と意見交換する機会を与えてくれる。 オバマ政権は、西側がロシアと普段と変わらない関係に戻るという印象を避けたいと思っている。オバマ氏はポーランド訪問時にこのメッセージを強調する。だが、米政府高官らは、極めて重要な今後のステップの1つは、ウクライナがロシア側の関心事をいくつか満たす、より分権的な憲法を策定することだと認めている。これには最終的に、北大西洋条約機構(NATO)および欧州連合(EU)とのウクライナの将来的な関係に関してロシア政府と何らかの合意に達することが含まれる。 「もし我々が今回の選挙結果をプーチンに対する勝利を宣言する方法と考えたりしたら、一大危機の真っ只中に逆戻りすることになる」と、ある欧州高官は話している。 By Geoff Dyer http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40838 JBpress>海外>The Economist [The Economist] 欧州の怒れる有権者:EUに反旗 2014年06月03日(Tue) The Economist (英エコノミスト誌 2014年5月31日号) 欧州の首脳は多くの分野でEUの権限を縮小する必要があるが、中には拡大すべき分野もある。 EUのCO2排出権取引サイトにフィッシング攻撃 〔AFPBB News〕 「欧州の諸国民の間にかつてないほど緊密な団結の基礎を築くとの決意で・・・」と、欧州統合プロジェクトの端緒として1957年に制定されたローマ条約は宣言している。 欧州連合(EU)の歴史が書かれる時、2014年は1957年と同じほど重要な年とみなされる可能性が高い。というのも、2014年は欧州の有権者がその首脳に、半世紀以上前にこの大胆な企ての発端となり、それ以降も数々の政策を形作ってきた高邁な志を捨て去るように命じた年だからだ。 反EU派への投票が多くなることは予想されていたが、それでもやはり、その規模は衝撃的だった。フランスでは、マリーヌ・ルペン氏率いる国民戦線(FN)が25%の票を得てトップに立った。英国独立党(UKIP)は27%と、さらに多くの票を集めた。ギリシャでは、約40%の票が、EU懐疑派やあからさまに人種差別的な主張を持つ党に流れた。 次期の欧州議会では30%もの議席を、反体制と反EUのいずれか、あるいはその両方を掲げる党が占めることになる。フランスのマニュエル・バルス首相が選挙後、政治的な「激震」について話したのも無理はない。 繁栄か民主主義か この選挙結果が政治に及ぼす直接的な帰結は、非常に大きな意味を持つまでには至らないかもしれない。欧州議会の中では、ポピュリストが恐らく激しく言い争うため、70%を占めるEU統合派はこれまでと同様の合意形成を続けられるだろう。 しかし、長期的に悪影響は甚大なものになりかねない。欧州は、英国(与党の保守党が次回選挙後にEU加盟に関する国民投票を実施すると公約している)がEUを脱退する可能性に直面している。英国が脱退してもEUは存続するかもしれないが、フランスがルペン氏のような反EU主義者を選んで離脱を決めれば、EUは終わりを迎えるだろう。 典型的なブリュッセルの危機対応である、何とかその場をしのいでいく手法は、今回の場合選択肢にならない。なぜなら、EUが自発的に変わらなければ、有権者がEUに変化を強いるはずだからだ。有権者の敵意に対応するためには、まずは欧州の首脳が敵意の理由を検証する必要がある。 ナショナリズムが1つの要因であるのは明らかだ。外国人に指図されたくないという有権者のメッセージは、UKIPやFNといった政党の論壇から、大々的かつ明確に打ち出された。しかも、反EU的な票が投じられるのは今回が初めてではない。フランスとオランダの国民は2005年に欧州憲法条約草案の批准を拒否し、アイルランド国民も2008年に欧州憲法条約に代わるリスボン条約を拒み、その後再投票を要請される事態に至った。 移民への敵意も、動機の1つだ。反EU政党の大多数は、外国人についても排斥する立場を取っている。EUが東欧諸国へと拡大し、こうした貧しい国の労働者が西側に流入して以来、EUへの鬱憤は高まっている。 最後に、経済も不満の大きな要因になっている。指導者たちが景気の低迷に対する解決策を示せていないフランスの国民の方が、順調に回復を遂げているドイツの国民よりもはるかに大きな怒りを抱えていることは注目に値する。英国は今こそ成長しているかもしれないが、ユーロ危機の影響で英国経済が急激に縮小したという事実が、政府に対する不信感の理由になっていると考えられる。 欧州の問題には2つの解決策がある。経済的繁栄と民主主義の拡大だ。後者は基本的に、有権者が信頼を寄せる国家と機関に権力を戻すことを意味する。2つの目標は一致することが多いが、常にそうとは限らない。 EUの介入を減らすべき国民生活分野は数多くある。不必要な官僚的形式主義の多くを排除し、多数の規制を廃止すべきだ。詳細にわたる社会政策や雇用に関する規則(育児休暇や労働時間など)の多くについては、これを修正する自由を各国政府の手に返還すべきである。 また、欧州議会の権限を縮小し、EUの立法において各国の議会により大きな発言権を与えるべきだ。少なくとも最初のうちは、条約変更という時間のかかる(そして危険をはらむ)作業を行わなくても、こうした改革を成し遂げることができる。 移民と単一市場 しかし、繁栄と民主主義は2つの分野で衝突する。1つ目が移民だ。まずは特に怒りの原因になっている「ウェルフェアツーリズム(福祉目的の移住)」の取り締まり強化を、各国がより自由にできるようにすべきだ。移民が給付金を請求しにくくなるよう、規制を強化することもできる。そして、より貧しいEU加盟申請国については、自由な移動が制限される移行期間をさらに長くするという方法もある。 だが、財、サービス、資本、労働という「4つの移動の自由」は、欧州の単一市場を支えるものだ。これら4つの自由のうちどれか1つを捨て去れば、欧州統合という計画の意義に疑問符を突きつけるだけでなく、現在の不満の大きな理由である経済低迷をさらに悪化させることにもつながるだろう。 第2の衝突の舞台は単一市場だ。一部の分野、例えば労働市場の柔軟性に関しては、「EUの介入の軽減」は成長を促進するはずだ。しかし、すべての分野でそう言えるわけではない。ユーロ危機により、ユーロ圏は銀行同盟を必要としていることが示されたが、これにはかなりの権力集中を要する。 それに、経済成長が最も期待できる施策は、単一市場の拡大だ。次期の欧州委員会では、サービス、エネルギー、デジタル経済の分野の貿易障壁を取り除く必要がある。対米国を端緒とする、さらなる自由貿易協定の締結ももう1つの優先事項だ。 欧州経済の開放は一部の有権者を不快にさせる(そして、一部の政治家を怯えさせる)だろう。しかし、もう1つ残された道は何年にも及ぶ経済不況であり、これはどのみち欧州統合の命運を断ってしまうはずだ。 リーダーシップを求めて 欧州懐疑派が主張するように、欧州は変わることができないかもしれない。しかし、今回の選挙結果に対する各国首脳の当初の反応は心強いものだった。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相と欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ現委員長はともに、委員会の関与の縮小を呼びかけた。フランスのフランソワ・オランド大統領も、EUは民意からかけ離れており、権限を縮小しなければならないと述べている。イタリアのマッテオ・レンツィ首相は、改革への支持を勝ち取った。 英国のデビッド・キャメロン首相は、何年も前からEUの権限縮小を要求し続ける一方で、単一市場の拡大を求めてきた。その他の欧州の指導者たちも、キャメロン首相の考えを採用するのが賢明だろう。そして採用後は、そのアイデアは英国が思いついたものではないというふりをすればいい。 日本は女性の労働参加促進を、IMF専務理事 クリスティーヌ・ラガルド氏は元弁護士で、フランス経済・財政相などを歴任した後、IMF専務理事に就いた〔AFPBB News〕 最初の仕事は、根本的な変革を実行する覚悟を持った欧州委員会の新委員長を指名することだ。 継続性を重視する(そして連邦主義者の)候補者であるルクセンブルクのジャン・クロード・ユンケル氏は、かつてはメルケル首相の支持を得ていた。しかし、同首相は、何もしないという選択肢は選べないことに気づいたようだ。 本誌(英エコノミスト)が推薦するのは、フランス出身の国際通貨基金(IMF)専務理事、クリスティーヌ・ラガルド氏だ。同氏はEUの組織に属していない、聡明で勇敢な人物で、既得権益に挑む方法を知っている。ラガルド氏を委員長にすれば、英国がEUに留まる可能性も高まるだろう。 EUが存続するためには、こうした種類の指導力が必要だ。そして今は現実に、EUの存続が問われているのだ。 |