http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/725.html
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※ 参照投稿
「ウクライナ情勢の今後:軍事的対応はハナからなしだが、実質的経済制裁も避けたい欧米先進国:焦点はウクライナ東南部地域の“地」
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/169.html
「デフォルトを嫌う金融家のため、危機を頼りにする軍需産業のため、「東西」の合作で分断と対立を煽られたウクライナ」
http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/467.html
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米欧の「制裁」を笑ったプーチン大統領[日経新聞]
論説委員 太田泰彦
2014/6/1 7:00
東京に住むロシア人のビジネスマンから、こんな話を聞いた。
親ロシア派だったウクライナの前ヤヌコビッチ政権が2月に倒れ、ロシアがクリミア併合に動き始めた直後。欧州連合(EU)と米国は「経済制裁」をちらつかせ、クリミアから手を引くようプーチン政権に圧力をかけた。ロシア企業の関係者の間でも、緊張感が一気に高まり、固唾をのんで「制裁」の発表に身構えた。
■欧米は「口先だけ」
だが、その中身が首脳会議の開催凍結や査証(ビザ)の停止にすぎないと判明すると、ロシア人の会合で、高らかな笑い声が上がったという。貿易や投資の制限など、実質的にロシア経済に影響する制裁内容に至らなかったからだ。米欧は「口先では勇ましいことを言うけれど、実際には手出しなどできまい」というわけだ。
ずいぶん甘く見られたものだ。だが、ロシア人の見方だけが正しいとは限らない。実情はどうなのだろう。そう考えて、ちょうど来日していた「ビジネス・ヨーロッパ」という経済団体のトップに、ウクライナ情勢をめぐるEU経済界の見解を聞いてみた。この団体はEUの経団連に相当し、私がインタビューした相手のマルクス・バイレル事務局長は、EU加盟28カ国の産業界を束ねる欧州経済のキーパーソンである。
「とても残念なことがウクライナで起きている……」。バイレル氏は、質問がウクライナ問題に及ぶと、途端に口調が重くなり、渋々ながらの表情で、EU産業界の立場を説明してくれた。「ビジネス・ヨーロッパ」の理事会は普段なら日中の夕方までに終わるが、「ウクライナ情勢」を主要議題とした直近の会合は、議論が難航した。理事会は夕食をはさんで、翌日の未明2時すぎまで続き、激論の末にようやく5項目から成る公式見解を決定したという。
「欧州は米国と協調しながら強い役割を果たすべきだ」、「ウクライナ経済を破綻させてはならない」など、当然ともいえる項目に交ざって、私が「おや?」と感じたのは、3番目に並んだ対ロシア経済制裁に関する見解だ。米国とEUが対ロ制裁の拳を上げているにもかかわらず、欧州産業界として「制裁は望ましくない」と明言しているからだ。
その理由としてバイレル事務局長が挙げたのは、ウクライナ経由でロシアからEU域内の産業に供給される天然ガスの問題だけではなかった。ロシアがガスの元栓を閉めれば、EUが困るのは事実だが、現実にはEUとロシアの経済はそれ以上に深い関係にある。
■経済は相互依存
ドイツやオーストリアはロシアへの巨大な直接投資を抱える。ドイツのダイムラーやフランスのプジョー・シトロエン、ルノーを筆頭に、EU主要国の自動車大手や機械メーカーはロシア国内に生産拠点を築いている。BPやロイヤル・ダッチ・シェルなど英国、オランダに拠点を置く国際資源メジャーも、ロシアの国営資源企業と共同でロシア国内のエネルギー権益を握っている。
労働市場の改革で功績を上げたドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相は、2006年にロシアの国営天然ガス会社「ガスプロム」の子会社の役員に就任。ガスプロムのパイプライン事業に自ら関わり、文字通り独・ロシア間のビジネスのパイプ役を果たしている。EU経済界とロシアは、既にお互いを必要とする、切っても切れない依存関係にあるのだ。
EUの経団連であるビジネス・ヨーロッパの立場は微妙だ。対ロシア制裁は基本的に支持しない。けれども「EU理事会が政治決断で制裁を決めた場合は、その決定を受け入れる」という。産業界の損得勘定によってEUの政治的な結束を損ねてはならないという、ギリギリの判断だったのだろう。支持はしないけれど、反対もしない。玉虫色ともいえる、なんとも苦しい公式見解である。
煮え切らない印象のEUの対ロ制裁だが、その舞台裏にはこんな現実の経済の姿がある。
さらに北大西洋条約機構(NATO)の要である米国の姿勢も、決して強気とはいえない。クリミア問題に関してオバマ大統領は、早々に「武力介入しない」と公言してしまった。4月にハーグで開いた核安全保障サミットで「NATOの同盟国を守るためには軍事力の行使も辞さないが、ウクライナのクリミアはその適用対象ではない」と発言した。
たとえ実際に軍事介入をする意思がないとしても、米国の大統領がそれをわざわざ対外的に口にする必要はないだろう。外交の経験不足なのか、米国内の評判ばかりを意識する癖なのか。いずれにしても、プーチン大統領は「オバマ政権、恐れるに足らず」と、ニヤリと笑ったに違いない。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO72016320Q4A530C1000000/
- [コラム]西側諸国がロシアに勝てない理由 あっしら 2014/6/02 18:42:27
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