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旧ソ連3カ国、経済同盟条約に署名 EU・中国に対抗
【モスクワ=石川陽平】ロシアとカザフスタン、ベラルーシの旧ソ連3カ国は29日、2015年1月に経済統合を一段と深めた「ユーラシア経済同盟」を発足させる条約に署名した。人やモノ、資本の移動の自由をさらに広げ、加盟国で税制など経済政策を調整する。ロシア主導の経済統合で、欧州連合(EU)や中国の経済圏に対抗する狙い。ウクライナは加盟せず、求心力を強めたいロシアには痛手となった。
ユーラシア経済同盟は太平洋岸から東欧にいたる広大な面積と、約1億7000万の人口を抱え、欧州とアジアを結ぶ経済圏になる。カザフの首都アスタナで開いた条約の署名式には、ロシアのプーチン大統領とカザフのナザルバエフ大統領、ベラルーシのルカシェンコ大統領が出席した。
署名式に先立つ首脳会議で、ナザルバエフ大統領は統合による経済効果で3カ国の国内総生産(GDP)の合計が「30年までに9000億ドル(約91兆円)増える」と表明した。13年のGDPの合計は約2.4兆ドルで、投資の促進や内外との貿易の拡大で4割近く増やす目標を掲げた。
3カ国は10年に域内の関税を撤廃する「関税同盟」を発足させ、段階的にモノ、資本の移動を阻む障壁も取り除いてきた。ユーラシア経済同盟では関税分野に多く残る除外品目を減らしていくほか、3カ国の代表がつくる「超国家機関」を通じて、経済や産業、金融、貿易、エネルギー、輸送、農業など各分野の政策を調整していく。
様々な政策の調整に当たる「ユーラシア経済委員会」はモスクワに、仲裁裁判所に当たる「ユーラシア裁判所」をベラルーシの首都ミンスクに設ける。25年にはカザフの商都アルマトイに、域内の金融市場を監督する機関を置く予定だ。外国との自由貿易協定(FTA)の交渉にも取り組む。
ユーラシア経済同盟には29日、アルメニアも加盟の方針を表明した。6月15日までに条約に署名する。キルギスも早期の加盟を目指しており、議会との協議や関連法の採択など準備を急ぐ。
加盟3カ国ではロシアの国力が突出している。人口でもGDPでも域内の85%前後を占める。圧倒的な影響力を持つロシア主導の地域統合には、カザフやベラルーシが警戒感を抱いており、ユーラシア経済同盟では政治分野にかかわる統合には踏み込まなかった。
ロシアには、EUなど巨大な経済圏が旧ソ連地域に勢力を広げるのを阻む地政学的な狙いがある。欧米諸国では、ソ連の継承国のロシアが1991年のソ連崩壊で独立し分裂の傾向を強めた国々を再び統合する野心を持っているとの懸念が出ている。プーチン大統領は29日、条約について「画期的で歴史的な意味を持つ」と強調した。
ただ、旧ソ連圏で2番目に人口が多いウクライナが親欧米路線に転じ、ユーラシア経済同盟に参加しなかった。
[日経新聞5月30日朝刊P.6]
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