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ロシア下院議長「対日外交は優先課題」
制裁発動、一定の理解 領土問題、軟化示さず
【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領の最側近の一人として知られるナルイシキン下院議長は29日、日本経済新聞などとのインタビューに応じた。日ロ関係について「ロシア外交の優先課題だ」と明言。日本がウクライナ問題を巡って対ロ制裁を決めた後も日本を重視する姿勢に変わりがないと強調した。日本と中国を対ロ接近で競わせ、アジア太平洋でのロシアの影響力を拡大したい思惑があるとみられる。6月初旬の訪日時に日本の要人と会うことも明らかにした。
「(日ロ関係は)ロシアやアジア太平洋の安全保障に極めて重要だ。ロ中関係と対立すべきものではない」。ナルイシキン氏は今月下旬のプーチン大統領の訪中の成果に触れた後、日ロ関係の進展への期待を語った。
■中国とのバランス探る プーチン氏は21日、習近平国家主席と長年の懸案だった天然ガスの輸出交渉を決着させた。日本が加わったウクライナ問題を巡る対ロ制裁への反対を掲げ、来年に対日・独戦勝70周年式典を共催することも決定。日本側には「制裁後に日本への姿勢を決定的に硬化させている」(政府関係者)との見方が出ていた。
ナルイシキン氏の発言にはこうした観測を打ち消し、日中に対してバランスを取る狙いがあったとみられる。同氏はロシア要人の渡航禁止を柱とする対ロ制裁についても「米国の強い圧力があったためだろう」と指摘。米国と同盟関係にある日本の立場に一定の理解を示した。
今秋に想定するプーチン氏の訪日でも、日ロの協力関係を大きく引き上げる共同文書の採択の可能性に言及。政権が最重要課題の一つとする極東開発に絡み、インフラ事業への日本の参画に期待感を示した。
6月2日から予定する自身の訪日時に日本の衆参両院議長や森喜朗元首相らと会談することも明らかにした。ロシアが3月にウクライナ南部・クリミア半島の編入を決定後、両国の要人の公式会談は初めてとなる。森氏は安倍晋三首相と近く「首脳間の非公式なメッセージが交わされる可能性がある」(日ロ外交筋)。
半面、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題に関しては「冷静な話し合いをしないといけない」などと慎重な物言いに終始。北方四島の実効支配をもたらした「第2次大戦の結果をみる必要がある」とも述べ、保守化が進む政権の交渉姿勢をうかがわせた。
同時に「交渉のために世論の圧力がない穏やかで信頼がある環境が必要だ」とも指摘。プーチン氏が言及した双方の譲歩を伴う「引き分け」による解決に向けて、両国間の秘密交渉が不可欠との考えを示唆した。
■軍事介入には消極姿勢 親ロシア派武装勢力と中央政府の戦闘が続くウクライナ情勢に関しては「危機は悪化しており、我々は穏やかに状況をみているわけではない」と言明。政権側の東部親ロ派への軍事作戦の強化に強い懸念を示した。
一方で「緊張緩和に向けたおそらく唯一の道はすべての政治勢力による対話だ」と明言。ロシア軍による早期の介入の可能性に否定的な考えをにじませた。
ナルイシキン氏は米国や欧州連合(EU)から渡航禁止の制裁を受けているが、領土問題を進展させたい日本政府は、今回の訪日が「文化交流行事の出席」を目的としていることを踏まえ受け入れた。プーチン政権への非難を強める米国に配慮して閣僚ら政府関係者が会うのは見送る方針だ。
[日経新聞5月30日朝刊P.6]
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