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対ロ制裁 欧米企業は一線 エネルギーなどで密接 イラン型包囲 困難
ウクライナ危機を巡り米国主導で強まるロシアへの金融制裁。プーチン大統領に翻意を迫るが、米欧の足並みの乱れに企業の慎重さも加わり効果への疑念が増している。
米政府が4月28日に決めた追加制裁。プーチン氏に近い国営石油会社ロスネフチのセチン社長ら7人や17社の資産を凍結するなどの内容だ。
直後、米クレジットカード大手のビザとマスターカードは制裁対象のSMPバンクなど2行が発行するカードの決済を止めた。ロシアバンクなどに続く措置で、制裁の痛みは買い物客に及ぶ。ただ制裁は企業にも痛手で、「我々は米ロの政治の板挟みだ」(ビザのシャーフ最高経営責任者)。
政府と距離を置く動きもある。石油最大手エクソンモービルは従来計画通り、ロスネフチと組んでロシアでの石油開発をめざす。欧州企業からは露骨に制裁への疑念を示す声も相次ぐ。
イランを核開発を巡る交渉に引き出した金融制裁では米国が欧州、日本など世界の銀行や企業を巻き込み資金や石油の流れを断った。だが「ロシアに同じ処方箋は使えない」(米国家安全保障会議の元ディレクター、リー・ウォロスキー氏)。エネルギー分野などの存在感が大きいロシアを包囲するのは難しい。
ロシア経済は冷え込んできた。投資マネーの流出で株式やルーブル相場は急落。今年はマイナス成長との声も目立つ。
「プーチンにリーマン危機の瞬間が来る」と米誌フォーリン・アフェアーズで訴えたのは米財務省や国際通貨基金(IMF)からヘッジファンドに転じたロバート・カーン氏。ロシアの資金調達の随所に絡む米銀が手を引けばロシア経済への打撃は大きいとみる。
ただロシアの支配層は権力基盤が盤石。プーチン政権の支持率も80%台だ。「制裁は目先のロシアの判断を左右しない」(米政治学者のイアン・ブレマー氏)との見方も強い。
米政府もロシアを過度に刺激したくないのが本音。「意図的に制裁効果をそいでいる」(調査会社ストラトフォー)との声すらある。ロシアが見透かしているなら、譲歩を引き出すのは難しい。
(米州総局編集委員 西村博之)
[日経新聞5月9日朝刊P.7]
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