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経済制裁されたロシアは、長い経済苦境に耐えられるのか?
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2014年5月9日 Darkness - ダークネス
1998年。アメリカではクリントン大統領と、モニカ・ルインスキーのセックス・スキャンダルが大詰めを迎えていて、ついにクリントン大統領が「白状」したのが8月17日だった。
アメリカの報道はモニカがいかにしてクリントン大統領のペニスをブロージョブしたのかを微細に再演していた頃、ロシアではただごとではないことが起きていた。
「ロシア中央銀行は対外債務を 90日間支払い停止する」
ロシア中央銀行がそのように発表していたのである。ロシア経済が崩壊していた。
その瞬間、世界はクリントンの火遊びどころではなくなった。
まず、ロシアの国内大手銀行の多くが営業停止となり、人々の預金は封鎖され、物価は高騰した。そして最後に国家財政が破綻していった。
万策尽きたロシア政府とモスクワ中央銀行は、ルーブルの買い支え中止と対米ドルの通貨切り下げに踏み切り、それによって金融危機が一気に勃発した。
■ロシアの破綻は一部の人々に予期されていた
国内の大手銀行は、顧客から預かった預金のほとんどを、ロシア国債へ投資していたことから倒産・閉鎖となり、人々は預金を引き出すことができずに路頭に迷うこととなった。
結果として、ルーブルの価値は3分の1、物価は3倍となった。これらの事態は一気に引き起こされたので、誰も対処することができなかった。
銀行に行っても開いていないのである。結局、自分の貯金が吹き飛んでいくのを見ているしかなかった。
これが、1998年にロシアで起きた事件だった。
ロシアのデフォルトはロシア国民にとって、突然の出来事ではなかった。実はロシアの破綻は一部の人々にとっては、予期されていたものでもあった。
まず、1995年以降、ロシア政府は「インフレ抑制」や「財政赤字縮小」などの目的で、短期国債を積極的に発行していた。
これらの高利の短期国債は、外国人投資家やロシア国内銀行の人気を買い、資金調達が進んだ。アメリカのヘッジファンドであるLTCMなどもこれを買っていた。
しかし、なぜロシア国債の金利は高かったのか。その理由は、単純にいってしまえば、デフォルト・リスク(債務不履行リスク)が高かったからだ。
リスクが高い金融商品は当然、金利が高いということであり、ロシアの国債はリスクが高かったということになる。ロシアの国家財政の状態は、「国債発行で作った借金を国債を発行して返済する」という、自転車操業状態だったのだ。
いずれ、こういった自転車操業は倒れるという予兆は一部の人々は持っていた。だから高利の短期国債に、ほとんどの投資家は手を出さなかったのである。
1998年にはロシアのデフォルトを宣言に追い込まれたエリツィン大統領
■ロシアはもう大混乱に巻き込まれないのか
その後、ロシアはプーチン大統領の登場と、原油価格の上昇で奇跡的な立ち直りを見せた。プーチン大統領は現在も大統領として君臨している。ロシアはもう大混乱に巻き込まれる心配はなくなったのだろうか。
つい半年前までロシアはかつてのような混乱に陥ることはないと思われてきた。ところが、2013年11月から隣国ウクライナで反政府デモが激しくなってから事態は一変している。
ロシア寄りに傾倒していくヤヌコビッチ政権に対して大きな危機感を感じていたアメリカは、CIAを使ってこの反政府デモを煽動して、2014年2月にはとうとうヤヌコビッチ政権を崩壊させてしまった。
アメリカがウクライナに介入するのは、この国が旧ソ連最大の穀倉地帯であると同時に、黒海油田を擁する資源大国だからである。資源のある国を欧米は放置しない。必ず介入する。
しかし、この国はロシアにとっても最重要国家である。ロシア系の国民がいるばかりではなく、この国からEU諸国にガスが供給されている。
この国が欧米の手に落ちたら、ロシアのガス利権は一気に消滅してしまう。だから、ロシアはこの国の混乱と反ロシア化を座視できないのである。
その結果、ロシアがウクライナ危機に介入し、欧米とロシアが対立するという構図になり、アメリカはロシアに経済制裁を科して首を締め始めた。
この経済制裁の成果はまだロシアを動揺させるまでには至っていないが、問題はここからである。ロシアが経済的に大打撃を受け、それが長く続いて行くと、プーチンの盤石な政権に大きな亀裂が入ることが予測される。
この経済制裁はロシアを追い詰めることはあるのだろうか。
激しい暴動からヤヌコビッチ政権の崩壊にまでつながったウクライナ。
■ロシアが立ちゆかなくなっているのは事実
ロシア経済は急減速している。事態が急変し始めた2014年2月よりロシア国内から資金逃避(キャピタル・フライト)が相次いだ。
2014年の1月から3月の期間だけでも6兆4000億円がロシアから資金が逃避したと言われている。
ロシアの株式市場は連日、下落を繰り返して来た。ロシアのルーブルも下落している。まだ下落率は20%程度であり、これを持って大暴落とは言い難い。
しかし、今後、さらなる経済封鎖が行われると実体経済の悪化によってロシアの株式市場の底は完全に抜けていく。
もちろん、ロシアに対する新規投資はほとんど行われることもなく、ロシアの経済成長率はマイナスに落ち込んで行く。
ロシアでは、いまだエリツィン時代の大混乱と、デフォルト危機による未曾有の貧困が忘れ去られていない。欧米の制裁によって貧困が極まっていくと、プーチンの求心力は急速に失われていき、国内が大混乱していく可能性がある。
ただし、プーチン大統領も生き残りを賭けて中国との連携を模索したり、何らかの奇手を打って欧米を混乱させることも考えられるので、一概にロシア国内が一直線に混乱に向かうというわけでもない。
また、オバマ大統領は外交には腰が引けており、イラン攻撃もできず、シリアのアサド大統領もいまだに打倒できず、中国の横暴にも対抗できない。
口先だけの無能大統領であることが露呈しているので、プーチン大統領にとどめを刺すのは難しいかもしれない。
しかし、ロシアがこのままでは立ちゆかなくなっているのも事実であり、状況は予断を許さなくなりつつある。
1998年のような大崩落はあるのだろうか。
場合によっては、劇的な大崩壊もあり得るのが今のロシアの状況だ。もちろん、グローバル化した世界では、ロシアの崩壊は瞬時に世界経済の危機につながっていく。
孤立していくプーチン大統領に、次の奇手はあるのか?
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