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対ロ政策、揺れる欧州論調
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 06 日 01:25:40: Mo7ApAlflbQ6s
 


[海外メディアから]対ロ政策、揺れる欧州論調

 欧州歴訪中の安倍晋三首相は4月30日にメルケル独首相と会談、ウクライナ問題で歩調を合わせていくことを改めて確認した。だが、メルケル政権の対ロ政策は足元がぐらついているようにみえる。

 独誌シュピーゲル電子版(4月29日付)は、欧ロ間のパイプライン運営会社がロシアのサンクトペテルブルクで主催したシュレーダー前独首相の誕生会にプーチン大統領が出席した際、2人が抱擁する写真を掲載した。欧米が追加制裁を発表した日だったため、さすがに蜜月ぶりをやゆする独メディアが多かった。
 しかしロシア同情論はシュミット、コール元首相にも共通する。ソ連時代からドイツで主流のロシア融和論が背景にあるとの解説もある。シュピーゲル電子版(30日付)は「独経済界、ウクライナ制裁に消極的」と、衝突回避を期待する声がビジネスサイドに根強いことを伝えた。表面的には対ロ強硬論のメルケル首相も対話の必要性を強調してバランスをとり始めている。

 強硬策で米国と歩調を合わせている英国でも、ガーディアン紙(30日付)が「内戦へ向かわせているのはロシアではない」との記事を掲載した。ウクライナを欧州に取り込もうとする策略は緊張を高めるだけだとして、欧米側の冷静な対応を促している。

 一方、ロシアは実質経済成長率が1%未満にまで落ち込みかねないなど経済面で窮状にある。米紙ワシントン・ポスト(29日付)は、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がロシアの外貨建て国債について投資不適格目前まで格下げしたのを受け、「ロシア、BRICS諸国に共同での自前格付け機関の創設呼びかけ」との記事を掲載した。
 中国が賛成しているとして新たな政治力学の動きを伝えている。とはいえ、格下げはロシアからの外資流出やそれに伴う経済失速への懸念を招く恐れもある。ウクライナ問題への力加減を間違えると、世界経済にも響きかねない。
(編集委員 土屋直也)

[日経新聞5月4日朝刊P.12]

 

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