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十年一日のごとく「中国経済崩壊論」や「北朝鮮餓死崩壊論」が少なからず飛び交う日本だからどうしようもないが、他の主要国は、これからの世界でどこに“巨利”が存在するのか承知しながら動いている。
中国に媚びを売る必要はないが、日本は、尖閣諸島と歴史認識の問題で漂流を続け、世界のバランスが大きく動いている重要な時期に2年間もの時間を無駄にしてきた。
「デフレ不況」ボケと「日米安保」ボケから脱却し、世界の今と日本のポジションを再認識しなければ、他の主要国に市場という陣地を奪われてしまうだけでなく、日本企業も、規模が大きく成長も期待できる国にますます拠点を移すようになるだろう。
日本が尖閣諸島と歴史認識の問題でドツボに嵌ることになったのがどこの思惑によるものかは、中国市場で、日本がどれだけ失い米国など他の国がどれだけ得たかで推測がつくはずだ。
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『ニューズウィーク日本版』2014−4・29/5・6
P.20
「プーチンが目指すアジア基軸戦略の勝算
ウクライナ危機をめぐる欧米の制裁に対抗?
ロシアがもくろむ「リバランス」の真の標的は
4月15日、ロシア政府のウェブサイトに次のような文書が掲載された。「ロシア連邦大統領の指示により、ウラジオストクに工業生産特別経済区を創設し、産業インフラ整備に資金を提供する」
ロシアはアジア太平洋地域の経済統合を目指している。今回の経済特区創設もその一環だ。
ウラジオストクはロシア極東の主要都市で、中国や北朝鮮との国境に近い。極東沿海地方における最大の港にして、ロシア海軍の太平洋艦隊の母港。同時にロシア経済の主要なハブとしてアジア太平洋地域との経済問係強化にも貢献している。
報道によればロシアの経済特区は現在28カ所。内訳を見ると「工業生産時区6カ所、技術導入特区5カ所、観光レクリエーション特区14カ所、港湾特区3カ所」だ。「入居企業は税制上の優遇措置、輸送・社会・通関関連などの近代的インフラ、関税や付加価値税の免除、行政手続きの簡素化、優秀な人材の確保、入居手続きの簡素化などの恩恵にあずかれる」という。
ウクライナ危機で欧米との関係が揺らいでいる今、ロシアは「アジア重視政策(リバランス)」を加速させている。2月には極東開発を統括する極東発展省の権限を拡大。4月にはインドとの問で、原発事故が起きた場合の賠償責任をめぐつて難航していた原発建設計画が合意にこぎ着け、インドのシン外務次官もロシアを訪れた。インドはクリミアの危機に関してはロシアの言い分を大方支持している。
北方領土問題を抱える日本とも昨年、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を実施。3月には両国間の投資促進策を官民で話し合うフォーラムが開催されている。
3月にはガルシカ極東発展相が北朝鮮を訪問した。北朝鮮とロシアは北朝鮮南部の開城工業団地へのロシア企業の進出を協議しているという。
マレーシアとの経済協力強化も目指し、近々スホーイSu30戦闘機の納入も発表される見込みだ。マレーシアはロシアから防空ミサイルシステムを購入することにも関心を示している。
本音は中国牽制にあり?
ラブロフは4月にべトナムも訪れ、サン国家主席と会談。両国の包括的戦略的パートナーシップを再確認し、エネルギー貿易を特に重視することで合意した。ベトナムとの問では、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンが加盟する関税同盟との自由貿易協定(FTA)交渉も進んでいる。
ロシアがアジア重視政策を加速しているのは欧米の制裁に対抗するためだが、長い目で見ればアメリカとの関係改善につながりそうだ。両国の利害はヨーロッパでは対立しがちなのに対し、アジア太平洋ではほぼ完璧に一致する。インドやベトナムを支援して中国の脅威に対抗したいのは、ロシアもアメリカも同じだろう。
ただ同時にロシアは中国との関係も強化している。プーチンはロシアの最新鋭防空ミサイルシステムを中国に輸出することを原則として承認。実現すれば、台湾周辺などでの有事における中国の優位性は大幅に高まる。
過去約10年にわたって続いてきた中国との大塊模な天然ガス交渉もようやく妥結しそうだ。価格交渉が難航してきたが、5月のプーチンの訪中をにらんでロシア側が譲歩すると思われる。パイプラインを新設する必要があるものの、ロシアとしてはエネルギー輸出のヨーロッパ市場依存を緩和できるというメリットがある。
21世紀版「三角外交」の主役はロシアなのかもしれない。
ザカリー・ケック」
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