http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/529.html
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ウクライナ情勢の悪化を受け、ロシアは東アジアへの天然ガス販売を意識してパイプライン建設へ
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201404230000/
2014.04.23 櫻井ジャーナル
ウクライナと同じように、ロシアは朝鮮にも「貸し」がある。ソ連時代のもので、その総額は2012年9月17日時点で109億6000万ドル。その90%を棒引きにすることをロシア議会が4月18日に承認したという。
http://www.theguardian.com/business/2012/sep/18/russia-writes-off-north-korea-debt
残りは今後20年間で返済、この決定で生じる余力でエネルギー開発、健康対策、教育プロジェクトに使われるというが、最大の理由はサハリンから韓国へ天然ガスを輸送するためのパイプラインや鉄道の建設を推進することにあると見られている。ソ連時代から「シベリア鉄道」の計画はあったが、朝鮮がネックになっていた。鉄道は物流の柱になる可能性がある。
言うまでもなく、今回の決定にはウクライナ情勢が関係している。ネオコン(アメリカの親イスラエル派)がロシアに対する軍事的な圧力を強めるため、「国境なき巨大資本」がウクライナを収奪するためにネオ・ナチを使ってクーデターを実行、ロシアとEUとの貿易、特に石油/天然ガスの輸送を妨害する形になっている。東アジアへ販路を広げることによってウクライナの問題を軽減しようというわけだ。EUはきわめてまずい状況になっている、ということでもある。
ロシアから石油/天然ガスを手に入れられなくなると、EUはきわめて厳しい状況に陥る。アメリカから天然ガスを輸入すれば良いという意見もあるが、現実的には難しい。地中海東岸で発見された天然ガス田も開発は先の話であり、レバノンやシリアをまだ制圧できていない。
ネオコンに同調、ネオ・ナチを使ったクーデターを支持してロシアとの関係を悪化させればEUが窮地に陥ることは明らかだったが、キャサリン・アシュトンEU外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)などEUを率いている人びとはそうした道を選んだ。
キエフの状況を一気に悪化させたのは反ビクトル・ヤヌコビッチ政権派の活動家や警官隊(ベルクト)の隊員に対する狙撃。誰が撃ったのかということに関し、現地を調査したエストニアのウルマス・パエト外相はアシュトン上級代表に電話で次のように報告した:
「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」
暫定政権を支援してはならないということになるが、アシュトンは「議会を機能させなければならない」と応じている。つまり事実を隠蔽して議会を守るべきだというわけだ。暫定政権の背後には「国境なき巨大資本」が存在、そのプランを実現するためにはこの政権を存続させる必要があるということだろう。
その後、東部や南部でキエフのクーデター政権を拒否する動きが広がり、4月12日にはジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、その直後にアレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行は「テロとの戦争」を宣言、軍の部隊を派遣する。
作戦を指揮しているのはSBU(ウクライナ治安局)のバシリー・クルトフ将軍で、記者に対して降伏しない活動家は「破壊される」と語ったという。住民側が立てこもっていたクラマトルスクの空軍基地を急襲、4名から11名の死者が出たと伝えられているのだが、相当数の兵士が住民側につき、装甲車なども渡してしまったとも報告されている。
クーデター政権に反発している人が治安機関や軍の内部には少なくないということで、頼りはネオ・ナチを中心に編成された「親衛隊」や外国から雇い入れた傭兵。国家安全保障国防会議の議長でネオ・ナチとしても知られるアンドレイ・パルビーによると、「親衛隊」の部隊が東部や南部へ向かったという。アメリカの傭兵会社、アカデミ(旧社名はブラックウォーター)系列のグレイストーンから派遣された戦闘員もこの作戦には参加しているようだ。
要するに、「テロとの戦争」第1幕は失敗に終わったのだが、22日にジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問すると、第2幕が行われると宣言された。バイデンが帰国するのを待って作戦は始まるのだろうが、ネオ・ナチや傭兵を使った非正規戦が中心になるのではないだろうか。ラテン・アメリカの「死の部隊」、ベトナム戦争の際の「フェニックス・プログラム」、イタリアの「グラディオ」など、アメリカは住民虐殺が得意技。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリアでも多くの住民を殺している。
ウクライナが安定するのは先になりそうで、ロシアにとって東アジアの比重は重くなった。中国との関係はすでに強まっているが、新たなパイプラインを建設する目的は第1に韓国。日本も視野に入っているだろう。韓国までパイプラインで運べば、そこから東南アジア各国へも販路を広げることが可能。アメリカや日本の傀儡政権にとって「シーレーン防衛」、つまり海運のブロックはこれまでより重要になる。
アメリカの朝鮮へのアプローチも活発化するだろう。1990年代の朝鮮は外貨の大半を統一教会から得ていたといわれ、このカルト教団とブッシュ家との緊密な関係も有名。つまり朝鮮はアメリカ支配層とつながっている。1980年代にはイスラエルへカチューシャ・ロケット弾を売ったこともある。こうした人脈を使い、ロシアとの関係を壊しにかかるかもしれない。
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