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中東民主化の成功例とされたトルコのエルドアン政権が、強権ぶりをむき出しにしている。大規模汚職の発覚を発端にソーシャルメディアを遮断。それを差し止めた憲法裁判所に圧力を強める。民主主義に疑問符を付けた形で、欧州連合(EU)加盟交渉にも影響を及ぼしかねない。
「(命令は)履行しなければならないが、敬意は表さない」。エルドアン首相は4日、憲法裁が2日に出したツイッター遮断の解除命令に不快感を示した。
発端は昨年末、複数の閣僚が関与した大規模汚職が発覚したことだった。その際、エルドアン氏が資金隠しを息子に頼んだとされる盗聴音声などがネット上に公開され、政権は3月末、ユーチューブやツイッターを遮断した。
政権側は、捜査に携わった検察や警察の幹部らを数千人規模で異動させ、2月には、判事と検察官の人事をつかさどる委員会の権限を法務省に移管。判事や検察官の任命に、政権の意向を強く反映させる措置とみられる。
ただ、判事らは憲法で独立性が保障されている。政権の露骨な介入に対し、憲法裁は11日、「違憲の疑いがある」との判断を示すと、エルドアン氏は反発。憲法裁の権限縮小案をちらつかせながら、司法に圧力をかけている。
政権を支える親イスラム与党「公正発展党(AKP)」は、2011年の総選挙で勝利し、エルドアン氏は首相3選を果たした。同年にはチュニジアなどの独裁政権が民衆デモで倒れる「アラブの春」が起きたが、トルコは安定成長を続け、「イスラム政治の新たな民主化モデル」ともてはやされた。だが、強権色を強めつつあるエルドアン政権に対し、中東の新聞は「民主主義が多数による独裁に変わりつつある」と「悪い手本」に挙げ始めた。欧州委員会のフューレ委員は「欧州基準を守るというトルコの約束に疑いをかけざるを得ない」と発言。トルコのEU加盟交渉にも影を落とし始めている。
ソーシャルメディアの遮断にもかかわらず、AKPは3月末の地方選で勝利。この勝利で、エルドアン氏は初の公選で選ばれる8月の大統領選に向けた「足固めが出来た」と地元メディアは報じた。公職4選を禁じた党規約を変更し、さらに首相を続けるとの見方もある。
(イスタンブール=金井和之)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11094261.html
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