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ウクライナ経済、不安強く[日経新聞]
東部の工業、急減速 緊縮策、国民の反発必至
【モスクワ=田中孝幸】ウクライナ経済への不安が強まっている。同国政府は今年の実質経済成長率をマイナス3%と予測しているが、工業地帯である東部の混乱が長引けばさらに悪化する可能性がある。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はウクライナ経済を注視する方針で一致、各国の支援で年内の債務不履行(デフォルト)は避けられる見通しだが、先行きは不透明だ。
ウクライナの国内総生産(GDP)は約1760億ドル(約17兆6千億円、2012年)で、日本の約34分の1、ニュージーランドやベトナムとほぼ同規模だ。GDPの3割を占める工業は、ドネツクなど東部に集中、親ロシア派勢力による混乱で生産は大幅に減っているもよう。東部ではロシア向けの軍需産業や航空宇宙産業も盛んだが、対ロ輸出は急減しているとみられ、景気後退に拍車をかけている。
ウクライナは、国際通貨基金(IMF)や日米欧などが3月に今後2年で総額約270億ドル規模の金融支援を実施する方針を示したことで、当面の債務危機は脱した。
ただ、欧米ではIMFが融資条件とした構造改革をウクライナが断行できるか不安視する向きもある。ウクライナ新政権は3月、(1)年金などの社会保障給付やエネルギー補助金など約43億ドル分の歳出削減(2)企業への補助金削減(3)たばこ・酒税の引き上げ――などの緊縮策に踏み切る方針を公表した。国民の反発もあり、緊縮策を実施できなかった場合は支援凍結に至るリスクも残る。
ウクライナの対外債務は昨年末時点で1400億ドルに達する。一方、外国の債権者への支払いに必要となる外貨準備高は景気低迷で減少を続け、3月1日時点で150億ドルと底をつきかけている。6月に償還期限がくる10億ドルを含め、同国は年内に迫られる130億ドルの返済分はIMFなどからの支援で賄う方針。
新政権は13年に国内総生産(GDP)比4.5%だった財政赤字を16年までに2.5%程度に引き下げ、経済を持続的な成長軌道に乗せる戦略を描く。ただ、IMFから厳しい緊縮策を条件とした同様の支援を受けたギリシャはマイナス成長が長期化した。
ウクライナでは政情不安で設備投資が低迷しており緊縮策による内需減退が経済に追い打ちをかけるのは必至だ。欧米の市場関係者の間では「ウクライナでもギリシャと同じ失敗が繰り返される」との懸念が広がる。
ヤツェニュク首相は国会演説で「デフォルトになれば成長率はマイナス10%にまで落ち込む」と述べ、国民に緊縮策への理解を求めた。ただ、生活を直撃する緊縮策に市民の不満が高まるのは不可避とみられ、ロシア系住民が多い東部を中心に反政権運動が勢いづく可能性もある。
[日経新聞4月13日朝刊P.5]
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