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アジアが変える世界
安保強化へ「中印詣で」 軍拡競争消耗のリスク[日経新聞]
2014/4/6 2:00
「エジプトのスエズ運河が封鎖されても欧州に商品を届けられます」。昨年夏、イスラエル最南端の街、エイラート。ヤシの木が並ぶリゾート地でイスラエル高官が口説き始めた。相手は中国政府系インフラ大手、中国交通建設。エイラートから地中海までイスラエルを縦断する全長240キロの高速鉄道構想が進む。
■抑え役を期待
同国のネタニヤフ首相の側近、ヤコブ・アミドロール前首相補佐官(65)は「経済で結び付きが強まれば北京の意思決定者へのアクセスが容易になる」と話す。イスラエルにとって安全保障の要だった米国は軍事費削減で中東への関与低下が予想される。インフラ整備に中国を絡め、敵対する周辺国からの攻撃を抑止する抑え役にしようとする狙いが透ける。
アラブ側も中国への接近は急だ。サウジアラビア総合投資院のオスマン総裁ら同国閣僚は3月15日、北京の中国大飯店に集結。中国輸出入銀行、通信機器の中興通訊(ZTE)、華為技術(ファーウェイ)などと会議や商談を繰り広げた。会議の合間や夕食会でサウジ側がささやいた。「米国は代替不可能ではあるが、唯一無二ではない」――。
自国の安全保障を確保するためにしのぎをけずる外交の舞台。将来の「大国」との間合いは最重要事項の一つだ。
2月末、イランのザリフ外相はニューデリーを訪れ、イランとインドを結ぶ海底パイプラインの敷設を話し合った。天然ガスが余るイランにとってインドは潜在的な大口顧客。インドがイランへのエネルギー依存度を高めれば、外交でイラン側につくという計算もある。
中国は2020年代に国内総生産(GDP)で米国を抜いて世界一になり、インドも40年代に米国を抜くとの見方が有力になりつつある。GDP1位、2位の経済大国は軍事大国に変貌し、世界で強い影響力を持つ――。「中印詣で」はこうした見方の現れだ。
■武器輸出で潤う
3月1日。ロシアがクリミア半島の実効支配を強めようとするなか、ウクライナ政府は同半島で造っていた世界最大の揚陸用空気浮揚艇を慌てて中国に送り出した。ウクライナは先端兵器を欲しがる中国への武器輸出で潤い、12年に世界4位の武器輸出国になった。イスラエルは軍用機や無人偵察機などをインドに売り込み、この8年で同国向け武器輸出は45倍に増えた。
英軍事情報大手IHSジェーンズによると、13年の米国の国防支出は推定5824億ドル(約60兆円)。1392億ドルで2位の中国は15年に英仏独を合わせた額を上回る。462億ドルで7位のインドは20年に4位に浮上する。
領土や歴史認識を巡って対立するアジアには軍縮の枠組みがなく、歯止めのない軍拡競争が続く可能性がある。日本国際問題研究所の小谷哲男・主任研究員(40)は「アジアは国際法やルールに基づく国際関係を築き、相互不信を相互信頼に変えるべきだ」と話す。
欧米の世紀だった20世紀、英仏独は2度の世界大戦を引き起こして疲弊し、力を失った。冷戦時に覇を競った米国、ソ連も重い軍事費が足かせとなってソ連はすでに崩壊。米国の地位も揺らいでいる。アジアの世紀となる21世紀が、20世紀の繰り返しである必要はない。=この項おわり
梶原誠、村山宏、村山恵一、吉田渉、森安健、岩城聡、伊藤学、黒沼勇史、渡辺禎央、堀田隆文、佐野彰洋、鈴木淳が担当しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGU03006_T00C14A4SHA000/?dg=1
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