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3月31日、クリミア編入を強行したロシアとそれを非難する西側の対立は長期化の様相を見せており、ウクライナ危機は世界各国の姿勢や外交政策を変える可能性がある。写真は会談するオバマ米大統領(右)とロシアのプーチン大統領。メキシコで2012年6月撮影(2014年 ロイター/Jason Reed)
焦点:ウクライナ危機、世界を変える「10のシナリオ」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA3005X20140401
2014年 04月 1日 15:38 JST
[ブリュッセル 31日 ロイター] -クリミア編入を強行したロシアとそれを非難する西側の対立は長期化の様相を見せており、緊張が旧ソ連諸国などにも波及するリスクが出ている。ウクライナ危機は、世界各国の姿勢や外交政策を変える可能性がある。
世界情勢で大きく変わりそうな10項目を以下にまとめた。
1)ロシア衰退
国際情勢でのロシアの役割は、少なくとも一時的には小さくなる。ロシアは主要8カ国(G8)会合から事実上排除され、経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)への加盟申請も凍結された。
プーチン大統領は新興5カ国のBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の力を使い、西側によるロシア孤立化の影響を軽減しようとしているが、中国とインドはチベット問題やカシミール問題の「クリミア化」を懸念しており、BRICSも足並みはそろっていない。5カ国は共同声明で対ロシア制裁を非難したものの、クリミアやウクライナへの言及は一切なかった。
2)NATO復活
アフガニスタンでの役割が終わりに近づくにつれて存在意義が問われていた北大西洋条約機構(NATO)だったが、ここにきて息を吹き返している。ポーランドやバルト3国での合同軍事演習は拡大が検討されており、ポーランドは米国のミサイル防衛システムの中欧諸国への早期配備を望んでいる。
米国の圧力を受け、欧州各国の一部では、防衛費の削減が見直されるかもしれない。中立的なスウェーデンとフィンランドも、ロシアをあらためて潜在的な脅威と認識し、安全保障の取り組みやNATOとの協力体制を強化する可能性がある。
3)エネルギーの多様化
欧州のエネルギー地図は、ロシアへの依存を軽減する動きが加速し、書き換えが進んでいる。欧州連合(EU)加盟国は、液化天然ガス(LNG)ターミナルの増設やパイプライン網の改修、グルジアやトルコを経由した南欧や中欧へのガス供給の拡大に取り掛かっている。
EUは石油とガスの約3分の1をロシアから輸入し、そのうちの40%がウクライナを経由している。環境への懸念はあるものの、欧州は自前のシェールガス開発のほか、原発拡大も検討する可能性がある。
4)中ロ関係に変化
国連安全保障理事会でそろって拒否権を発動することの多いロシアと中国だが、2国間の外交関係は今後、以下の2つのどちらかに変わる可能性がある。1つは、欧州への輸出減でだぶつくロシア産の石油・ガスを中国へ輸送するパイプラインを新たに建設するなど、エネルギー分野での関係強化を通じて友好が進む可能性。一方、中国がプーチン大統領のやり方に距離を置き、経済が弱まって孤立化するロシアとの友好強化に魅力を感じなくなれば、2国間関係は冷え込む可能性がある。今のところ、習近平国家主席はどちらの態度も明確にしていない。
5)米国の指導的役割復活
新興国の台頭やオバマ政権下での外交政策転換で弱まった米国の国際指導力は、部分的に回復している。
オバマ大統領は、イラクやアフガンからの米軍撤退や戦略的なアジア重視路線を進めているが、欧州での「東西対立」により、旧態依然とした「自由世界の指導者」的な役割に押し戻されている。
またウクライナ危機により、米国が地球規模で行っていたスパイ活動に対する欧州各国の怒りは片隅に追いやられ、欧米の協力体制を新たに評価する機運が盛り上がっている。先週にブリュッセルで行われたオバマ米大統領とEU首脳との会談では、欧州からは、米国産シェールガスの欧州向け輸出や環大西洋貿易投資協定(TTIP)協議の加速などが話し合われた。
6)ドイツの立場が盤石に
ウクライナ情勢は、欧州におけるドイツの指導的役割を強固にした。ドイツは突出した経済力を背景にユーロ圏危機の対応で旗振り役を務めたが、メルケル首相は、欧州とプーチン大統領との対話でも中心的な役割を果たしている。
エネルギー分野でのロシア依存度を軽減したいドイツの思惑次第で、残りの欧州各国の出方も決まるだろう。メルケル首相はまた、ウクライナで次期大統領選への出馬を表明したティモシェンコ元首相とのパイプもある。
7)EUの結束強化
EUは、共通の外的脅威の復活により、少なくとも今のところは再結束している。それにより、欧州内での長期にわたる不和の一部は打開につながったかもしれない。
欧州議会のレベッカ・ハルムズ議員(緑の党)は、欧州統合に貢献した人物をたたえる「カール大帝賞」にプーチン大統領を推すのは時期尚早だとジョークを飛ばした上で、「しかし、欧州での新たな戦争の脅威に直面し、EU各国は対ロシア共同戦略で合意した」と語った。
複数の欧州外交筋によると、ポーランドはバルト3国にならい、欧州の核心部に避難場所を求めようとユーロ導入の動きを早める可能性がある。ポーランドが加入すればユーロ圏の拡大は加速し、スウェーデンと英国は別にしても、デンマークを含むほぼ欧州全域に広がる可能性がある。
8)中央アジアの西側陣営入りも
ロシアと西側はともに、アゼルバイジャンやカザフスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなど、エネルギー資源が豊富な中央アジアの独裁国家への関与を強めようとしている。もしロシアが経済的に弱くなれば、これらの国々は少なくとも、西側陣営への足掛かりを求めるだろう。
9)米ロ関係は不透明に
ロシアはさらなる孤立化への道は回避したいため、一部の地球規模の安全保障問題では、米ロの協力関係は続くだろう。しかし、シリアやイラン、アフガン、北朝鮮などでは、現地への「S300型」防空ミサイルの供給などロシア政府の出方次第で、事態が緊迫化する可能性はある。
10)プーチン大統領の将来
プーチン大統領の国民の人気はほぼ頂点にあり、クリミア問題では祖国を誇る国民感情をうまく利用した。しかし、渡航禁止や資産凍結など西側による制裁が効き始めて国民の不満が高まれば、国内情勢の不安定さは増す可能性がある。現時点では国民の多くがプーチン大統領を圧倒的に支持しているが、半年後には様相が一変しているかもしれない。
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