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分断・クリミアの衝撃:/上 ウクライナ政変3カ月前 EU、デモ隊に資金 ロシアの不信招く
毎日新聞 2014年03月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20140321ddm001030194000c.html
ロシアがウクライナ南部クリミア半島の編入を決めたことは、武力を背景に他国の領土を併合する「21世紀にあり得ない」(ヤツェニュク・ウクライナ首相)出来事として欧米に衝撃を広げた。冷戦終結後の国際秩序を揺るがし、新たな「分断」の構図ができつつある事態に、世界はどう向き合おうとしているのか。
「なぜ失敗をしたのか。反省する必要がある」。クリミア半島での住民投票の結果が発表された17日の欧州連合(EU)外相会議。こうした指摘が相次ぎ会議は沈黙に包まれた、と外交筋は明かす。「ロシアが軍事的選択肢を取るとは思ってもみなかった」。EU外交官は誤算を認める。
先月末にロシア軍とみられる部隊が半島に展開し、編入を問う住民投票が16日に実施されるまで半月余り。ロシアの速攻に欧米は右往左往した。なぜ目算を誤ったのか。ヘント大(ベルギー)のエルスウェヒ教授は「ロシアの不安を考慮しなかった油断」を指摘する。
ウクライナの首都キエフで反政府デモが激化したのは昨年11月。親ロシアのヤヌコビッチ大統領(当時)がEUとの「連合協定」への署名を拒否したことがきっかけだった。EUにはウクライナを加盟させる合意はなく、協定は改革を促すためのものだが、ロシアは「ウクライナをEUの勢力圏に置くのでは」と受け止めた。さらに、ロシアの疑心暗鬼をかき立てた水面下の動きが明らかになった。
EU本部のあるブリュッセルの住宅街。ここに本拠を置く「民主化のための欧州基金」は昨年11月以降、デモ隊に計15万ユーロ(約2000万円)の活動資金を提供した。非政府組織(NGO)だが、ポーランドなどEU12カ国とスイスが資金供給する。ポミアノフスキー事務局長は「EUでは動きにくいがNGOなら準独裁のヤヌコビッチ政権への抵抗勢力を支援できる」と毎日新聞の取材に話す。
2月中旬になるとデモ隊と治安部隊の衝突で多くの犠牲者を出し、EUを代表した独仏ポーランド3カ国の外相とヤヌコビッチ大統領、野党指導者が同21日、大統領選前倒しなどで合意した文書に署名した。しかし、市民に拒否され、過激派が大統領府を占拠、ヤヌコビッチ氏はロシアに逃走した。「崩れかけた家の礎石が引き抜かれた」(EU加盟国高官)と形容される合意崩壊に、ロシアは「裏切られた」(エルスウェヒ教授)と思い強硬策を決断したとの見方が有力だ。ロシアのプーチン大統領は今月18日の演説で「欧米は一線を越えた」と批判した。
だが、欧米は勝利感に酔い、ロシアが警戒する極右勢力も加わった新政権の承認と支援を急いだ。在任中にロシアと蜜月関係を築いたシュレーダー前独首相は「ロシアを知らなすぎる」とEU外交を非難する。
◇
「第二次世界大戦前夜を振り返るべきだ」。ケリー米国務長官は18日、クリミア編入を戦前のファシズム台頭になぞらえ「再び頭をもたげないよう努力したのが大戦後の歴史」と述べた。1989年の冷戦終結後、旧ソ連の崩壊や東欧諸国のEU加盟など世界の構図の変化では欧米の価値観が優位にあった。今回の事態は、米国には「冷戦の敗者」であるロシアが歴史に逆行し、「帝国の復権」をかけた戦いに打って出たと映る。その視点はロシアの痛みに鈍感な「勝者のおごり」と表裏をなすものだ。
東西冷戦下でソ連に対処した米政治家は後手に回った欧米の「失政」を指摘する。19日、ワシントンでのシンポジウムで、カーター政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたブレジンスキー氏は「状況を沈静化させないと、(ウクライナ全土介入など)次の段階に進むかもしれない」と警告した。フォード、ブッシュ父政権で同補佐官だったスコウクロフト氏は、プーチン大統領の欧米への不信を理解せずにウクライナ問題に対応してきたと批判し、こう切り捨てた。「怠けてきたツケが回ってきた」
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<参照>
クリミア問題とロシア(浅井基文)
2014.03.09
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/584.html
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