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●クリミアの住民投票でロシア編入賛成派が圧勝した事を受け、クリミア&ロシア対ウクライナ新政権との軍事衝突の可能性がある。
●これを避けるためには、調停者が必要となるが、安保理常任理事国が当事者のため国連は機能せず、これまで沈黙を守ってきた中国が調停者として浮上する可能性がある。
これは中露の紐帯を強めるため、日本としては断固阻止しなければならない。
●日本は一応西側のスタンスを取ってはいるが、実質上の調停者となる資格は十分にあり、北方領土問題を優位に進めるためにも、プーチンとクリミアの地位の落とし所を今から腹合わせしておくべきだ。
●同時に、中国が今回のクリミア問題を材料に尖閣、沖縄収奪計画の正当化を図って来るため、日本はこれらとクリミアの違いを歴史的、法的、状況的に峻別し説明する準備をしなければならない。
◆クリミアの大義◆
16日、クリミア自治共和国と、これに隣接するロシア海軍基地のあるセヴァストポリ特別市でロシアへの編入を問う住民投票が行われ、編入賛成派が圧勝した。
ウクライナ新政権は、クリミアの離脱は憲法違反としており、独自の国軍の編成を図っているクリミア及びロシアと軍事衝突する可能性がある。
プーチンの腹は何処にあるのか明確ではないが、セヴァストポリの海軍基地恒久使用を担保する事により戦略上の目的の大半は達成出来る上、クリミアの併合は国際政治上のリスクだけでなく経済的にも大きな負担となる(3000億円とも言われる)ため、クリミアの「高度な自治」で妥協する余地がある。
クリミアは元々ロシアの領土だったものを、ソ連時代に主に行政上の理由でウクライナに帰属させた経緯があり、ロシア系住民が大半を占める事、ウクライナ新政権からロシア語を公用語から除外する等の差別的決定、迫害の危険も加えて、住民投票によるウクライナからの分離独立は歴史的、国際法的、状況的に応分の正当性がある。
これらの点が、中国の尖閣、沖縄収奪計画と一線を引く要素であり、日本はクリミア調停に乗り出すと共に、この違いを更に明確に国際社会に説明すべく、事実確定、理論構築、広報・外交戦略を組み立てねばならない。
◆北方領土へ◆
昨秋クレムリンで行われた安倍・プーチンの第2次安倍内閣発足後初会談において、プーチンは日露通行条約が締結された1855年産のワインを供した。
この条約は、日露国交発足であると共に、南千島のみならず樺太の言わば日露共有を謳ったものだった。
ここに、柔道家プーチンが得意とするダブルミーニングの謎掛けがある。
「この謎を破って、もっと踏み込んで来い。」
「でなければ、ロシア国民の手前、落とし所の糊白が作れないではないか。」
北方領土問題の解決は、端的にいえば日本が出すシベリア開発資金の金額と、幾つの島を何時交換するのかに尽きる。
「国際的大義を伴う長期的国益の追求」
外交の要諦は、万古不変だ。
この原則の下にある限り、今回のクリミアを巡るロシア、米国、EU、中国のパワーゲームに、安倍総理はもっと踏み込んでよい。
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