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エジプトの不安定化とサウジアラビアの未来
最近エジプトのニュースが出てこない。シリアのニュースが一時盛んに出てきていたが、今はウクライナのことが圧倒的で中東のニュースはほとんど出てこない。しかし、あいかわらず世界の火薬庫は中東であり、何か大きな変化が起こるとしたら中東だ。
今春の内には、エジプト軍幹部が大統領選に出馬し、正式に選挙を経た政権を自ら作るという。エジプトは中東一帯ではイスラエルを除いて最も工業生産が盛んな国だ。だから、中東のほかの国から投資がされる。( Saudi and UAE to invest in Egypt's technology zone https://www.zawya.com/story/Saudi_and_UAE_to_invest_in_Egypts_technology_zone-ZAWYA20140305100456/ )
本来、中東を含めたアラブ諸国の盟主として機能するはずだった国がエジプトだ。ところが、サウジアラビアなどの産油国の石油産出額がエジプトの化石資源よりも先に開発された関係でエジプトは他の湾岸諸国ほどは化石燃料からの富を得ていない。それでもエジプトではかなり大きな天然ガス田が今開発されつつあるという。( エジプト基礎情報〜産業 http://www.eg.emb-japan.go.jp/j/egypt_info/basic/sangyou.htm ) だから、今後、エジプト政府としては自国の天然ガスを高く西欧へ売りたいと考えることになる。軍部が正式に政府を作れば、当然、中東情勢を不安定化させて、サウジアラビアやウクライナを通じたヨーロッパへの輸出を妨害する方向で動くだろう。
3月8日にマレーシアから中国へ向かうボーイング777機が行方不明になるという事件が起こっているが、明らかに中国への圧力だ。安倍政権成立直後にアルジェリアでガス田テロが起こり、日揮社員が10名殺されたが同じような意味での脅しだろう。もちろん、こういった事故を日本国内のいろいろな人への脅しとしても利用しているはずだが、それはガス田テロが中国の実業家へ与えた影響と同じようなものだ。
中東への利権には西欧諸国や日本、中国が主に関わっている。ウクライナからヨーロッパへの天然ガス供給が止まれば、多くの西欧諸国には中東からのエネルギー輸入を増やしたい、つまり、中東利権を握りたいという欲求が強くなる。中国には、ロシアからヨーロッパへ売れなくなった天然ガスを安く買えると説得すればいい。日本も、ロシアへの経済制裁に乗らなくていいから、中東乗っ取りに口を出すなと脅すことが出来る。
サウジアラビアの王族は大変なぜいたくをしている。しかし、その地位は欧米により与えられたものであり、彼ら自身の実力はない。だから、サウジ王族の権力基盤はかなり脆弱だ。エジプトのイスラム同胞団はスンニ派だ。サウジアラビアも一応スンニ派であり、エジプトからイスラム同胞団の活動家がサウジアラビアへ密入国し、サウジアラビアでイスラム同胞団の活動が活発化、それに対してサウジ王政が押さえつける動きに出ることでサウジ情勢が緊迫化する。そこへシリアやイランのシーア派が多少でも介入すれば一気にサウジ王政は打倒されるだろう。
サウジ王政が打倒されれば、その後は欧米の石油資本が入って実質的に資源支配をすればいい。中東の資源管理を独占することで、アメリカ国内でのシェールガス開発でかかった費用をかなり捻出することが出来るはずで、サウジ王政打倒が済めば、ドル高へ一気に舵を切るはずだ。
つまり、その頃に円売りが起こる可能性が強く、日本が財政再建に欠けることが出来る時間はもうあまりない。
2014年03月09日12時40分 武田信弘 ジオログのカウンターの値:44225
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