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ロシア、ウクライナ全土の支配狙う 経済でも圧力
2014/3/3 0:48
ロシアのプーチン政権は軍の展開だけでなく、経済でも圧力を強めてウクライナの親欧米政権を揺さぶる。狙いは南部クリミア半島の掌握にとどまらず、ウクライナ全体を勢力圏に取り戻すことにある。
プーチン政権がウクライナ情勢を巡って緊密に連絡を取る人物がいる。中国の習近平国家主席だ。ロシア政府筋は「中国はウクライナの新政権を認めないロシアに同調した」と主張する。
中国はウクライナ情勢について「内政不干渉」を強調するが、共産党の機関紙、人民日報は2月27日付の社説で「(ロシアを敵対視する)時代遅れの考え方を捨てるべきだ」と欧米を非難した。
ウクライナはデフォルト(債務不履行)危機に直面する。欧州連合(EU)は日米に加え、資金力のある中国にも支援を要請中。プーチン氏は軍事行動の前に中国に根回しをしたとみられる。
プーチン政権が軍事介入を決めた1日、国営天然ガス会社ガスプロムはウクライナ向けのガス輸出価格を引き上げる方針を発表した。
東欧の外交筋は「ロシアは欧米の反応を試しながら、複数の計画を用意している」と分析する。まずはクリミアの掌握。次に東部のロシア系住民に反新政権デモをけしかけ、軍を展開することも視野に入れていると見る。2008年8月のグルジア侵攻では、ロシア軍は挑発に乗ったグルジアの首都近郊まで攻め込んだ。
「ジョージ、君はわかっていない。ウクライナは国家ではないんだ」。08年4月、プーチン氏は当時のブッシュ米大統領にこう訴えたという。
「大国再興」を掲げるプーチン氏はウクライナやグルジアなど旧ソ連諸国を勢力下に置くことを外交の柱に据える。中でも旧ソ連第2の大国ウクライナはロシアの“核心的利益”。首都キエフはスラブ国家発祥の地でもあり、ロシア離れは受け入れられない。
グルジア侵攻時と比べ、プーチン政権の基盤は弱まっている。13年の経済成長率は1.3%にすぎない。2月の世論調査では、73%がウクライナへの介入に反対した。
プーチン氏は欧米の足元を見ている。ロシアの軍事行動の行方は、欧米が結束できるかどうかにかかっている。
(編集委員 古川英治)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0201W_S4A300C1NN1000/
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