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世界中で中国人の移民ブーム メリットとデメリット
2014年02月19日13:55
カナダ政府が11日、30年間近く続いた投資移民プログラムを中止する計画を明らかにし、移民を申請中だった5万人以上の中国人の夢が砕かれた。しかし、カナダ移民局のクリス・アレグザンダー大臣は14日、「世界の移民計画者、特に中国大陸部や香港の移民計画者に対して、我々は『今でも皆さんを必要としている』というメッセージを伝えたい。当国の移民制度は、ビジネス目的の移民に対して開かれており、中国の富裕層が歓迎されていないと感じることを望んでいない」との見方を示した。
カナダが同プログラムを中止した一方で、オーストラリア、スペイン、ギリシャなどが移民政策の緩和を実施し、富裕層の財布を狙って、中国からの移民受け入れに力を入れている。そして、カナダが同計画を中止したことも、名目を変えて、移民権取得に必要な投資額を大幅に引き上げただけのことになると見られている。しかし、「お金」以外に貢献度が低い中国の富裕層が移民として殺到し、困惑している国も多い。米国領のサイパン諸島もビザなしで45日以内の滞在が可能な上、米国領で生まれた赤ちゃんには両親の国籍を問わずに米国籍が与えられるため、中国人妊婦の訪問が増加。サイパンの新生児の71%が中国人によるものとなっているという。環球時報が報じた。
「富豪大歓迎」
近年、中国の富裕層の間で移民ブームが起こり、中国国内外のメディアの注目を集めてきた。長者番付などを発表している中国の胡潤(フージワーフ)研究院の調査によると、中国で「千万富豪」と呼ばれる資産1000万元(約1億7千万円) 以上の富豪のうち、約46%が移民に興味を示し、うち14%が既に何らかの行動を起こしている。富豪に人気の移民先トップ2は米国(40%)とカナダ(37%)で、以下、シンガポール(14%)、欧洲(11%)と続いた。英国放送協会(BBC)は1月、「昨年、100万ポンド(約1億7千万円)を英国の銀行に預金することで投資家ビザを取得できるプログラムを利用して、中国人171人が移民となった」と報じた。これらの富裕層の移動は、「子供の将来」や「財産の安全」を考慮してのことだった。
現在、多くの国が、米国英放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が9日発した「超富豪をアメリカにください」というようなスローガンを掲げ、中国の富裕層呼び込みに力を入れている。多くの調査は、1000万元以上の財産を有する中国の富豪の半数以上が既に移民となっているか、移民の計画中であることを示している。それに呼応するかのように、世界各国が居住権を「販売」するなどして、中国の富豪呼び込みに力を入れ、商業や経済の継続的な成長を促している。オーストラリアは最近、高額投資者向けの移民計画を打ち出し、実施から1年の間に545人が申請。その9割が中国の富豪だった。オーストラリアは中国の富豪呼び込みに力を注ぐ国の1つにすぎず、米国や英国、スペイン、ポルトガル、ケイマン諸島なども中国の富豪が移民になりやすい制度を取っている。
英国では、投資プログラムを利用して移民になるのはハードルが高い。VOAによると、英国の移民ビザを取得するには最低100万ポンドが必要だ。それにもかかわらず、多くの中国の富豪がそれを申請している。過去1年間で、申請者の数は25%増加。うち、中国人の増加は幅が最も大きく、前年比80%増となった。英国のジョージ・ オズボーン財務相は昨年10月に訪中した際、中国人向けのビザ手続きを簡素化する方針を示した。ある英国誌は、「同国で増加の一途をたどっている中国人の数を軽視できない」と指摘している。また、英国の商業界も最近、現行のビザ発給体制では、中国の富豪を十分に呼び込むことができないとの声を上げている。オズボーン財務相は、ビザ発給要件緩和により、中国からの観光客が増加すること以外に、富裕層の英国での投資が増加することも望んでいる。オズボーン財務相はさらに、マンチェスター空港周辺開発に中国が参加し、ジョイント・ベンチャーを立ち上げる事で合意したと発表。開発に関わる金額は合計8億ポンド(約1368億円)とされている。このようにして、「ロンドンは大歓迎」というメッセージを富裕層に出していることに疑問の余地はない。
資金の調達が急を要する欧洲各国も、中国の富裕層「争奪戦」に参戦し、移民のためのハードルをどんどん下げている。キプロスやポルトガルは経済危機に面しており、移民のための要件を大幅に緩和している。例えばキプロスは、30万ユーロ(約4200万円)以上の住宅型不動産を購入し、3万ユーロ(約420万円)以上の3年定期貯金があれば、投資移民の申請ができる。一方のポルトガルも、海外からの投資を呼び込み、経済を刺激するため、12年10月に「ゴールドビザ計画」を実施。現地の不動産に50万ユーロ(約7千万円)以上を投資するか、業務に100万ユーロ(約1億4千万円)を投資すれば、ポルトガル居留権と就労ビザを取得できる。統計によると、12年年末から13年の10月の間に、ポルトガル当局は同ビザを560人に発行した。その9割が中国大陸部と香港の富豪で、その投資額は2800万ユーロ(約39億円)を超えている。ギリシャの開発・競争省のノティス・ミタラキス副大臣は最近訪中した際、中国の富裕層の呼び込みを目指し、移民に関する新政策を伝え、地中海の優雅な環境やEU加盟国間のビザなし旅行などを武器に宣伝を行った。
中国からの移民居住区を避けて暮らす現地人
中国の富豪の間で移民ブームになっていることに関して、フランス紙「フィガロ」はこのほど次のように指摘した。「世界で最もお金儲けがしやすいのは中国。しかし、そこで富を築いた富豪は、海外での生活を夢見ている。中国の不動産ブームが多くの人を一夜にして富豪にした。しかし、それらの富豪は移民に高い関心を示しているにもかかわらず、海外での生活にはなかなか慣れない。ある海外の中国学者は取材に対して、『多くの中国の富豪が移民となり、外国人として生活している。資金も海外に移動しているはずだ。しかし、実際には、彼らは現地の社会や経済の循環に溶け込んでおらず、納税もほとんどしていない。現地で雇用を創出することも少なく、その多くが仕事や生活の中心を中国に置いている。多くの資金が海外で『消毒』された後、『外資』という形で中国に戻っている。それだけでなく、これらの移民は移民先の不動産価格を引き上げ、現地の物価を高騰させるなど、社会問題にもなっている』と指摘した」。
移民事業を行っているオーストラリアの「Ausfeng」の専門家で、同国の移民協会の会員・馮敦平博士は「環球時報」の取材に対して、「現地人の多くが中国人が来て、物価、特に不動産が高騰することを懸念している」と指摘している。統計によると、中国からの移民によるオーストラリアの不動産投資は過去1年間で370%増加した。シドニーの海岸沿いの300万オーストラリアドル(約2億7600万円)以上の不動産のうち、4割を中国からの移民が購入した。現在、オーストラリアでは、不動産の建設が完了するまでに予約が殺到する状態になっている。そのため、デベロッパーは、販売代理店1社につき、数件の不動産しか販売できないように規制している。このような状態に、現地人は反感を募らせているという。さらに、現地人は正直なところ、中国からの移民を歓迎しているわけではない。1つのコミュニティに華人が増加すると、現地人は引っ越してしまうのだ。シドニーのハーストビルやアッシュフィールド、バーウッドなどでも、移民が原因で現地人が減少していることを、現地メディアがたびたび報道している。
もちろん、中国の富裕層に対しては、羨む気持ちのほかに、「ねたみ」や「恨み」も隠されている。スペインで昨年出版されたある本のサブタイトルは、「中国人の商業成果とスペイン・欧洲経済犯罪の関係」で、「なぜ多くのスペインのバーが中国人に制圧されているのか?」、「経済が悪化しスペイン人の企業が次々に倒産している現在、中国人が経営する店が増加しているのはなぜか?」という質問で始まる。
中国からの移民をめぐる、ドイツのウェイルバーグの経験も興味深い。フランクフルトに近いウェイルバーグは05年より、中国人向けの移民プロジェクトを実施した。その条件は非常に魅力的で、2万5千ユーロ(約350万円)を投資し、新会社を設立するだけで良い。ただし、現地に5つのポストを用意しなければならない。同プログラムが始まると、この人口数万人の小さな街に、100社に上る中国の会社が登場し、その経営分野も貿易や文化交流、技術の売買など多岐に及んだ。ところが、これらの会社のほとんどがダミーであることがすぐに判明する。スタッフを雇うこともなければ、実際の売買も行われていなかったのだ。そして、現地に居住することさえしていない人がほとんどだった。現地紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」は、「中国の富豪は、ドイツに住みたかっただけだで、雇用の創出にはつながらなかった」と指摘した。数年後、ウェイルバーグは、実際にはビジネスを行っていなかった中国人の移民ビザを没収し、同プログラムも中止となった。
富豪の中国からの移民がピークへ
馮博士は、「中国からの移民が移住先の経済に大きく貢献していることに疑問の余地はない。少なくとも、多額の資金が持ち込まれ、経済発展に寄与する。移民には、メリットがあればデメリットもある。オーストラリアにおいて、留学生や移民で最も多いのが中国人。中国人観光客も増加している。今年の春節(旧正月。今年は1月31日)に合わせた大型連休期間中、約5万人の中国人観光客がオーストラリアを訪問し、多くのお金を落としていった。しかし、ホテルや旅行者の車両、レンタカーなどが不足し、現地の人々の生活にも影響が出た。そうは言っても、オーストラリアの国策は移民を歓迎している。政策から見ても、中国人がオーストラリアに移住する時の障害はない」との考えを示している。
中国社会科学院の院長助手を務める、郝時遠・研究員は17日、「環球時報」の取材に対して、「グローバル化が進む現在、移民を世界中で見ることができる。一国の移民の現象を簡単に語ることはできない。実際には、現在、海外で移民として暮らす中国人は主に『労働者』で約70%を占め、生活のために海外に身を寄せている状態。その次が、技術者として、または投資者として海外に住む人」とし、「今後は前者が縮小し、後者が増加するだろう。そうなれば、本当の意味での中国人の移民ブームとなる。移住することは往々にして、家族の発展を総合的に考慮して決定される。中国国内の社会や環境問題を背景に、一部の人はさらなるチャンスを海外に求める。これは個人の選択の自由。今後、中国は改革を進め、チャンスや保障を通してさらに多くの民営資本引き留めを図る。海外に移住するのか、中国に残るのか、これは個人の自由。多くの国が政策を制定して移民の呼び込みを行っている。移民政策の調整は主に、その国の需要や移民の現状に基づいて行われる。中国の移民ブームに的を絞っていると考える必要はない」との見方を示した。 (編集KN)
「人民網日本語版」2014年2月19日
http://j.people.com.cn/94475/8540499.html
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