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http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700/13413026.html
横浜、傾きマンション、杭基礎が支持層に届いていないと言うことは本当か?
「傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社」
2015年10月15日03時09分( http://www.asahi.com/articles/ASHBG4VXPHBGULOB014.html )によると、今回言われているのは次のようなことです。
>横浜市などによると、傾きが判明したのはこのうちの1棟。昨年11月、別の棟への渡り廊下の手すりがずれていることに住民が気づき、三井側が調べたところ、建物の片側の手すりが2・4センチ、床面が1・5センチ低くなっていた。この棟に52本ある杭のうち28本を調べると、6本が支持層に届いておらず、2本も打ち込みが不十分だとわかった。さらに、三井側から今月になり、杭の施工記録が差し替えられていたと市に報告があったという。
>このマンションでは杭を打ち込むための掘削時に支持層に到達したかを判定するため、ドリルの電流値を記録する方法がとられた。ところが三井側が施工記録を点検すると、複数の杭の数値が不自然に似通っていることが発覚。問題の棟の10本を含め3棟で計38本の杭の施工記録が、支持層に届いている別の杭のデータを転用して加筆したものだったという。
事実としてはっきりしているのは、手すりのずれなど、マンション建物の傾きがあるということと、杭打ち時のドリルの電流値記録を使いまわしたことの二つです。地下に埋まっている杭を掘り起こして、それが支持層に届いているかどうかを実際に目視確認したわけではありません。
では、「6本が支持層に届いておらず、2本も打ち込みが不十分だ」ということをどうやって確認したのでしょうか。杭打ちを担当したとされるベテラン社員の方は記憶があいまいだという話をしているということです。また、ドリルの電流値記録を使いまわしたのは、雨で記録紙が濡れてしまったり、そもそも、電流値を記録する機器がうまく作動しなかったりしたからだということです。
「国交省によると、誤った地盤のデータを基に杭を打ち込んだことが傾いた原因とみられる。」( http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151014/dms1510141534010-n1.htm )ということですが、「誤った地盤のデータ」とはどういう意味でしょうか。
杭が支持層に到達したかを判定するためのドリルの電流値とは、支持層は硬いため、ドリルで掘削するためには大きな電流値になること、そして、支持層に杭が打ちこまれた長さに比例した大きな電流値の期間があることの二つが正常な杭打ちが行われたことの証拠となるはずです。地盤の中には不規則に砂や粘土、小石などが混ざっていますから、杭ごとにドリルの電流値の値の変動は異なるのです。二つの杭のデータを比べて変動の仕方が全く同じと言うことはあり得ず、同じであると言うことはどちらかのデータをコピーしたという意味になります。
「支持層に届いている別の杭のデータを転用して加筆した」ということの意味は二つあります。杭が「支持層に届いて」いない場合、その杭のドリルの電流値データ全体が他の杭のデータからの使いまわしであったということでしょう。「打ち込みが不十分」とは、電流値の大きな期間の一部で他の杭のデータが使われていたと言うことのはずです。
今回の一連の報道で抜け落ちていることがあります。一つは杭の長さです。もう一つは実際の地盤状況です。今回、工場で製造した杭を現場で打ち込んだということです。工場で製造したとき、杭の長さはどうやって決めているのでしょうか。地盤のデータは都道府県単位である程度のことは既に調査がされています。支持層がだいたいどの程度の深さにあるかは分かっているのです。そういったデータをもとに、マンションの敷地内を改めて調査し、杭の位置ごとに支持層がある深さを推定して杭の長さを決めているのです。「誤った地盤のデータを基に杭を打ち込んだ」とは、結局のところ、くの製造時に、「誤った地盤のデータを基に」杭の長さを決めていたということではないでしょうか?
なぜ、こんなことが起こったのでしょうか。杭の位置ごとに支持層の深さを求めるのは結構大変です。一番確実なのは、実際に細い孔を掘削して支持層の深さを確認することですが、相当な手間がかかることは明らかです。地下の支持層の分布は、普通、同じような状態ですから、敷地の四隅で支持層の深さを実際に確認し、その四点を結ぶ平面上に支持層が広がっていると仮定することはそれなりに合理性があると思います。
実際の杭の製造は、基本的にメートル単位で行われている様子です。支持層の深さが9メートル20センチであろうと、9メートル70センチであろうと、11メートルの杭があれば大丈夫だと言うことでしょう。反対からいうと、杭の長さに余裕があるため、支持層の深さを正確に求める必要がないということにもなります。
今回のマンションは4棟のうち3棟がほぼ東西方向に平行になっていて、もう1棟が3棟の西側にほぼ直角に配置されていた様子です。そのため、敷地全体の形はほぼ四角形であるようです。敷地調査の段階で、4棟全体の敷地の四隅の支持層の深さのみを実際に確認し、全体の支持層の深さ分布を推定したのではないでしょうか。棟ごとにそれぞれの敷地の四隅で支持層の深さを実測していれば今回の様な問題にはならなかった可能性があります。
さて、以上の様な可能性があるのですが、この記事の目的は、2011年の東北地方太平洋沖地震の影響があったのではないかというものです。こういった疑問を持つきっかけは、なぜ杭の長さや支持層の深さが報道に全く上がらないのかでした。
今回のマンションで支持層と言われる地盤がどのような地盤を意味しているのか不明ですが、一般的に横浜市の場合、土丹層という泥岩の岩盤層が地表から30メートル以内に分布していることが多く、この土丹層を支持基盤としている場合が多いようです。
土丹層はそれ以外の地盤と比べて相当に硬いため、地震の縦波の影響を受けやすい様子です。遠隔地で起こった地震でも、地震の横波が土丹層に当たると、土丹層内に地震縦波を発生させることがあるのです。
阪神大震災では、工事の途中のため地面に打っただけで杭の上に何も建物が載っていない状況で、杭の地中に埋まっている部分に水平にひび割れが発生するという現象がかなりの数観察されています。これは、地震縦波が杭に伝わり、杭の上端をハンマーで内側から叩くように突き上げたたためだと考えられています。
地震縦波の影響で、鉄筋コンクリートの柱の段落し部(柱に縦に入っている主鉄筋の本数が柱の中間部では少なくなっているが、その部分のこと)、または上端や下端が粉々に破壊され、鉄筋の内側のコンクリートが柱の外側に弾き飛ばされてしまうことがあるのです。
同じようなことが地中の杭で起こっている可能性があります。杭基礎の場合、建物の柱が杭の上にのっているのですが、境目にフーチングというコンクリート製の基礎板のようなものをかますことがあります。この板と杭の頭の間にずれが出てしまうこともある様子です。
首都直下地震のような直下型の地震が発生すると、地震縦波の影響をとても強く受けるはずです。現行の地震対策では全く地震縦波は考慮されていません。既に建設されている建物について、地震縦波対策を追加することは不可能であるはずです。出来ることといえば移転しかありません。
なお、積層ゴムを高層建築物の基礎部分に挟み込む工法がありますが、あくまで横揺れ対策です。縦波被害を防ぐ効果があるかどうかは不明です。
2015年10月17日12時00分 武田信弘
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