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2014年に噴火した御嶽山。その噴火警戒レベルは「1」だった〔photo〕gettyimages
御嶽山はなぜ噴火警戒レベル1だったのに噴火したか 火山国で暮らす私たちが知っておきたいこと(5)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45243
2015年09月15日(火) 日本火山学会 現代ビジネス
なぜ噴火警戒レベル1だった御嶽山は噴火したのか? これまでの噴火の「間隔」から予測はできないのか?
このたび刊行される日本火山学会編『Q&A 火山噴火 第二版』から、誰もが気になる疑問をピックアップ、6日連続で本書の一部を特別公開します(第5回)。
噴火警戒レベルってなに?
【Q105】 噴火警戒レベルはどのように運用されるのですか? 2014年の御嶽山ではレベル1(平常)のままだったのに噴火してしまいましたが、どうしてですか?
――A 噴火警戒レベルは、噴火が起きた場合の影響の範囲の大小で、レベル1から5まで定めています。
通常の状態がレベル1ですが、活火山であることを踏まえ、火口に接近する時は注意が必要です。2014年の御嶽山の噴火の後、レベル1の「平常」という言葉は、「安全だ」と誤解されるおそれがあるため、2015年5月18日より「活火山であることに留意」という表現に変更されました。
レベル2、3は火口周辺への影響、レベル4は火山周辺住民の避難準備、レベル5はそれらの住民の避難が決められています。警戒レベルを上げるには気象庁が火山ごとに規則を設けていて、それに基づいて実施しています。
御嶽山の2014年9月の噴火の約半月前には地震回数が多くなる前兆現象が認められましたが、2日ほどで回数が元に戻ったこ とと、前回の噴火の前に見られた山体が膨らむ現象が観測できなかったためにレベルを上げませんでした。
噴火ごとに前兆現象の現れ方が異なるのも、小さな水蒸気噴火の特徴かもしれません。
【Q115】 噴火から次の噴火までに時間がかかる火山と、そうでない火山とがあります。その間隔から噴火を予測できるのですか?
――A たとえば有珠山と三宅島は、噴火と噴火の間がそれぞれ30年ぐらいから20年ぐらいと、比較的短い火山です。このため、現在までに何回も噴火が観測された経験があります。それらの記録に基づいて、次の噴火がいつ来るのか、おおよその目安をつけることができます。実際に有珠山や三宅島では、地震や地殻変動の観測が強化されていました。
一般に噴火が起こるのは、マグマの供給と、マグマに働く力の関係でいうと、主に次の3つが原因となります。
(1)マグマ溜まりの中には、もっと深いところから絶えず少しずつマグマが供給される。マグマの圧力が高まり、耐えきれなくなったところで、地表に達する通り道をつくって噴火する。
(2)マグマ溜まりの中のマグマが過剰にならなくても、広い範囲にわたる地殻変動など火山活動以外の理由によって、マグマ溜まりにかかる力が増して、しぼりだされて噴火にいたる。
(3)火山活動以外の理由によって、逆にマグマの通り道にかかる力が弱くなり、マグマが容易に上昇できるようになって噴火にいたる。
(1)のようなしくみが続いていて、しかも時間あたりのマグマの供給量が一定ならば、噴火が同じような間隔をおいて起こることは理解しやすいと思います。
たとえば、有珠山の噴火を考えてみましょう。仮に、最近の有珠山のマグマ供給量自体が増加して、(1)のしくみで噴火にいたったとすれば、噴火の規模(噴火にかかわるマグマの量)は特別に小さくはないと考えられます。
また、(2)または(3)の理由で噴火して、マグマの供給量が一定な場合、前の噴火以降、マグマ溜まりの中に蓄えられていたマグマの量は少ないと考えられるので、全体としてやや小規模な噴火で終わる可能性もあります。
ただ、噴火の間隔の規則性については、残念ながら現在、そのしくみを十分に説明できているわけではありません。
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