http://www.asyura2.com/14/jisin20/msg/855.html
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(回答先: 当たって当たり前?「MEGA地震予測」を科学的にどう見るか 投稿者 taked4700 日時 2015 年 9 月 14 日 12:36:59)
元記事では、上の図に、
>宇佐美の過去1年間の楕円体高を示してみます。
>ご覧のように、昨年も7〜8月に非常に大きく値が上下していることが分かります。あるときは+3cm近くになり、すぐに-4cmほどにまで下降しています。このように、昨年も値は大きく変動しましたが、実際に地面が動いたわけではなく、いずれも単なるノイズ変動です。
との説明が付いています。
http://blog.goo.ne.jp/geophysics_lab/e/98691b7b417e3670144d0d61fe544e41
「週刊MEGA地震予測」の内容は、全く信頼できません
2015年08月14日 | 地震予知研究(村井俊治氏・JESEA)
※8月18日後記 国土地理院に回答を頂いた内容を踏まえて、一部加筆しております(赤字部分)。
電子基準点のデータから地震予測サービスを行っている村井俊治氏らJESEA(地震科学探査機構)が、有料メルマガ「週刊MEGA地震予測」において、南関東警戒レベルを最大に引き上げたと一部でニュースになっているようです。
MEGA地震予測創設以来初 南関東警戒レベルを最大に引き上げ:
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150810-00000022-pseven-soci
(NEWS ポストセブン 8月10日)
ですが、この内容をみてみますと、科学的な検討が全く十分になされておらず、信頼できないものであることがわかります。もちろん、地震はいつどこで発生するかわかりませんので、常に備えは必要ですが、ことさらに不安にならないようご注意ください。以下に説明します。
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まず村井氏は、記事中、以下のように述べています。
「6月28日〜7月4日の週に「神奈川の山北で4.2cm、箱根で4cm、湯河原で4.3cm、静岡の宇佐美で5cm、伊豆諸島の三宅で5.5cm、八丈で4.4cmと、一斉異常変動が見られた。経験則として、長い静謐後に異常が見られたら、近いうちに大地震が起きる可能性が高いと考えられます」
…ご注意いただきたいことは、これら電子基準点のデータは、村井氏らが独自に観測しているものではないということです。彼らは、国土地理院が発表している「日々の座標値」を、そのまま使っているだけなのです。この「日々の座標値」は公開されており、誰でも見ることができます。その国土地理院は、こうした日々の座標値の変動はノイズにまみれており、実際の地殻を表すものとしてはそのままでは使えないことを、以下のように厳しく警告しているのです。
「日々の座標値」の利用上の留意点について:
http://terras.gsi.go.jp/geo_info/information/information_20141001.html
このなかで国土地理院は、日々の座標値において、数センチ規模のノイズは、水蒸気量といった気象条件や周辺樹木など、様々な原因によって簡単に出てしまうことを、明確に説明しています。それなのに村井氏らは、何の証拠も示すことなく、「国土地理院の説明は間違っていて、自分たちの主張が正しい」と言い張り、「これらの値の変動はノイズではなく、実際の地殻変動だ」として、地震の予兆だと騒いでいるのです。
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なお、具体的に実際のデータをみると、山北、宇佐美、湯河原、八丈といった観測点で、7月1日に数センチだけ、楕円体高(垂直方向の地表の位置に相当)の値が高くなっています。この1日の値によって、この週の最高値と最低値との差が、上述した数値(山北で4.2cm、宇佐美で5cmなど)となったわけです。
このように、異常な値と言えるのは、このたった1日だけなので、これは明らかにノイズです。そうでなければ、これらの観測点で、1日だけ地殻が数センチもポコっと隆起して、次の日にはシュッと元に戻ったことになります。そんな荒唐無稽な話を、信じてはいけません。
なお、この程度のノイズによる異常値は、年がら年中、日本中のあちこちで見られるものです。とりたてて騒ぐほどのことではなりません。たとえば、以下に、同じく宇佐美の過去1年間の楕円体高を示してみます。
ご覧のように、昨年も7〜8月に非常に大きく値が上下していることが分かります。あるときは+3cm近くになり、すぐに-4cmほどにまで下降しています。このように、昨年も値は大きく変動しましたが、実際に地面が動いたわけではなく、いずれも単なるノイズ変動です。もちろん、このあとに特段大きな地震が宇佐美付近で発生したわけではありません。
また、国土地理院は、近隣の観測点との比較も使ってノイズをできるだけ小さくしようとデータを補正しているので、ひとつの観測点で異常があると、連動して周辺の観測点にも同じ日にノイズが出ることがあります。近隣点で同じように値が変動しても、「一斉変動」などと驚くべきことではないのです。
こうして実データをみると、常に値が数センチも上下に変動しているのが分かると思いますが、これも単なる測位誤差です。実際に地面がうねうね上下に動いているわけではありません。
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ではなぜ、これらの観測点で、7月1日にノイズが出てしまったのでしょうか。現在、国土地理院に問い合わせてもいるのですが、はっきりした理由はわからないかもしれません(なにせ、普段からみられるような、珍しくもないノイズですので)。
考えられる理由としては、この週は天気が悪かったことです。7月1日も、上述の観測点のほぼ全てで雨が降っており、厚い雨雲や水蒸気の影響で異常値が出てしまったのかもしれません。
※8月18日後記 国土地理院から、この週の電子基準点データについて質問したところ、以下のご回答を頂きました(対応頂きました担当者の方、お忙しいところ、本当に有難うございました)。一部を、以下に引用します。
(前略)お問い合わせにありました電子基準点については、アンテナ交換や保守などの人為的なオフセットが生じる原因はなく、また、座標値の変化が1日のみでもとの傾向に復帰していることから、地殻変動を表したものではなく、先にお示しした人為的なオフセット以外のいくつかの原因によるものと考えられます。(後略)
(筆者注:「先にお示ししたいくつかの原因」とは、「前線の通過や大雪といった気象の変化、上空の電離層の擾乱、周辺樹木による電波の受信障害」等とのことです)。
…このように、6月28日〜7月4日の週における電子基準点のやや異常な値は、「地殻変動を表したものではない」というのが、国土地理院の見解です。これに対し、「週刊MEGA地震予測」は、何らの科学的な根拠も一切示すことなく、当該データ提供元である国土地理院の見解とは全く逆に、これらの異常が地殻変動を表したものであると主張して、南関東に対する地震予測の根拠にしているのです。このことからも、「週刊MEGA地震予測」を信じるべき理由は何もないと言えることが分かると思います。
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また村井氏は、記事のなかで以下のような面白いことも言っています。
「特に注意すべきは房総半島です。北東部にある銚子と南部にある館山で水平方向の動きが真逆になっており、そのゆがみが拡大している」
…これは、ハッキリ言って間違いです。地球上の各点が動いている地殻変動において、絶対的な基準点は設定できません。どこに基準点を置くかによって、どの地点がどの向きに変位しているかは変わってしまうのです。つまり、銚子と館山が逆方向に動いているというわけではなく、銚子のほうが館山よりも東北地方太平洋沖地震の余効変動域に近いために、水平方向の移動が大きさが違うというだけなのですが、たとえば銚子と館山の間の地点に基準点を置くと、逆方向に動いているようにみえるのです。別の基準点をとると、銚子と館山は、同じ方向に動いています。
こうした、ごく初歩的なことすら理解していない団体が、村井氏らのJESEAなのです。こうした団体による地殻変動の検討など、全く当てにできません。信じないのが賢明です。
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なお、彼らはこれまでにも、電子基準点の異常値を、単なるノイズであることをきちんと確認することなく、地殻変動だと主張して、国土地理院に釘を刺されています(詳しくは、こちらのエントリをご参照ください)。なのに、懲りることなく、そして自らの研究内容を真摯に反省することなく、こうしたサービスを続けているのです。
信じたくはありませんが、もし仮に、分かっていてサービスを続けているのだとしたら、彼らは相当に悪質だと言えるのではないでしょうか。ご利用を検討されている方は、よくよくご注意されたほうが良いかと思います。
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