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噴煙を上げる浅間山(2009年)〔photo〕gettyimages
気になるあの山、こんどはいつ噴火する? 浅間山・有珠山・三宅島・雲仙普賢岳 火山国で暮らす私たちが知っておきたいこと(3)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45237
2015年09月13日(日) 日本火山学会 現代ビジネス
いまだ記憶に新しい有珠山・三宅島・雲仙普賢岳の噴火。こんどはいつ噴火するか? そして小規模に噴火する浅間山はこれからどうなる?
このたび刊行される日本火山学会編『Q&A 火山噴火 第二版』から、誰もが気になる疑問をピックアップ、6日連続で本書の一部を特別公開します(第3回)。
あの火山は大丈夫?
【Q7】 有珠山や三宅島の噴火から10年以上、雲仙普賢岳の噴火から20年以上経ちます。そろそろ噴火してもおかしくないのでしょうか?
――A 有珠山や三宅島は前回の噴火までおおよそ20〜30年周期で規則的に噴火が発生している火山です。
これは、それぞれの火山に地下深部からマグマを供給する時間当たりの割合がほぼ一定であること、マグマを貯める溜まりの大きさが一定であるからだと考えられます。
有珠山では前回の噴火から15年経過していますが、次の噴火までにはまだ10年前後あり、現在は次の噴火の準備段階といえます。
2000年に噴火した有珠山(北海道)〔photo〕gettyimages
三宅島も前回の噴火から15年経過しており、単純に考えれば、次の噴火は今後5年前後の可能性があります。ただし、前回の2000年の噴火は山頂にカルデラを形成する噴火で、2500年ぶりの特異な現象でした。このため、三宅島で起きた過去3回(1962年、1983年、2000年)と同様の間隔で噴火が発生するとは限りません。
現時点で、両火山に、地震活動や地殻変動、火山ガス等の観測データに活発化の兆候は見られませんが、両方の火山とも十分な観測体制が敷かれており、異常が発生した場合にはその予兆を把握できるものと期待されています。
雲仙普賢岳は1990年に約200年ぶりに噴火し、1991年からは溶岩ドームが出現し、約4年にわたって成長しました。噴火に伴って地下のマグマが放出され、火山はわずかに沈降していましたが、噴火が終わると同時に膨張を開始しました。次の噴火に向けて準備を開始したものと考えられます。
1991年、雲仙普賢岳噴火後の島原の様子〔photo〕gettyimages
このような現象は三宅島でも同様に観察されています。普賢岳の過去の噴火がこれまで有珠山や三宅島ほど短い間隔で起こってきたわけではないので、近い将来に噴火することは考えにくいと思います。
ただし、噴火規則性がきちんと理解できているわけではないので、万が一に備えて監視を続けることが重要です。
【Q15】 浅間山で小規模な噴火が発生しましたが、今後どのような噴火が予想されますか?
――A 気象庁が発表する火山情報の中に、火山性微動に触れたものを多く見かけます。
最近の研究では、火山の地下に地下水を多く含む層が広がっており、地下深部から上昇してくるマグマや高温の火山ガスが地下水層と接触すると、火山性微動やさまざまな異常現象を起こすらしいことが分かってきました。
つまり、マグマや火山ガスが上昇してくれば、火山性微動が起きるはずであり、それがまだ起きていないのは、マグマや火山ガスが浅いところまで上昇してきていないからだろうと考えているのです。
しかし、火山性微動が観測されなければ噴火がないとは一概にはいえません。火山性微動と火山性地震の区別は、あいまいなところがあり、火山性地震が数秒間隔で連続して起きた場合には、火山性微動と見ることもあります。
火山性微動も火山性地震も、いずれにしても火山内部の活動を示していますから、そのどちらかが、あるいは両方の規模がしだいに大きくなり、かつ発生の頻度を高めるようなら、要注意です。
噴火する浅間山
とくに浅間山を中心とした広い範囲で有感地震や有感微動、鳴動などが頻繁に感じられるようであれば、噴火の規模は大きいと思って間違いないでしょう。避難などの必要も出てきます。
浅間山の活動には天明の噴火(次のQ16参照)のように短期間に大量の軽石や火山灰、溶岩を噴出する場合と、最近の桜島や浅間山の噴火のように小ぶりの噴火(といっても人間の感覚ではけっこう大きい)が数10年から100年以上の長期間続く場合があります。
最近の浅間山の噴火活動は19世紀の終わりにはじまり、20世紀の初めにはもっとも規模の大きな噴火が続きました。火口の中をせり上がってきた溶岩が溢れて火口の縁まで来ていたそうです。
その後も浅間山の噴火活動は10年程度の間隔をおいて続きますが、規模は少しずつ小さくなっていき、火口底も深くなっていきました。1973年の噴火までは、マグマが火口の底まで上昇してきましたが、1982年以降の噴火はマグマが火口の底まで上昇することなく起きています。
浅間山では早くから火山性地震の研究が行われ、噴火の前に地震の数が増加するため、1960年代から噴火の確率予測が試みられてきました。1973年の噴火まではこの方法で噴火の予測がほぼ成功していましたが、1982年以降は、噴火の直前には、地震数があまり増加しなくなりました。
これは1973年の噴火まではマグマが地震を伴いながら上昇を続けて比較的大きな噴火を起こしたのに対して、1982年以降はマグマが途中で上昇を停止し、地下水と接触するなどして小さな噴火を起こすようになったことが原因と考えられています。
今の浅間山では、大きな噴火はない代わりに、小さな噴火が明瞭な前兆なしに起こるようになっているといえます。
Q16:もしも浅間山が噴火したら、どのような被害が予想されますか?
――A 浅間山で過去にあった大噴火の地層を調べると、厚さ数メートルにまで達する軽石の層が何層もあり、軽石が降り積もる噴火が何度もあったことが分かります。たとえば、中軽井沢駅の北方800メートル付近では、平安時代や5世紀の軽石層が見つかります。
1783年(天明3年)の噴火では、噴煙が上空の強い風で東南東方向へ流され、塩壺付近よ り北で大量の軽石が降りました。古文書によると、中軽井沢にも少量の軽石溶岩片が降ったようです。このことから、再び大きな噴火が起これば、軽石が降ってくると予想されます。
このような軽石層には、大きい軽石も時々入っています(最大直径は約6センチメートル)。
軽石は衝突の衝撃でそれ自体が割れやすいこともあり、衝突による破壊力は大きくないと思われます。しかし大きい軽石は火災の原因になる可能性があります。天明噴火では、当時の軽井沢宿で焼石によって約50軒が焼失し、1人が直撃を受けて死亡したとされています。
最近の例で見ると、1920年代には、東北東6キロメートルの分去茶屋が焼失しました。
なお、1973年(昭和48年)の噴火では、軽井沢町で噴石の落下によって5台の車のフロントガラスが割れた他、屋根や壁の破損、電話線や電線の断線が起きました。
仮に今後、天明噴火と同じぐらいの規模の噴火が起きた場合、火口から半径20キロメートル以内では何らかの被害が出ると考えてよいでしょう。それから離れていても、北陸新幹線や上越新幹線、高速自動車道などに、降灰によって運休や通行制限などの影響が出るでしょう。
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